スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第三章 世界の秩序

EP 34

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天使の就職活動と、最強のニートたちの洗礼
​【城下町・ハンバーガーショップ前】
​「はぁ? 旦那様を保護? 天界へ連れ帰る? 何を寝ぼけたことを言っているのかしら?」
​フレアが眉をつり上げ、ヴァルキュリアを睨みつける。背後から炎のオーラが立ち昇る。
​「旦那様は、このフレアの無限の愛情の元、地上で幸せに暮らすのです! 貴女ごときが出しゃばる幕ではありませんわ!」
​「いいえ! その『愛情』が重すぎて危険だと言っているのです!」
​ヴァルキュリアも負けじと黄金のオーラを放つ。
​「貴女たち最強種は奔放すぎる! 私が! 責任を持って神界の聖域で保護(監禁)し、健康的な食事(とたまにハンバーガー)で管理します!」
​「ちょっと待ったぁぁぁ!」
「私の旦那様ですよ! 勝手に所有権を争わないでください!」
​黙っていられないのは正妻たちだ。
サリーとライザが左右から太郎の腕を掴む。
​「太郎様は渡しません!」
「天使族だか何だか知りませんけど、私達がお守りするんです!」
​「い、痛い! 痛いってば!」
​右へグイッ! 左へグイッ!
太郎の体はゴムのように引っ張られる。
​「服が! 服が伸びるぅぅ! お気に入りのユニクロのシャツがぁぁ!」
​四方向からの引っ張り合い。
太郎の意識は遠のき、白い灰になりかけた。
​「はぁ……はぁ……。もう、よく分かんないや……」
​プツン。
太郎の中で何かが切れた。彼は抵抗をやめ、幽霊のような足取りで、ふらふらと城の方角へ歩き出した。
​「あ、旦那様!?」
「お待ち下さい! 太郎殿!!」
​争っていた四人は慌てて休戦し、太郎の後を追った。
​【太郎城・大広間】
​城に戻った一行を待っていたのは、ソファで寛ぐ二柱の最強種だった。
​「ん? 騒がしいと思って戻ってみれば……」
​竜王デュークが、新聞(競馬欄)を畳んで不快そうに顔をしかめた。
その視線の先には、黄金の鎧をまとったヴァルキュリアがいる。
​「何故ここに、天界の犬……天使族が居るのだ? 目障りな。神聖な我がリビングの空気が濁るわ」
​「全くだよ。ケッ、天使族かよ」
​狼王フェリルも、ポテチを齧りながら露骨に嫌な顔をした。
​「天使族ってさぁ、自分たちは『高潔です』みたいな顔して、面倒な雑用とか汚れ仕事は全部僕達に押し付けてくるじゃん? まじブラック企業だよ」
「フェリル様、言葉が過ぎますよ!」
「うるさいなぁ。はぁ~、空気が悪くなるよ。さっさと帰れよ、シッシッ」
​フェリルが犬を追っ払うように手を振る。
ヴァルキュリアの額に青筋が浮かんだ。
​「ぐぬぬ……! 言わせておけば! 私達は私達で仕事があるのです! 世界の管理システム維持に、ルチアナ様の私用(パシリ)に、毎日残業続きで色々と忙しいのです!」
​「ふん、社畜の言い訳など聞きたくもない」
デュークが鼻で笑う。
​そこに、フレアが冷ややかな声で追い打ちをかけた。
​「それで? ヴァルキュリア。貴方は『保護する』とか何とか言って、この城に居座るつもりでしょうけど……」
​フレアは扇子で口元を隠し、冷徹な視線を送った。
​「タダでこの城に滞在して、食って寝てを繰り返すつもり? まさか、誇り高き騎士団長様が、居候(ニート)になるおつもりじゃなくて?」
​その言葉に、デュークとフェリルが反応した。
​「うむ。タダ飯は良くないな。働かざる者食うべからずだ(※自分たちのことは棚に上げている)」
「そうだよ! ここでご飯食べるなら対価が必要だよ! 働けよ、オバサン」
​ブチッ。
ヴァルキュリアの中で何かが切れる音がした。
​「オ……オバサン……!?」
​永遠の若さを誇る天使に対して、禁句中の禁句。
しかし、彼女は反論できなかった。
なぜなら、「太郎の作るハンバーガーを食べたい」という下心がある以上、ここで追い出されるわけにはいかないからだ。
​「うっ……くっ……!」
​(このままでは追い出される……! しかし、ハンバーガーは捨てがたい……! どうすれば……どうすればここに正当に滞在できる!?)
​彼女の脳内会議は、0.1秒で結論を出した。
プライド < ハンバーガー。
​「わ、分かりましたわ!」
​ヴァルキュリアはカツカツと太郎の前に歩み出た。
そして、その場に華麗に跪いた。
ガチャリ、と鎧の音が静まり返った広間に響く。
​「え?」
太郎が目を丸くする。
​ヴァルキュリアは真剣な眼差しで、太郎を見上げた。
​「この神兵騎士団長ヴァルキュリア! 本日をもって天界の籍を(一時的に)離れ、太郎殿を主君と仰ぎましょう!」
​「はぁ!?」
​「貴方の『矛』となり『盾』となり、その身をお守りします! ですから……!」
​彼女はゴクリと唾を飲み込んだ。
​「……ですから、あの『ハンバーガー』とやらを、毎日食べさせてください!! 宿代代わりに!」
​結局、食い気だった。
高潔な騎士の誓いは、ファストフードへの渇望によって塗り替えられたのだ。
​「えええええええええええ!?」
​太郎の絶叫が城に響き渡る。
竜、狼、不死鳥、そして天使。
世界の勢力図を塗り替える最強の戦力が、太郎の「食卓」に集結してしまった瞬間であった。
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