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「必ず!」
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第一王女ジュナの捜索は日増しに勢力を拡大し、ついには王国の外まで手は伸びた。
城下町に降った雪は、兵士たちの行進によって、その色を変えていた。
「国王陛下!謁見を希望する男女二人組が城門に来ておりますが・・・。」
「この一大事にか!お引き取り願え!」
「それが・・・。」
・・・・・。
病室にて。
ベットに腰かけているブレアは、松葉杖を手にし、立ち上がった。
数ヶ月横になっていた為に、筋力は衰え、歩く事で精一杯だ。
「くそ・・・。」
水道からコップ一杯の水を手にするのに5分以上もかかった。
松葉杖があっても、気を抜けばすぐにでも尻もちを突き兼ねない。
そこへ、一人の男がやってきた。
「本当に、ケガをしていたんだな。」
「・・・エドモンド・・・。」
直後、もう一人の見慣れた顔もやって来た。
「マリーまで・・・。どうしたんだ?」
「・・・この野郎!何がどうしただ!お前がケガで動けなかったせいでジュナが攫われたんだぞ!
よくも平気な顔していられるなぁ!」
「う、うわ!」
「ちょっと!エド。病室よ。やめてよ!」
エドモンドは勢い良くブレアの胸倉を掴み、突き飛ばす。
ブレアは簡単に倒れ込んだ。
それを見たマリーは、焦ってエドモンドの腕を掴み静止にはいる。
「放せよ!マリー!こいつがもっとしっかりしてりゃこんな事にはならなかったんだ!」
「平気な訳・・・ないだろう。何も出来なかったんだぞ!?後から知らされたんだぞ!?
悔しいに決まっているだろう!」
「悔しい?そうだろうさ!凡人の俺と交わした約束すらマトモに果たせない無能な騎士様だもんなぁ!」
「エドってば!辞めてって!」
エドモンドは倒れたブレアに馬乗りになり、再び胸倉を激しく揺する。
マリーはその腕を必死に離そうとするが、如何せん男の力には遠く及ばない。
「・・・どうして守ってやらなかったんだよ!」
「すまない。動ける状態じゃなかったんだ。」
「守るって、言ったじゃねぇかよ!・・・男としてよぉ!」
「・・・本当に、すまない。」
「男同士の約束も守れねぇのかよ・・・騎士って奴はよぉ・・・。」
「・・・。」
「返してくれよ・・・。俺の大事な家族をッ!」
エドモンドにとって、ジュナは妹の様な存在である。
孤児院で最年長であるエドモンド。他の子ども達とは年も離れている為
兄弟というよりもちょっとした父親代わりの存在であった。
だが、彼が一本の柱として折れなかった理由。
それは、共に育ってきたマリーとジュナが、彼を支えていたからである。
それ故に、エドモンドにとっては2人が特別な存在であり、一際大切に関わって来た家族なのだ。
彼の頬を伝う涙が、より強烈にその思いを物語る。
「必ず、見つけ出して見せよう。そして、その時には必ず一番にエドモンド・・・君に知らせよう。」
ブレアの目の色が変わる。
それをみたエドモンドは、無言で腹上から退き、手を差し出した。
2人を城門まで見送るブレア。
エドの背中は、丸く、小さくなりマリーによって支えられている。
歩き去っていくその背中と、彼の痛ましい嗚咽が目と耳に焼き付いた。
城下町に降った雪は、兵士たちの行進によって、その色を変えていた。
「国王陛下!謁見を希望する男女二人組が城門に来ておりますが・・・。」
「この一大事にか!お引き取り願え!」
「それが・・・。」
・・・・・。
病室にて。
ベットに腰かけているブレアは、松葉杖を手にし、立ち上がった。
数ヶ月横になっていた為に、筋力は衰え、歩く事で精一杯だ。
「くそ・・・。」
水道からコップ一杯の水を手にするのに5分以上もかかった。
松葉杖があっても、気を抜けばすぐにでも尻もちを突き兼ねない。
そこへ、一人の男がやってきた。
「本当に、ケガをしていたんだな。」
「・・・エドモンド・・・。」
直後、もう一人の見慣れた顔もやって来た。
「マリーまで・・・。どうしたんだ?」
「・・・この野郎!何がどうしただ!お前がケガで動けなかったせいでジュナが攫われたんだぞ!
よくも平気な顔していられるなぁ!」
「う、うわ!」
「ちょっと!エド。病室よ。やめてよ!」
エドモンドは勢い良くブレアの胸倉を掴み、突き飛ばす。
ブレアは簡単に倒れ込んだ。
それを見たマリーは、焦ってエドモンドの腕を掴み静止にはいる。
「放せよ!マリー!こいつがもっとしっかりしてりゃこんな事にはならなかったんだ!」
「平気な訳・・・ないだろう。何も出来なかったんだぞ!?後から知らされたんだぞ!?
悔しいに決まっているだろう!」
「悔しい?そうだろうさ!凡人の俺と交わした約束すらマトモに果たせない無能な騎士様だもんなぁ!」
「エドってば!辞めてって!」
エドモンドは倒れたブレアに馬乗りになり、再び胸倉を激しく揺する。
マリーはその腕を必死に離そうとするが、如何せん男の力には遠く及ばない。
「・・・どうして守ってやらなかったんだよ!」
「すまない。動ける状態じゃなかったんだ。」
「守るって、言ったじゃねぇかよ!・・・男としてよぉ!」
「・・・本当に、すまない。」
「男同士の約束も守れねぇのかよ・・・騎士って奴はよぉ・・・。」
「・・・。」
「返してくれよ・・・。俺の大事な家族をッ!」
エドモンドにとって、ジュナは妹の様な存在である。
孤児院で最年長であるエドモンド。他の子ども達とは年も離れている為
兄弟というよりもちょっとした父親代わりの存在であった。
だが、彼が一本の柱として折れなかった理由。
それは、共に育ってきたマリーとジュナが、彼を支えていたからである。
それ故に、エドモンドにとっては2人が特別な存在であり、一際大切に関わって来た家族なのだ。
彼の頬を伝う涙が、より強烈にその思いを物語る。
「必ず、見つけ出して見せよう。そして、その時には必ず一番にエドモンド・・・君に知らせよう。」
ブレアの目の色が変わる。
それをみたエドモンドは、無言で腹上から退き、手を差し出した。
2人を城門まで見送るブレア。
エドの背中は、丸く、小さくなりマリーによって支えられている。
歩き去っていくその背中と、彼の痛ましい嗚咽が目と耳に焼き付いた。
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