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EP 74
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無血開城、そして狂気の魔神王
アルクスを出発した太郎軍の進軍は、戦争というよりもパレードに近かった。
「勇者太郎様だ! 俺たちの救世主だ!」
「王都への道を開けろ! 英雄のお通りだ!」
行く先々の街や村で、民衆は歓呼の声を上げて出迎えた。
関所の兵士たちは武器を捨てて敬礼し、城門は次々と内側から開かれた。
誰も、太郎に弓を引こうとはしなかったのだ。
「……すごいな。誰も戦おうとしない」
馬上で揺られながら、太郎が呟く。
「当然です。誰が好き好んで、ドラゴンを倒した英雄と戦い、勝ち目のない死を選ぶでしょうか」
隣を行くライザが誇らしげに答える。
貴族や騎士たちも、太郎軍の圧倒的な戦力と民意を知るや否や、我先にと逃げ出した。
蜘蛛の子を散らすように逃亡する彼らを追う必要もなく、太郎軍は悠々とデルン王都へ到着。
王都の正門すらも、無血開城された。
王宮、謁見の間。
かつては多くの臣下で賑わっていたその場所は、今は静まり返り、冷たい空気が流れていた。
広大な広間に残っているのは、ただ一人。
玉座に座る、バゴール王だけだった。
「…………」
側近も、近衛兵も、家族さえも彼を見捨てて逃げ去った。
まさに「裸の王様」。
彼はガタガタと震えながら、入口を見つめていた。
コツ、コツ、コツ……。
足音が響く。
扉が開き、太郎が姿を現した。
その左右にはサリーとライザ、後ろにはマルスが控えている。
「終わりだよ、バゴール王」
太郎は静かに告げた。
「貴方の軍隊はもういない。民衆も貴方を見限った。……降伏してください」
「く……くく……」
バゴール王が肩を震わせた。
俯いていた顔を上げると、その目は血走り、正気を失っていた。
「ふざけるな……! ふざけるなぁぁぁッ!!」
王の絶叫が広間に木霊する。
「ワシは王だ! デルンの支配者だ! なぜだ……なぜどいつもこいつも、このド素人の冒険者を崇める! ワシこそが選ばれた人間なのだぞ!」
「貴方は民を見なかった。自分自身の欲しか見ていなかった。だからこうなったんだ」
太郎の正論は、今の王には届かない。
追い詰められた鼠は、猫を噛むどころか、世界を噛み砕こうとしていた。
「くそぉ! おのれぇぇ! ワシだけでは死なん! 貴様らも……この国も、皆道連れだ!!」
バゴール王は懐から、禍々しい漆黒の宝玉を取り出した。
王家に伝わる禁忌の呪物『魔界の石』だ。
「やめろ!」
「我が魂を悪魔に捧げる! 来い! 闇の眷属よ!」
バゴール王は宝玉を自らの胸に突き刺した。
ドクンッ!!
「ぐ、ぎゃあああああああ!!」
王の身体が内側から膨れ上がり、皮膚が裂けた。
噴き出した黒い霧が彼を包み込み、王宮全体が揺れる。
豪華な王の衣装が弾け飛び、そこから現れたのは、もはや人間ではなかった。
頭には巨大な角、全身は黒い鱗と筋肉の鎧に覆われ、背中からはコウモリのような翼が生えている。
人の理(ことわり)を捨てた怪物。魔神王の誕生だった。
「グルルルル……」
魔神王は、以前の面影など微塵もない凶悪な顔でニタリと笑った。
「ぐはははは!! 力が……力が溢れてくるぞ!!」
その咆哮だけで、謁見の間の窓ガラスが全て砕け散った。
「皆殺しだぁぁぁ!! 貴様らも、裏切り者の民草も、全て喰らい尽くしてやるわぁぁ!!」
圧倒的な邪悪なオーラ。
マルスが腰を抜かしそうになる中、太郎は一歩前に出た。
その手には、既に相棒である『雷霆』が握られている。
「……救えないな、最後まで」
太郎の瞳に、強い光が宿った。
「行くぞ、みんな。これが最後の戦いだ!」
「はい!」「えぇ!」
英雄太郎vs魔神王。
国の運命を決めるラストバトルが幕を開けた。
アルクスを出発した太郎軍の進軍は、戦争というよりもパレードに近かった。
「勇者太郎様だ! 俺たちの救世主だ!」
「王都への道を開けろ! 英雄のお通りだ!」
行く先々の街や村で、民衆は歓呼の声を上げて出迎えた。
関所の兵士たちは武器を捨てて敬礼し、城門は次々と内側から開かれた。
誰も、太郎に弓を引こうとはしなかったのだ。
「……すごいな。誰も戦おうとしない」
馬上で揺られながら、太郎が呟く。
「当然です。誰が好き好んで、ドラゴンを倒した英雄と戦い、勝ち目のない死を選ぶでしょうか」
隣を行くライザが誇らしげに答える。
貴族や騎士たちも、太郎軍の圧倒的な戦力と民意を知るや否や、我先にと逃げ出した。
蜘蛛の子を散らすように逃亡する彼らを追う必要もなく、太郎軍は悠々とデルン王都へ到着。
王都の正門すらも、無血開城された。
王宮、謁見の間。
かつては多くの臣下で賑わっていたその場所は、今は静まり返り、冷たい空気が流れていた。
広大な広間に残っているのは、ただ一人。
玉座に座る、バゴール王だけだった。
「…………」
側近も、近衛兵も、家族さえも彼を見捨てて逃げ去った。
まさに「裸の王様」。
彼はガタガタと震えながら、入口を見つめていた。
コツ、コツ、コツ……。
足音が響く。
扉が開き、太郎が姿を現した。
その左右にはサリーとライザ、後ろにはマルスが控えている。
「終わりだよ、バゴール王」
太郎は静かに告げた。
「貴方の軍隊はもういない。民衆も貴方を見限った。……降伏してください」
「く……くく……」
バゴール王が肩を震わせた。
俯いていた顔を上げると、その目は血走り、正気を失っていた。
「ふざけるな……! ふざけるなぁぁぁッ!!」
王の絶叫が広間に木霊する。
「ワシは王だ! デルンの支配者だ! なぜだ……なぜどいつもこいつも、このド素人の冒険者を崇める! ワシこそが選ばれた人間なのだぞ!」
「貴方は民を見なかった。自分自身の欲しか見ていなかった。だからこうなったんだ」
太郎の正論は、今の王には届かない。
追い詰められた鼠は、猫を噛むどころか、世界を噛み砕こうとしていた。
「くそぉ! おのれぇぇ! ワシだけでは死なん! 貴様らも……この国も、皆道連れだ!!」
バゴール王は懐から、禍々しい漆黒の宝玉を取り出した。
王家に伝わる禁忌の呪物『魔界の石』だ。
「やめろ!」
「我が魂を悪魔に捧げる! 来い! 闇の眷属よ!」
バゴール王は宝玉を自らの胸に突き刺した。
ドクンッ!!
「ぐ、ぎゃあああああああ!!」
王の身体が内側から膨れ上がり、皮膚が裂けた。
噴き出した黒い霧が彼を包み込み、王宮全体が揺れる。
豪華な王の衣装が弾け飛び、そこから現れたのは、もはや人間ではなかった。
頭には巨大な角、全身は黒い鱗と筋肉の鎧に覆われ、背中からはコウモリのような翼が生えている。
人の理(ことわり)を捨てた怪物。魔神王の誕生だった。
「グルルルル……」
魔神王は、以前の面影など微塵もない凶悪な顔でニタリと笑った。
「ぐはははは!! 力が……力が溢れてくるぞ!!」
その咆哮だけで、謁見の間の窓ガラスが全て砕け散った。
「皆殺しだぁぁぁ!! 貴様らも、裏切り者の民草も、全て喰らい尽くしてやるわぁぁ!!」
圧倒的な邪悪なオーラ。
マルスが腰を抜かしそうになる中、太郎は一歩前に出た。
その手には、既に相棒である『雷霆』が握られている。
「……救えないな、最後まで」
太郎の瞳に、強い光が宿った。
「行くぞ、みんな。これが最後の戦いだ!」
「はい!」「えぇ!」
英雄太郎vs魔神王。
国の運命を決めるラストバトルが幕を開けた。
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