スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

文字の大きさ
86 / 251
第二章 新たな旅立ち

EP 9

しおりを挟む
森の民、鍬を持つ ~エルフの里・農業革命~
和食ブームの到来から数日後。
太郎は、ゼフィル長老の家へと呼び出されていた。
長老は、出された緑茶(太郎からの差し入れ)をズズッと啜り、深刻な面持ちで口を開いた。
「……太郎殿。折り入って相談があるのじゃ」
「はい、何でしょう? (もしかして、滞在期間の話かな?)」
太郎が身構えると、長老は重々しく告げた。
「……里の者たちが、すっかり『コメ』と『ミソ』の虜になってしまってなぁ」
「はぁ」
「朝起きれば『味噌汁はまだか』と騒ぎ、昼になれば『おにぎりが食べたい』と泣く子供もいる。……正直、ワシも昨晩、夢に『豚しゃぶ』が出てきた」
長老は恥ずかしそうに咳払いをした。
「しかし、そなたらは旅人。いつかはここを去る身じゃ。勇者様がいなくなれば、我らは二度とあの味にありつけぬ……。それが、恐怖でたまらんのじゃよ!」
食への渇望。それは種族の誇りさえも凌駕していた。
太郎は少し考え、そして力強く頷いた。
「分かりました。長老、そんなに気に入って頂けたのなら……作りましょう、自分たちで」
「な、なんと!? 作れるのか!? あの黄金の穀物と、魔法の茶色いペーストが!」
「えぇ。幸い、ここには清らかな水と豊かな土壌があります。苗や大豆、必要な道具は僕が用意しますから」
太郎はウィンドウを開き、『種籾(コシヒカリ)』、『大豆(フクユタカ)』、そして大量の『鍬(くわ)』や『鎌』を購入した。
「さぁ、エルフの皆さん! 今日からここは農村です!」
こうして、神秘の森で前代未聞のプロジェクトが始まった。
「まずは田んぼ作りだ! 土を掘り起こして、水を引くぞ!」
「了解ですわ! 土の精霊よ、大地を耕しなさい! 『グランド・プラウ』!」
ライザが剣を突き刺すと、地面が波打ち、一瞬にして広大な湿地帯が耕された。
「次は水ですね! 水の精霊よ、清流を導きなさい! 『アクア・カナル』!」
サリーが杖を振ると、近くの川から水路が引かれ、耕された土地に水が満たされていく。
魔法による超高速開墾だ。
「す、すごい……」
集まったエルフたちは呆気にとられていたが、太郎が声を張り上げた。
「さぁ、次は皆さんの番ですよ! この苗を、等間隔に植えていくんです!」
太郎はエルフたちに苗の束を渡した。
「こ、これを泥の中に……?」
「汚れるのはちょっと……」
最初は躊躇していたエルフたちだったが、ヒブネが裾をまくり上げて泥に入った。
「やりましょう! 全ては美味しいおにぎりのためです!」
その言葉が、彼らのハートに火をつけた。
美味しいご飯のためなら、プライドなど不要。
エルフたちは美しい服の裾をまくり、裸足で泥の中に飛び込んだ。
「植えろー! おにぎりを植えるのじゃー!」
「等間隔だ! 美しく並べるのだ!」
長老までもが杖を放り投げ、腰を曲げて苗を植える。
森の民特有の器用さで、田んぼには美しい緑の列が出来上がっていった。
一方、その横では「味噌作り班」が動いていた。
「大豆を茹でて、潰す! これが味噌の命です!」
太郎の指導の下、女性エルフたちが茹で上がった大豆を杵(きね)で潰していく。
そこへ、麹(こうじ)と塩を混ぜ合わせる。
「これを樽に詰めて、発酵させるんだ。……普通なら半年はかかるんだけど」
「半年!? そんなに待てぬ!」
長老が叫ぶと、エルフたちが一斉に手をかざした。
「我らには『植物魔法』がある! 時の女神よ、実りに祝福を!」
ボウッ!!
緑色の光が樽と田んぼを包み込む。
エルフの秘儀、成長促進魔法だ。
すると、驚くべきことが起きた。
植えたばかりの苗がぐんぐんと伸び、一瞬にして黄金色の稲穂を垂れたのだ。
さらに、味噌樽からは芳醇な香りが漂い始めた。
「こ、これは……チートすぎる……」
太郎は絶句した。
日本の農家が見たら卒倒するスピードで、収穫の時が訪れた。
「豊作じゃあああ!!」
「米だ! 米が獲れたぞぉぉ!!」
夕暮れ時。
エルフの里には、黄金色に輝く水田と、大量の味噌樽が並んでいた。
自分たちの手で育てた(魔法で加速させたが)米で作ったおにぎりを頬張り、エルフたちは涙を流して喜んだ。
「うまい……! 自分たちで作った米は格別じゃ……!」
長老は泥だらけの顔で、おにぎりを噛み締めた。
その光景を見て、太郎は満足げに微笑んだ。
「これで僕がいなくなっても、この里の食卓は安泰だね」
神秘の森は、今や豊かな穀倉地帯へと変貌を遂げた。
エルフたちは「狩猟採集民」から「農耕民族」へと進化し、里の歴史に新たな1ページが刻まれたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...