FPS世界ランク1位の凸スナ、ニートを辞めて異世界でエンジニアになる~工業高校の資格と現代兵器で、健気なドワーフ娘を救い天下を取る~

月神世一

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EP 14

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ハンドヘルド・マジック・カノン
​ラウスの気まずそうな視線を背中で感じながら、マイユは英一の手を引いて受付カウンターへと一直線に向かった。
そこに座っていたのは、豊満な胸と、頭から生えた角が特徴的な牛耳族の女性だった。
​「スミルさん! こんにちは!」
​「あら、マイユちゃん? 珍しいね、冒険者ギルドに来るなんて。武具の納品は裏口よ?」
​受付嬢のスミル(22歳)は、のんびりとした口調で微笑んだ。彼女はギルドの看板娘であり、荒くれ者の冒険者たちを笑顔一つで手玉に取る手腕の持ち主だ。
​「いいえ、今日は納品じゃなくて……ちょっと魔物討伐をしたくて。この辺りに『レッドオーガ』なんか居ないかなって」
​「レッドオーガぁ!?」
​スミルの丸い目が飛び出しそうになった。
​「討伐依頼は出てるけど……本気なの? あれはCランク相当の強力な魔物よ? 職人のマイユちゃんが戦うなんて無茶だわ!」
​「大丈夫! 私には強い味方が居るから!」
​マイユは隣に立っていた英一の腰にギュッと抱きついた。
​「えっ? ど、どうも……」
​突然の抱擁に、英一は両手を上げて硬直した。コミュ障には刺激が強すぎる。
​「あ、貴方は? 初めて見る顔ね……その服、どこの国の軍服かしら?」
​スミルが英一をジロジロと観察する。
迷彩服に防弾チョッキ、そして背負った黒い長物。明らかに只者ではない雰囲気に、スミルの表情が少し真剣になった。
​「英一さんよ。凄腕なんだから! ……ついでに冒険者登録も済ませたいから、スミルさん、お願いね」
​「わ、分かったわよ。とりあえず用紙に記入して……えっと、貴方が使う武器は何なの?」
​スミルがペンを走らせながら尋ねる。
英一は正直に答えようとした。
​「え? 『銃』と『爆弾』かな。遠距離からの狙撃が得意で……」
​「じゅう? ばくだん?」
​スミルが首を傾げたその瞬間、マイユが慌てて割って入った。
​「えっと! 『魔砲(まほう)』よ! アタシ達ドワーフ族が作り上げた、最新式の携帯型魔砲なの!」
​「ええっ!? 魔砲って……あの飛行船や大都市に配備されてる、あのでっかい大砲のこと?」
​スミルが驚愕の声を上げる。
この世界において『魔砲』とは、数人がかりで運用する据え置き型の重兵器だ。それを個人で持ち運ぶなど常識外れもいいところだ。
​「そ、そうなんです! アタシ、ドワーフの族長とは顔が利くから、試作段階の最新型を特別に貰えたんです! 小型化に成功したけど、威力はそのままで……とにかく凄いんですよ~!」
​マイユは冷や汗をかきながら、精一杯のハッタリをかました。
「異界の武器」などと正直に言えば、国や教会に目をつけられて面倒なことになる。ならば「ドワーフの超技術」として処理した方が安全だという、彼女の咄嗟の判断だった。
​「ほう、そりゃあ凄い。ドワーフの技術はそこまで進化したか」
​突然、背後から野太い声が響いた。
振り返ると、顔に大きな古傷を持つ厳つい男が立っていた。ギルドマスターのダグドだ。
​「あ、ダグドさん。こんにちわ」
​「携帯型の魔砲か……。ロマンがあるな」
​ダグドは英一の背負うM24を一瞥し、ニヤリと笑った。
​「いいだろう。君たちの実力は未知数だが、その装備は只者じゃない。通常はFランクからのスタートだが、期待を込めて『Eランク』からにするが良いか?」
​「ハイ! お願いします!」
「異論はないか? 色男」
​「あ、はい。ありがとうございます(色男って俺のことか?)」
​英一はペコペコと頭を下げた。
​「スミル、手続きを進めてやれ」
「はいはい、ギルマスは甘いんだから。……じゃあこれを」
​スミルは手早く手続きを済ませ、二枚の金属プレートをカウンターに置いた。
​「これがギルドカードよ。無くさないでね」
​「ありがとうございます! やったわね英一さん!」
「あ、ありがとう。……(銃って言っちゃダメだったんだな。マイユ、ナイスフォローだ)」
​英一は安堵のため息をつきながらカードを受け取った。
​「じゃあ、レッドオーガ討伐依頼はこれよ。森の奥の洞窟付近での目撃情報があるわ。……本当に気をつけてね?」
​スミルから依頼書を受け取る。
そこには『レッドオーガの討伐:報酬 金貨10枚』と書かれていた。
​「よし、行こう英一さん! 素材も報酬もゲットよ!」
「おう。……(レッドオーガか。ヘッドショット一発で沈めてやる)」
​二人は冒険者ギルドを後にした。
その背中を、遠くからラウスが複雑な表情で見送っていたことに、二人はまだ気づいていなかった。
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