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没落ゲーマー
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引きこもりの鉄板と言えばゲームだろう。
俺は、当時はやっていたゲームをやり込んでいた。
だが、ただやり込むだけでは虚しい。
だから、オンラインの画面上で世間とのつながりは持ち続けた。
その日のニュースで何を語られていたのか。
今、世の中の関心は何処にあるのか。
置いて行かれない様、必死に探っていた。
引きこもりから3か月。情報だけで言えば「通」の部類に入った。
毎日喧嘩ばかりの母とも、食事の席だけは
集めた情報によって、何とか会話には着いて行けたし
ゲーム内でも、逆にニュースやネット記事について発信する側へと変わっていた。
漸く、立ち直る為の環境が整ってきた矢先
俺にはある一つの災難が降りかかる。
携帯や保険料といった支払いが滞り始めたのだ。
人間、3か月も働いて居なければ貯金など使い果たす。
それに気付いた時はもう手遅れなのだ。
慌てて、仕事を探しロクに色々と調べもせず
手近な介護施設に働く事が決まる。
しかし、そう簡単に許してくれないのが拒食から派生した吐き気の問題だ。
俺はほぼ毎日、出勤前には必ず、トイレに篭り履いてから出勤していた。
そんな俺を見て見ぬフリをするように
母の出勤は日増しに早くなり、気付けば俺と母の出勤時間は1時間もズレた。
無理もない。
毎日、訳も分からず吐き続ける息子。
その原因が「仕事が嫌だという甘え」という考えの人だ。
むしろ、俺が吐く度に母の怒りは熱量を増した。
こうなっては、毎日が戦争である。
そして、ある日。初めて母が精神科で診てもらう事を打診してきたのである。
促されるまま、俺は精神科を受診。
そこで初めて「不安障害」という病名が付いた。
俺は心底安堵した。
約4年近く悩んだ「正体不明の症状」が「治せる病」だと解かったのだから。
だが、母は納得しなかった。
異常者を生んだ覚えはない。と。
きっと母の心も揺れていたであろう。
そんな弱い子供に育てたつもりはない。と
だが、時代はそうまで若者に厳しい時代になった。
今では、小学生までもが人生に苦しみ、自らを絶とうとする世の中だ。
何かを変えなければと思っても、中々変わらない世の中である。
暫くの間、母との冷戦は続く事になる。
だが、唯一母が折れた場面があったのだ。
毎日吐いてでも出勤する俺に母は告げた。
「もう、辞めてもいい。その代わり、ちゃんと立ち直りなさいよ。」
本来であれば、この一言は感動すら誘う殺し文句だ。
だが、俺は不思議と悔しかった。
あの母が、子供のころから厳しかった母が、折れたのだ。
それはつまり、匙を投げられたのだと、俺は認識した。
その日の夜
全く違う意味で、一晩を泣きはらした事は言うまでもない事だ。
俺は、当時はやっていたゲームをやり込んでいた。
だが、ただやり込むだけでは虚しい。
だから、オンラインの画面上で世間とのつながりは持ち続けた。
その日のニュースで何を語られていたのか。
今、世の中の関心は何処にあるのか。
置いて行かれない様、必死に探っていた。
引きこもりから3か月。情報だけで言えば「通」の部類に入った。
毎日喧嘩ばかりの母とも、食事の席だけは
集めた情報によって、何とか会話には着いて行けたし
ゲーム内でも、逆にニュースやネット記事について発信する側へと変わっていた。
漸く、立ち直る為の環境が整ってきた矢先
俺にはある一つの災難が降りかかる。
携帯や保険料といった支払いが滞り始めたのだ。
人間、3か月も働いて居なければ貯金など使い果たす。
それに気付いた時はもう手遅れなのだ。
慌てて、仕事を探しロクに色々と調べもせず
手近な介護施設に働く事が決まる。
しかし、そう簡単に許してくれないのが拒食から派生した吐き気の問題だ。
俺はほぼ毎日、出勤前には必ず、トイレに篭り履いてから出勤していた。
そんな俺を見て見ぬフリをするように
母の出勤は日増しに早くなり、気付けば俺と母の出勤時間は1時間もズレた。
無理もない。
毎日、訳も分からず吐き続ける息子。
その原因が「仕事が嫌だという甘え」という考えの人だ。
むしろ、俺が吐く度に母の怒りは熱量を増した。
こうなっては、毎日が戦争である。
そして、ある日。初めて母が精神科で診てもらう事を打診してきたのである。
促されるまま、俺は精神科を受診。
そこで初めて「不安障害」という病名が付いた。
俺は心底安堵した。
約4年近く悩んだ「正体不明の症状」が「治せる病」だと解かったのだから。
だが、母は納得しなかった。
異常者を生んだ覚えはない。と。
きっと母の心も揺れていたであろう。
そんな弱い子供に育てたつもりはない。と
だが、時代はそうまで若者に厳しい時代になった。
今では、小学生までもが人生に苦しみ、自らを絶とうとする世の中だ。
何かを変えなければと思っても、中々変わらない世の中である。
暫くの間、母との冷戦は続く事になる。
だが、唯一母が折れた場面があったのだ。
毎日吐いてでも出勤する俺に母は告げた。
「もう、辞めてもいい。その代わり、ちゃんと立ち直りなさいよ。」
本来であれば、この一言は感動すら誘う殺し文句だ。
だが、俺は不思議と悔しかった。
あの母が、子供のころから厳しかった母が、折れたのだ。
それはつまり、匙を投げられたのだと、俺は認識した。
その日の夜
全く違う意味で、一晩を泣きはらした事は言うまでもない事だ。
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