スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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EP 20

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光の撹乱、氷の足枷、そして決着
​「うおおおおッ!!」
​ライザの裂帛(れっぱく)の気合いが森に響く。
彼女は全身の毛穴から青白い「闘気」を噴出させ、紅蓮の魔狼へと疾走した。
身体能力を極限まで強化した一撃。
​ブンッ!!
​長剣が風を切り裂くが、魔狼はその巨体からは信じられない反応速度でバックステップを踏み、切っ先をかわした。
​「速いッ!」
​ライザが驚愕に目を見開く。
魔狼は着地と同時に大きく息を吸い込んだ。喉の奥が赤熱する。
​『グルルル……ブォォォッ!!』
​「くっ!」
​放たれたのは紅蓮の火炎ブレス。
ライザは地面を転がって辛うじて回避したが、彼女が居た場所の草木は一瞬で灰と化した。
間合いが取れない。近づけば焼かれ、離れればそのスピードで翻弄される。
​「どうする!? 僕の弓だとライザに当たってしまう! そもそもあの筋肉と毛皮じゃ、矢が通らないかも……!」
​太郎は焦った。
物理的な援護は無理だ。かといって、このままではライザがジリ貧になるのは明白だった。
​(ライザに当たらず、あのバケモノの動きを止める方法は……?)
​太郎の脳裏に、現代のプレゼンテーション、あるいは猫と遊ぶ時の光景がフラッシュバックした。
犬や狼は、動く光に過敏に反応する習性があるはずだ。
​「妨害するんだ……そうだ! アレなら!」
​太郎は震える手でウィンドウを操作し、『文具・事務用品』カテゴリを叩いた。
​【 高輝度レーザーポインター(赤・クラス2):100P 】
​「これでッ!」
​太郎の手の中にペン型の小さな装置が現れる。
彼はスイッチを押し込み、魔狼の顔面――その凶悪な双眸(そうぼう)に向けて赤色の光線を照射した。
​チカッ。
​魔狼の視界の中で、赤い点が不規則に動き回る。
​『グゥン!?』
​魔狼の動きがピタリと止まった。
目の前をチョロチョロと動く不可解な光。本能的に目で追ってしまい、意識がライザから逸れる。
魔狼はイライラしたように頭を振った。
​「好機ッ!」
​その僅かな隙を見逃すライザではない。
彼女は踏み込み、魔狼の懐へと潜り込んだ。
​ズドッ!!
​「ハァッ!!」
​闘気を乗せた渾身の突きが、魔狼の脇腹を深く貫いた。
​『ギャアアアッ!!』
​「やった! ダメージを負わせたわ!」
​サリーが歓声を上げる。
だが、手負いの獣ほど恐ろしいものはなかった。
激痛に狂った魔狼は、自分を傷つけたライザではなく、その隙を作った「鬱陶しい光の主」――太郎へと殺意の矛先を向けた。
​ギロリ。
血走った目が太郎を射抜く。
​「ヒッ……!?」
​太郎が息を呑んだ瞬間、魔狼は地面を蹴った。
その速度は、先ほどまでとは桁違いだった。死を覚悟した特攻。
​『ガァァァァァッ!!』
​「しまっ――」
​太郎は反応すらできない。
巨大な顎(あぎと)と爪が、目の前に迫る。
​「太郎さんッ!!」
​ドォォォォォン!!
​鈍い衝撃音と共に、太郎の視界が赤く染まった。
しかし、痛みはない。
恐る恐る目を開けた太郎の前に、背中から血を流すライザが立ちはだかっていた。
​「ぐっ……うぅ……!」
​魔狼の突進を正面から受け止め、その鋭い爪がライザの肩から脇腹にかけてを深く切り裂いていた。鮮血が舞い、地面を濡らす。
​「ラ、ライザ……!!」
​「下がり……なさい……まだ、死んでは……!」
​ライザは膝をつきそうになりながらも、剣を構え続ける。
魔狼は血の味を覚え、舌なめずりをしてトドメを刺そうと身を低くした。
​「させないッ!!」
​悲鳴のような叫びと共に、サリーが前に飛び出した。
彼女は杖を地面に突き刺す。
​「大地よ、凍れ! 『アイス・フィールド』!!」
​バキバキバキッ!!
​サリーを中心に、冷気が地面を這った。
魔狼の足元の土が一瞬にして鏡のような氷の床へと変わる。
​『グルッ!?』
​飛びかかろうと力を込めた魔狼の後ろ足が、ツルリと滑った。
踏ん張りが効かず、体勢を大きく崩す。無防備な腹を晒して転倒する魔狼。
​「うおおおおオオッ!!」
​その千載一遇のチャンスに、瀕死のライザが吼えた。
残された全ての生命力と闘気を、剣の一点に集約させる。
​「これで……終わりですッ!!」
​ザンッッ!!
​銀閃が走る。
氷の上で無防備になっていた魔狼の首が、抵抗なく切断され、宙高く舞い上がった。
​ドサッ……。
巨体が氷の上に崩れ落ち、二度と動くことはなかった。
​静寂が戻った森の中で、ライザは剣を杖代わりにして、ゆっくりと太郎の方を振り返った。
​「無事……ですか……太郎、殿……」
​そう微笑んだ瞬間、彼女の糸が切れ、その身体がグラリと傾いた。
​「ライザ!!」
​太郎は駆け出し、崩れ落ちる彼女の身体を抱きとめた。
手につく血の温かさが、太郎に現実を突きつけていた。
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