スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第五章 月下の宴

EP 10

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祭りのあと、そして新しい風
​【レオンハート獣人国・特設ステージ裏(楽屋テント)】
​「いち、じゅう、ひゃく、せん……まん!?」
​楽屋テントの中で、リーザの絶叫が響いた。
彼女の目の前には、物販コーナーで売り上げた金貨や銀貨、宝石類が山積みになっている。
​「す、すごいですわ! 過去最高益ですわ! これで今月の家賃どころか、向こう半年の食費と、新しい衣装代と、エステ代まで……!」
​リーザは金貨の山にダイブし、頬ずりをした。
「あぁ~ん♡ 金属の冷たさが心地いいですわ~♡」
​その様子を、太郎とレオがパイプ椅子に座って眺めていた。
​「……逞しいな、君の国のアイドルは」
レオが呆れつつも感心したように言った。
​「あはは。まあ、ハングリー精神が彼女の魅力だからね」
太郎は冷えた麦茶を飲みながら笑った。
​そこへ、テントの幕が勢いよく開かれた。
​「リーザ様ぁぁぁ!! 感動をありがとうございまぁぁす!!」
​飛び込んできたのは、マルシア国のマルダ王だった。
しかし、その姿は以前の威厳ある王ではない。
頭には『LIZA』と書かれたハチマキを巻き、体には『推しが尊い』とプリントされたTシャツ(XLサイズ)をピチピチに着込み、両手には大量のグッズ袋を抱えていた。
​「握手! どうか握手を! CDは保存用と観賞用と布教用で一万枚買いましたぞ!!」
​「あら、太客(ふときゃく)いらっしゃいませ♡」
リーザは瞬時に営業スマイルに切り替え、マルダ王の手を握った。
「ありがとうございます~! 次回のライブのS席チケットも予約しておきますわね♡」
​「おおぉぉ……! この手は洗わん! 一生洗わんぞぉぉ!」
​かつて獣人を「ケダモノ」と蔑んでいた男が、今や獣人の国で一番の浪費家(ファン)となっていた。
​その様子を見て、レオがふっと笑った。
​「フフッ……クククッ」
​「どうしたの? レオ」
​「いや……馬鹿らしくてな。あんな男を恐れ、憎み、殺そうとしていた自分が」
​レオは立ち上がり、テントの隙間から外を見た。
広場では、獣人と人間が入り乱れ、肩を組んで歌い、酒を酌み交わしている。
ラオンが人間の兵士と腕相撲をし、アヤネが子供たちに翼を触らせ、オルカが商人と熱心に商談をしている。
​「……俺が作りたかったのは、恐怖で支配する国じゃない。こういう景色だったんだな」
​レオの背中から、重苦しい覇気が消え、王としての穏やかな風格が漂っていた。
​「太郎。礼を言う」
​レオが振り返り、拳を差し出した。
​「お前のお陰で、俺は『人』に戻れた気がする」
​「よしてくれよ」
太郎も立ち上がり、レオの拳に自分の拳を軽く当てた。
​「僕はただ、友達と旨い酒が飲みたかっただけさ。……また来るよ、レオ」
​「あぁ。いつでも待っている。……次はもっと旨いツマミを用意しておく」
​【太郎国・帰還の空】
​帰り道。
夜明け前の空を、黄金竜デュークがゆったりと飛んでいた。
​『主よ。あのマルシア王、骨の髄まで搾り取られていたな』
デュークが念話で笑う。
​「自業自得だよ。リーザの財布として、これからは平和に貢献してもらうさ」
​太郎はデュークの背中で寝息を立てるリーザを見た。
彼女は夢の中でも「チャリーン……」と寝言を言っている。
​「やれやれ……」
​太郎は遠ざかる北の大地を振り返った。
そこにはもう、戦火の煙はない。
ただ、新しい国が産声を上げ、朝日を受けて輝いているだけだった。
​「さて、帰ったらみんなに土産話をしないとな」
​太郎は大きく伸びをした。
タロウ城では、きっとルチアナたちが「お土産は!?」と騒ぎながら待っていることだろう。
​世界最強の男の、少し長い「お忍び旅行」は、こうしてハッピーエンド(と黒字)で幕を閉じたのであった。
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