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第二章 新たな旅立ち
EP 8
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朝霧の森と、味噌汁の香る革命
エルフの里での初めての朝。
ツリーハウスの窓から差し込む木漏れ日と、小鳥のさえずりで太郎は目を覚ました。
「ん……よく寝た。空気が澄んでて気持ちいいな」
太郎は伸びをして、テラスに出た。
森の朝は少し肌寒い。こんな朝に恋しくなるのは、やはり温かいあの味だ。
「そうだな……。今日の朝食は『和食』にするか」
太郎はウィンドウを開き、日本の朝ごはんセットを取り出した。
『最高級コシヒカリ』、『合わせ味噌』、『乾燥わかめ』、『豆腐』。
おかずには『焼き鮭(真空パック)』と『袋入りカット野菜』。
「よし、炊くぞ!」
土鍋で米を炊き始めると、甘く芳醇な香りが漂い始める。
次に、カセットコンロで湯を沸かし、出汁入り味噌を溶く。
トントントン……。
豆腐を切る音が心地よく響く。
最後に、フライパンで鮭の皮をパリッと焼く。
「完璧だ……」
テラスのテーブルに並べられたのは、旅館の朝食のような完璧な和定食。
味噌汁の湯気が、森の冷気の中に白く立ち上る。
「おや? 太郎さん、早起きですね」
そこへ、隣の枝からヒブネがひょいと飛び移ってきた。
彼女は鼻をクンクンと動かした。
「……なんと良い香りでしょう。木の実の香りとも、花の蜜とも違う……どこか懐かしく、食欲をそそる匂いです」
「やぁ、ヒブネさんも食べるかい? ちょうど出来たところだよ」
「えっ、よろしいのですか? では、お言葉に甘えて」
起きてきたサリーとライザも加わり、四人で「いただきます」と手を合わせた。
「まずは、この茶色いスープから……」
ヒブネはお椀を持ち上げ、味噌汁を一口啜った。
「…………ッ!!」
彼女の長い耳がピンと立った。
「美味しい……! 体の芯から温まります。塩気の中に、深いコクと旨味が……。この『味噌』というのは、魔法の薬ですか!?」
「ただの発酵食品だよ。大豆から出来てるんだ」
「そして、この白い穀物(米)も素晴らしいです! 噛めば噛むほど甘味が溢れてきます。焼き魚の塩気と合わせると、無限に食べられます!」
ヒブネは猛烈な勢いで箸を動かした。
エルフの食事は基本的に薄味で冷たいものが多い。温かくて塩気と旨味のある和食は、彼女にとって衝撃だったのだ。
そうこうしている内に、異変が起きた。
「なんだ、この匂いは……?」
「たまらなく良い匂いがするぞ……」
味噌汁と炊きたてご飯の香りは、風に乗って里中に拡散していた。
木の幹の陰から、葉っぱの間から、エルフたちが一人、また一人と顔を出し始めたのだ。
彼らは皆、少し痩せていて、物欲しそうな顔で太郎たちの食卓を見つめている。
「あ……」
太郎は箸を止め、苦笑いした。
(そりゃあ、毎日木の実じゃ飽きるよね……)
「良かったら食べます? たくさん作ったので」
太郎は大鍋に入った味噌汁と、おひつに入ったご飯を見せた。
「い、いいのか!?」
「人間、かたじけない!」
最初は警戒していたエルフたちだったが、空腹と香りには勝てなかった。
彼らはワラワラとテラスに集まり、配られた紙コップに入った味噌汁と、紙皿のご飯を受け取った。
「う、うまい!」
「なんだこれは! 涙が出るほど温かいぞ!」
「この『シャケ』という魚、皮まで美味い!」
バクバクバクッ!
普段は少食で上品なエルフたちが、夢中でご飯をかっこむ。
中には「おかわり!」と叫ぶ子供もいた。
「すごい食欲だ……」
「ふふ、太郎様の料理は種族を超えますわね」
サリーが微笑みながら、追加の味噌汁をよそう。
ライザもおにぎりを握って渡してあげている。
「長老様! 長老様も食べてみてください!」
「むむっ……人間の施しなど……んぐっ!? ……う、うまい!!」
頑固なゼフィル長老までもが、味噌汁の虜になっていた。
こうして、静寂を愛するはずのエルフの里に、朝から「ズルズル(味噌汁を啜る音)」と「ハフハフ(熱いご飯を食べる音)」が響き渡るという異常事態が発生。
後に『第一次和食ブーム』と呼ばれる、エルフの食文化革命が到来したのだった。
エルフの里での初めての朝。
ツリーハウスの窓から差し込む木漏れ日と、小鳥のさえずりで太郎は目を覚ました。
「ん……よく寝た。空気が澄んでて気持ちいいな」
太郎は伸びをして、テラスに出た。
森の朝は少し肌寒い。こんな朝に恋しくなるのは、やはり温かいあの味だ。
「そうだな……。今日の朝食は『和食』にするか」
太郎はウィンドウを開き、日本の朝ごはんセットを取り出した。
『最高級コシヒカリ』、『合わせ味噌』、『乾燥わかめ』、『豆腐』。
おかずには『焼き鮭(真空パック)』と『袋入りカット野菜』。
「よし、炊くぞ!」
土鍋で米を炊き始めると、甘く芳醇な香りが漂い始める。
次に、カセットコンロで湯を沸かし、出汁入り味噌を溶く。
トントントン……。
豆腐を切る音が心地よく響く。
最後に、フライパンで鮭の皮をパリッと焼く。
「完璧だ……」
テラスのテーブルに並べられたのは、旅館の朝食のような完璧な和定食。
味噌汁の湯気が、森の冷気の中に白く立ち上る。
「おや? 太郎さん、早起きですね」
そこへ、隣の枝からヒブネがひょいと飛び移ってきた。
彼女は鼻をクンクンと動かした。
「……なんと良い香りでしょう。木の実の香りとも、花の蜜とも違う……どこか懐かしく、食欲をそそる匂いです」
「やぁ、ヒブネさんも食べるかい? ちょうど出来たところだよ」
「えっ、よろしいのですか? では、お言葉に甘えて」
起きてきたサリーとライザも加わり、四人で「いただきます」と手を合わせた。
「まずは、この茶色いスープから……」
ヒブネはお椀を持ち上げ、味噌汁を一口啜った。
「…………ッ!!」
彼女の長い耳がピンと立った。
「美味しい……! 体の芯から温まります。塩気の中に、深いコクと旨味が……。この『味噌』というのは、魔法の薬ですか!?」
「ただの発酵食品だよ。大豆から出来てるんだ」
「そして、この白い穀物(米)も素晴らしいです! 噛めば噛むほど甘味が溢れてきます。焼き魚の塩気と合わせると、無限に食べられます!」
ヒブネは猛烈な勢いで箸を動かした。
エルフの食事は基本的に薄味で冷たいものが多い。温かくて塩気と旨味のある和食は、彼女にとって衝撃だったのだ。
そうこうしている内に、異変が起きた。
「なんだ、この匂いは……?」
「たまらなく良い匂いがするぞ……」
味噌汁と炊きたてご飯の香りは、風に乗って里中に拡散していた。
木の幹の陰から、葉っぱの間から、エルフたちが一人、また一人と顔を出し始めたのだ。
彼らは皆、少し痩せていて、物欲しそうな顔で太郎たちの食卓を見つめている。
「あ……」
太郎は箸を止め、苦笑いした。
(そりゃあ、毎日木の実じゃ飽きるよね……)
「良かったら食べます? たくさん作ったので」
太郎は大鍋に入った味噌汁と、おひつに入ったご飯を見せた。
「い、いいのか!?」
「人間、かたじけない!」
最初は警戒していたエルフたちだったが、空腹と香りには勝てなかった。
彼らはワラワラとテラスに集まり、配られた紙コップに入った味噌汁と、紙皿のご飯を受け取った。
「う、うまい!」
「なんだこれは! 涙が出るほど温かいぞ!」
「この『シャケ』という魚、皮まで美味い!」
バクバクバクッ!
普段は少食で上品なエルフたちが、夢中でご飯をかっこむ。
中には「おかわり!」と叫ぶ子供もいた。
「すごい食欲だ……」
「ふふ、太郎様の料理は種族を超えますわね」
サリーが微笑みながら、追加の味噌汁をよそう。
ライザもおにぎりを握って渡してあげている。
「長老様! 長老様も食べてみてください!」
「むむっ……人間の施しなど……んぐっ!? ……う、うまい!!」
頑固なゼフィル長老までもが、味噌汁の虜になっていた。
こうして、静寂を愛するはずのエルフの里に、朝から「ズルズル(味噌汁を啜る音)」と「ハフハフ(熱いご飯を食べる音)」が響き渡るという異常事態が発生。
後に『第一次和食ブーム』と呼ばれる、エルフの食文化革命が到来したのだった。
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