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第十八章 化粧水、されぞ化粧水
EP 3
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【格差】エルフの美容は次元が違う
「さあさあ! 次のお客さんはどなた~?」
カイト農場のリビングにて。
創造神ルチアナは、金貨の山を築き上げ、すっかり「悪徳商人」の顔になっていた。
地球から密輸した高級化粧水**『SK-∞(インフィニティ)』**は、ラスティア、フレア、リベラという富裕層(セレブ)たちに飛ぶように売れた。
「次は……そこの貴女ね?」
ルチアナの視線が、ソファで優雅にハーブティーを飲んでいるエルフの美女に向けられた。
ルナ・シンフォニアだ。
「ルナ! 貴女もどう? エルフの肌は白いけど、紫外線には弱いでしょ? 今なら**『美白スペシャルセット』**が、なんと金貨10枚(約10万円)よ!」
ルチアナがボトルをジャグリングしながらセールスする。
しかし、ルナはカップを置き、困ったように微笑んだ。
「あら、私はいいわ。……愛用しているものがあるから」
「ハァ? 愛用?」
ルチアナが眉をひそめる。
「言っちゃ悪いけど、地球の美容科学(テクノロジー)は凄いわよ? 酵母の力で肌細胞を活性化させるんだから。異世界の錬金術なんて目じゃないわよ」
「ふふ、酵母……微生物の力ね。確かに興味深いけれど」
ルナは懐から、小指ほどの大きさの小瓶を取り出した。
その瞬間。
カッ……!
リビングが、七色の柔らかな光に包まれた。
小瓶の中で揺らめいているのは、液体というより「光そのもの」に見える。
「な、何それ……?」
ラスティアが目を丸くする。
「実家の庭にある**『世界樹(ユグドラシル)』**の、一番搾りの朝露を精製した美容液よ」
「「「せ、世界樹ぅぅぅ!?」」」
全員が絶叫した。
世界樹ユグドラシル。それはエルフの里の最深部にしか存在しない、伝説の神木だ。その雫は、一滴で死者を蘇らせるとも言われる国宝級の代物である。
「効果は……そうねぇ。『細胞の完全若返り』と『魔力回路の修復』、あとは副次効果として**『肌が発光する(物理)』**かしら」
ルナが小瓶の蓋を開ける。
芳醇な森の香りと、圧倒的なマナの奔流が溢れ出す。
「原価はタダ(実家産)だけど、市場に出せば小瓶一つで城が建つわね」
シーン……。
ルチアナの『SK-∞(金貨5枚)』が、急に霞んで見えた。
「デパートの高級品」と「神話級アーティファクト」。
勝負にならなかった。
「……勝てねぇ」
ラスティアがガクリと膝をつく。
「不老不死の私でも、世界樹のエキスには惹かれますわ……」
フレアが悔しそうに唇を噛む。
「ルナ様……それ、一口いただけませんか?」
リベラが本能(野生)丸出しでねだる。
「だーめ。これは私の肌に合うように調整してあるから」
ルナは悪戯っぽく笑い、小瓶をしまった。
「というわけでルチアナ、私は結構よ。……でも、その瓶のデザインは可愛いわね」
「ぐぬぬぬ……!」
ルチアナはギリリと歯ぎしりした。
「覚えてらっしゃい! 次はもっと凄い……『ドモホルン・リンクル(年齢肌用)』を持ってきてやるんだからぁぁ!」
創造神のプライドが粉砕された瞬間だった。
しかし、この雲の上の戦い(セレブvs超セレブ)を、指をくわえて見ているしかない**「最下層」**の二人がいた。
「……ねえ、キャルル」
「……はい、リーザさん」
柱の陰で、リーザとキャルルが体育座りをしていた。
「私たち……住む世界が違いすぎると思わない?」
「思います。金貨5枚とか、城が建つとか……意味が分かりません」
彼女たちの財布には、小銭(銀貨数枚)しか入っていない。
しかし、乙女の「美しくなりたい」という欲求は平等だ。
「行くわよ、キャルル」
リーザが立ち上がった。その瞳には、飢えた獣の光が宿っていた。
「**『天魔窟デパート』**へ……!」
「えっ? お金ないですよ?」
「ふふん。デパートにはね……**『無料(タダ)の泉』**があるのよ」
貧乏アイドルと堅実ウサギの、仁義なき「サンプル争奪戦」が幕を開ける。
「さあさあ! 次のお客さんはどなた~?」
カイト農場のリビングにて。
創造神ルチアナは、金貨の山を築き上げ、すっかり「悪徳商人」の顔になっていた。
地球から密輸した高級化粧水**『SK-∞(インフィニティ)』**は、ラスティア、フレア、リベラという富裕層(セレブ)たちに飛ぶように売れた。
「次は……そこの貴女ね?」
ルチアナの視線が、ソファで優雅にハーブティーを飲んでいるエルフの美女に向けられた。
ルナ・シンフォニアだ。
「ルナ! 貴女もどう? エルフの肌は白いけど、紫外線には弱いでしょ? 今なら**『美白スペシャルセット』**が、なんと金貨10枚(約10万円)よ!」
ルチアナがボトルをジャグリングしながらセールスする。
しかし、ルナはカップを置き、困ったように微笑んだ。
「あら、私はいいわ。……愛用しているものがあるから」
「ハァ? 愛用?」
ルチアナが眉をひそめる。
「言っちゃ悪いけど、地球の美容科学(テクノロジー)は凄いわよ? 酵母の力で肌細胞を活性化させるんだから。異世界の錬金術なんて目じゃないわよ」
「ふふ、酵母……微生物の力ね。確かに興味深いけれど」
ルナは懐から、小指ほどの大きさの小瓶を取り出した。
その瞬間。
カッ……!
リビングが、七色の柔らかな光に包まれた。
小瓶の中で揺らめいているのは、液体というより「光そのもの」に見える。
「な、何それ……?」
ラスティアが目を丸くする。
「実家の庭にある**『世界樹(ユグドラシル)』**の、一番搾りの朝露を精製した美容液よ」
「「「せ、世界樹ぅぅぅ!?」」」
全員が絶叫した。
世界樹ユグドラシル。それはエルフの里の最深部にしか存在しない、伝説の神木だ。その雫は、一滴で死者を蘇らせるとも言われる国宝級の代物である。
「効果は……そうねぇ。『細胞の完全若返り』と『魔力回路の修復』、あとは副次効果として**『肌が発光する(物理)』**かしら」
ルナが小瓶の蓋を開ける。
芳醇な森の香りと、圧倒的なマナの奔流が溢れ出す。
「原価はタダ(実家産)だけど、市場に出せば小瓶一つで城が建つわね」
シーン……。
ルチアナの『SK-∞(金貨5枚)』が、急に霞んで見えた。
「デパートの高級品」と「神話級アーティファクト」。
勝負にならなかった。
「……勝てねぇ」
ラスティアがガクリと膝をつく。
「不老不死の私でも、世界樹のエキスには惹かれますわ……」
フレアが悔しそうに唇を噛む。
「ルナ様……それ、一口いただけませんか?」
リベラが本能(野生)丸出しでねだる。
「だーめ。これは私の肌に合うように調整してあるから」
ルナは悪戯っぽく笑い、小瓶をしまった。
「というわけでルチアナ、私は結構よ。……でも、その瓶のデザインは可愛いわね」
「ぐぬぬぬ……!」
ルチアナはギリリと歯ぎしりした。
「覚えてらっしゃい! 次はもっと凄い……『ドモホルン・リンクル(年齢肌用)』を持ってきてやるんだからぁぁ!」
創造神のプライドが粉砕された瞬間だった。
しかし、この雲の上の戦い(セレブvs超セレブ)を、指をくわえて見ているしかない**「最下層」**の二人がいた。
「……ねえ、キャルル」
「……はい、リーザさん」
柱の陰で、リーザとキャルルが体育座りをしていた。
「私たち……住む世界が違いすぎると思わない?」
「思います。金貨5枚とか、城が建つとか……意味が分かりません」
彼女たちの財布には、小銭(銀貨数枚)しか入っていない。
しかし、乙女の「美しくなりたい」という欲求は平等だ。
「行くわよ、キャルル」
リーザが立ち上がった。その瞳には、飢えた獣の光が宿っていた。
「**『天魔窟デパート』**へ……!」
「えっ? お金ないですよ?」
「ふふん。デパートにはね……**『無料(タダ)の泉』**があるのよ」
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