姫様!最弱剣士が護衛に付くようです!!

メカ

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剣士「ブレア」

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執務室に戻ったマルタンは、机いっぱいにある資料を並べ
腕組みをしながら唸っていた。

「剣士ブレア・・・5年前突然、我が国に現れた異国の剣士。」

5年前・・・

「マルタン様!報告申し上げます!」

「何事か?」

「城下町にて、成りの怪しき者が紛れ込んでいると国民より通報が。」

「成りの怪しき者だと?」

「は、目撃証言によりますと、全身藍染の衣をまとい、スカートを履いた女装をしている。と」

「そんな変人、直ぐに引っ立てんか。報告するまでもない。」

「それが・・・。」

「何だ。」

「逃げ足が恐ろしく早く・・・町の衛士だけでは・・・。」

「分かった。現場の指揮は私が摂ろう。それと王宮護衛の直轄部隊にも声を掛けよ。」

しかし、それから一週間。そ奴を捕える事は出来なかった。
かの者は逃げ足だけでなく、直感が鋭い。
待ち伏せ・尾行・追撃どんなに手を尽くしても、それを嘲笑うかのように煙に撒くのだ。
漸く捕まえ、王の前に引っ立てる事が出来たが、かの者は正体を一切、明かそうとはしなかった。
しかし、その代わりに国までたどり着いた経緯などは事細かく話し出した。

東洋の国からやって来た事。
自国が他国の侵略に会い、命からがら逃げ延び、多くの国を巡った事
国から逃げる際に、3つになる統治者の息子を連れだって逃げていた事
道中、信頼の置けるものにその息子を託し、自身が逃げ回る事で追っ手の目を攪乱させていた事

話を聞いた王はかの者の忠義に胸を打たれ、騎士として徴用した。
後日分かった事だが、かの者の着物は女装ではなく、胴着と袴というものである。と判明した。

・・・・・

「知将として名を馳せたこの私を一週間と短い時間であるが手玉に取った才覚。・・・恐ろしい。」

だが、彼が最弱だと言われるのには理由がある。
それは、3年前の事だ。
我が国に貿易に来ている行商。その護衛の任を受け持った彼は国を目の前にして夜盗に襲われる。
その数、10人。
対して、護衛に付いたのは2人のみ。
夜盗の奇襲により、深手を負った騎士はその争いの最中、息絶えた。
かの者も襲撃の際、頭部を殴打され致命的な傷を負うも、夜盗を撃退。
国に戻った彼は手厚く医療が施され一命をとりとめた。
しかし、目覚めた彼は記憶を失っていたのだ。

その数か月後
隣国との小競り合いの最中、彼の奇策により
敵兵を誰一人打ち取る事無く、撃退してみせた。
その功績から彼は騎士公の称号と「ブレア」という仮の名を得たのだ。

そして、去年行われた武術大会。
当然、ブレアも参加していたが・・・。
初戦敗退。続く敗者復活戦でも凡そ20秒という速さで負けているのだ。
しかも、どちらの勝負もブレアからの攻撃が一切当たる事無く終わったのだ。

これを機に
多くの騎士公達からは騎士の面汚しであるとされ、騎士公を剥奪されるに至った。

尚、彼が記憶喪失に陥ってしまった事は、王宮でも限られた者にしか開示されていない情報である。

これが剣士「ブレア」の現在までの全てである。

「このような者を、姫様の御傍に置くとは、陛下の考え、このマルタンにはさっぱりですぞ・・・。」
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