スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第四章 新たな秩序

EP 30

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女王の甘えと、廊下の尋問会
​【太郎国・王城 応接間】
​「ねぇ、太郎……疲れた」
​ふかふかのソファーに身を沈めた魔女王ラスティアが、アンニュイな声で呟いた。
長旅と、久しぶりの城外活動、そして何よりデデリデの反乱鎮圧で、精神的に少し気怠くなっているようだ。
​「え? 疲れたなら、そのソファーを使ってよ。すごく座り心地が良いから、ゆっくりしてなよ」
太郎が気遣わしげに言う。
​しかし、ラスティアはポンポンと、自分の隣のスペースを叩いた。
​「太郎も一緒に座ってよ。……貴方の国の事、もっと教えて」
​上目遣い。
魔性のフェロモンなど使うまでもない、純粋な甘え。
彼女は無意識に、心の拠り所である太郎を求めていた。
​「やれやれ……仕方ないな」
太郎は苦笑いしながらも、拒否せずにラスティアの隣に腰を下ろした。
距離が近い。肩が触れ合いそうだ。
​「えぇっと、僕の国(日本)の事だっけ? そうだなぁ……『スーパー銭湯』っていうのがあってね。天魔窟のVIPコースみたいに、大きなお風呂とサウナがあって……」
​「へぇ……。一緒に入りたいわね」
「いや、それは流石に混浴は……」
​楽しげに談笑する二人。
その様子を、部屋の隅から仁王立ちで見つめる二つの影があった。
​「な、なんなの? あの女……」
サリーの杖を持つ手がわなわなと震え、先端からバチバチと放電している。
「初対面で、あの距離感……!? 『魔性の女』とはまさにこの事ですわ!」
​「『太郎』だなんて、呼び捨てで馴れ馴れしい……」
ライザも剣の柄をギリギリと握りしめている。
「私だって、人前では『太郎様』と呼んで一線を引いているというのに……!」
​二人の背後から、ドス黒いオーラが立ち昇る。
それに気づかず、暢気に茶菓子をつまんでいたフレアが、ふと顔を上げた。
​「ふぇ?」
​その瞬間、サリーとライザがクルリと振り返った。
その目は笑っていなかった。
​「フレアさん……ちょっと、こちらに」
「お話があります」
​「ひぃ……ッ! な、なんですの!? その地獄の底から響くような声は!?」
​フレアが後ずさるが、逃げ場はない。
ガシッ! ガシッ!
両脇を固められ、フレアはズルズルと応接間の外、廊下へと連行されていった。
​【王城・廊下】
​ドンッ!!
​「ひゃうっ!?」
​フレアは壁際に追い詰められ、ライザに右手で壁を叩かれた。見事な壁ドンである。
目の前には、鬼の形相をした二人の妻。
​「ど、どういう事なんですか? フレアさん」
ライザが顔を近づける。
「貴女、魔王城への案内役を買って出たと思ったら……なんて爆弾(もの)を連れて帰って来たのですか!?」
​「そうですわ!」
サリーが詰め寄る。
「ただでさえ、サクヤさんという『絶対的強者(ラスボス)』が家の中に居るのに、さらに『魔族の女王』!? 何でわざわざ、強力な恋敵(ライバル)を増やすのですか!?」
​「バカなの? 鳥頭なの?」
​「ひどっ!?」
フレアは涙目になった。
「だ、だって……仕方ないじゃない! 旦那様の望みだったんだもぉん!」
​フレアは必死に弁解した。
「旦那様が『平和の為に会いたい』って言うから! 私のせいじゃありませんわ! むしろ私も被害者ですのよ!? あの二人、私の目の前でイチャイチャして……うわあああん!」
​「泣いても許しませんわよ!」
「減俸です! 晩御飯のビーフジャーキー抜きです!」
​「そんなぁぁぁ!」
​廊下に不死鳥の悲痛な叫びが響く。
タロウ城のハーレム序列争いは、カオスを極めていた。
​【王城・応接間】
​一方、廊下の騒ぎになど気づかない太郎とラスティアは、平和そのものだった。
​「……というわけで、お風呂上がりのコーヒー牛乳が最高なんだ」
「なるほどねぇ。太郎の世界の文化、興味深いわ」
​一通り話し終えた太郎は、ふと甘いものが食べたくなった。
ちょうどタイミングよく、ワゴンを押したサクヤが入室してくる。
​「失礼致します。お茶のお代わりはいかがですか?」
​「あ、サクヤ」
太郎が顔を輝かせた。
「お茶もいいけど、僕は『ストロベリーパフェ』が食べたいな。苺たっぷりのやつ」
​「パフェ……?」
ラスティアが首を傾げる。
「何だか甘そうな響きね。……私も、同じものをお願いして良いかしら?」
​「畏まりました、太郎様、ラスティア様」
​サクヤは完璧な礼を見せた。
「当家の農園で採れた完熟苺と、搾りたてのミルクで作った特製アイスがございます。すぐ様、極上のパフェをお作り致します」
​「楽しみだな~、パフェ」
太郎がニコニコと笑う。
​「えぇ……本当に、楽しみ」
ラスティアは、太郎の横顔を見つめながら微笑んだ。
彼女が言った「楽しみ」が、パフェのことなのか、それともこれから始まる太郎との生活のことなのか。それは彼女にしか分からない。
​嵐の予感を孕みつつも、今はただ、甘い時間が流れていた。
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