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第十八章 化粧水、されぞ化粧水
EP 5
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【突撃】天魔窟デパート・コスメフロアの魔物
天魔窟の商業エリアの中心にそびえ立つ、巨大な建造物。
セレブ御用達の超高級デパート、通称『テンマヤ(天魔屋)』である。
その1階の巨大なクリスタル自動ドアが開いた瞬間――。
「ひぃっ……!」
キャルルは、思わず一歩後ずさった。
むせ返るような高級フローラルの香りと、網膜を焼くような眩い魔力照明(シャンデリア)。
大理石の床には、各ブランドの煌びやかなブースがズラリと並んでいる。
「な、なんですかこのキラキラ空間は! 空気が……空気が重いですぅ!」
「シャキッとしなさいキャルル! 堂々と歩くのよ!」
横を歩くリーザが、変装用のサングラスをクイッと押し上げた。
彼女の目は、獲物を探す鷹のようにフロアをギョロギョロと見渡している。
「リーザさん、やっぱり帰りましょうよぉ! 私たち、完全に場違いです!」
キャルルは自分の服装を見下ろした。
動きやすさ重視のパーカーに、ゴツい『鉄芯入り安全靴』。
周りを歩いているのは、シルクのドレスを着た貴族や、全身をハイブランドで固めたマダムばかりだ。
「それに、このフロアにいる店員さんたち……なんか怖いです!」
キャルルのウサ耳が、警戒モードでピンと立っている。
各ブースに立っている美容部員(通称:BA)たちは、洗練された黒の制服に身を包んだサキュバスやダークエルフの美女ばかり。
彼女たちは一見、上品な笑顔を浮かべている。
しかし、その瞳の奥は完全に「客の財布の厚さを値踏みするハンター」のそれだった。
『あら、あちらのお客様……靴が安全靴ですわね。ターゲット外ですわ』
『こちらのオークの女性……所持金は銀貨3枚ってところね。スルーよ』
BAたちの無言のテレパシー(接客の取捨選択)が、キャルルの敏感な聴覚にはひしひしと伝わってくる。
「リーザさん! 私たち、完全に『冷やかし(お金ない)』ってバレてます! 何も買わないのにサンプルだけねだるなんて……恥ずかしくて死んじゃいますぅぅ!」
キャルルが顔を真っ赤にしてリーザの背中に隠れた。
元近衛騎士候補としての誇りが、タダ飯食らいの真似を激しく拒絶しているのだ。
「甘いわね、キャルル!」
リーザがビシッとキャルルを指差した。
「私たちは『冷やかし』じゃない! 『未来の太客(ふとぎゃく)』よ! 今日はタダで貰うけど、私たちが大スターになって大金持ちになった暁には、ここら一帯のコスメを箱買いしてあげるんだから!」
「そ、それは……何年後の話ですか!?」
「うるさいわね! 行くわよ、まずはあそこの超高級ブランド『魔界堂』のカウンターよ!」
リーザはキャルルの腕をガシリと掴み、最も豪華なブースへとズンズン進んでいった。
鋼のメンタルである。アイドルの図太さここに極まれり。
「あわわわ! 引っ張らないでください! 安全靴で大理石に傷をつけちゃいますぅ!」
ズルズルと引きずられるキャルル。
二人が『魔界堂』のカウンターに辿り着いた瞬間。
「……いらっしゃいませぇ~♡」
甘く、そして逃げ場のない声が響いた。
カウンターの奥から現れたのは、一際美しいサキュバスのチーフBAだった。
「お客様ぁ、お肌のお悩みでございますかぁ?」
豊満な胸元を強調し、魅惑的な香りを放ちながら、サキュバスBAが完璧な営業スマイルを向けてくる。
しかし、その背後には「買わずに帰れると思うなよ?」という、凄まじいプレッシャー(オーラ)が立ち昇っていた。
「ひぃぃっ! 無理ですリーザさん! 食べられちゃいます!」
キャルルが涙目で震える中、リーザはサングラスを外し、不敵な笑みを浮かべてカウンターの椅子にどっかりと座った。
「ええ、お姉さん。最近、肌の乾燥と『サンプル不足』に悩んでてね……。徹底的に、肌診断(カウンセリング)してもらおうかしら?」
貧乏アイドルとサキュバスBA。
絶対に金を使いたくない客と、絶対に金を使わせたい店員。
ハイレベルな心理戦(バトル)のゴングが、今鳴り響いた。
天魔窟の商業エリアの中心にそびえ立つ、巨大な建造物。
セレブ御用達の超高級デパート、通称『テンマヤ(天魔屋)』である。
その1階の巨大なクリスタル自動ドアが開いた瞬間――。
「ひぃっ……!」
キャルルは、思わず一歩後ずさった。
むせ返るような高級フローラルの香りと、網膜を焼くような眩い魔力照明(シャンデリア)。
大理石の床には、各ブランドの煌びやかなブースがズラリと並んでいる。
「な、なんですかこのキラキラ空間は! 空気が……空気が重いですぅ!」
「シャキッとしなさいキャルル! 堂々と歩くのよ!」
横を歩くリーザが、変装用のサングラスをクイッと押し上げた。
彼女の目は、獲物を探す鷹のようにフロアをギョロギョロと見渡している。
「リーザさん、やっぱり帰りましょうよぉ! 私たち、完全に場違いです!」
キャルルは自分の服装を見下ろした。
動きやすさ重視のパーカーに、ゴツい『鉄芯入り安全靴』。
周りを歩いているのは、シルクのドレスを着た貴族や、全身をハイブランドで固めたマダムばかりだ。
「それに、このフロアにいる店員さんたち……なんか怖いです!」
キャルルのウサ耳が、警戒モードでピンと立っている。
各ブースに立っている美容部員(通称:BA)たちは、洗練された黒の制服に身を包んだサキュバスやダークエルフの美女ばかり。
彼女たちは一見、上品な笑顔を浮かべている。
しかし、その瞳の奥は完全に「客の財布の厚さを値踏みするハンター」のそれだった。
『あら、あちらのお客様……靴が安全靴ですわね。ターゲット外ですわ』
『こちらのオークの女性……所持金は銀貨3枚ってところね。スルーよ』
BAたちの無言のテレパシー(接客の取捨選択)が、キャルルの敏感な聴覚にはひしひしと伝わってくる。
「リーザさん! 私たち、完全に『冷やかし(お金ない)』ってバレてます! 何も買わないのにサンプルだけねだるなんて……恥ずかしくて死んじゃいますぅぅ!」
キャルルが顔を真っ赤にしてリーザの背中に隠れた。
元近衛騎士候補としての誇りが、タダ飯食らいの真似を激しく拒絶しているのだ。
「甘いわね、キャルル!」
リーザがビシッとキャルルを指差した。
「私たちは『冷やかし』じゃない! 『未来の太客(ふとぎゃく)』よ! 今日はタダで貰うけど、私たちが大スターになって大金持ちになった暁には、ここら一帯のコスメを箱買いしてあげるんだから!」
「そ、それは……何年後の話ですか!?」
「うるさいわね! 行くわよ、まずはあそこの超高級ブランド『魔界堂』のカウンターよ!」
リーザはキャルルの腕をガシリと掴み、最も豪華なブースへとズンズン進んでいった。
鋼のメンタルである。アイドルの図太さここに極まれり。
「あわわわ! 引っ張らないでください! 安全靴で大理石に傷をつけちゃいますぅ!」
ズルズルと引きずられるキャルル。
二人が『魔界堂』のカウンターに辿り着いた瞬間。
「……いらっしゃいませぇ~♡」
甘く、そして逃げ場のない声が響いた。
カウンターの奥から現れたのは、一際美しいサキュバスのチーフBAだった。
「お客様ぁ、お肌のお悩みでございますかぁ?」
豊満な胸元を強調し、魅惑的な香りを放ちながら、サキュバスBAが完璧な営業スマイルを向けてくる。
しかし、その背後には「買わずに帰れると思うなよ?」という、凄まじいプレッシャー(オーラ)が立ち昇っていた。
「ひぃぃっ! 無理ですリーザさん! 食べられちゃいます!」
キャルルが涙目で震える中、リーザはサングラスを外し、不敵な笑みを浮かべてカウンターの椅子にどっかりと座った。
「ええ、お姉さん。最近、肌の乾燥と『サンプル不足』に悩んでてね……。徹底的に、肌診断(カウンセリング)してもらおうかしら?」
貧乏アイドルとサキュバスBA。
絶対に金を使いたくない客と、絶対に金を使わせたい店員。
ハイレベルな心理戦(バトル)のゴングが、今鳴り響いた。
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