元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです

Atelier Lotus

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7話 大聖女の生家

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 シャルロットの目的。即ち、フルールの町に来た理由は、大聖女――ミュゲ・ジプソフィルの生家に行く為である。

 つまりは、前世の自分の家に帰る為である。

 そしてその家の庭には。ミュゲが作った両親の墓がある。

 シャルロットは、前世の自分の両親の墓参りをしようと思ったのである。

 だがミュゲは、百年以上前に亡くなっている人物である。家はおろか墓すらもうなくなっているかもしれない。

 シャルロットは、ソレイユに恐る恐る質問する。

「大聖女様のお家って、まだ残ってる?」

 と。

 するとソレイユは、馬鹿にするようにこう言った。

「シャルロット、何寝ぼけたこと言ってんだ。ここは一応大聖女様生誕の町なんだぜ、あるに決まってるじゃないか! 大聖女記念館として残ってるよ」

「ほんと! よかった」

「なにがよかったか分かんねぇけど、よかったな」

「案内してくれない?」

「いいぜ」

 シャルロットとソレイユは、大聖女の生家に向かった。
 
 道中。

 シャルロットの記憶にあるフルールとは町並みが全く持って変わっていて、新鮮な気持ちになった。

 そして、しばらくして、見覚えのある景色が見えて来た。

 大聖女の生家は、シャルロットが前世に記憶しているものと全くそのままで残っていた。

 ただ前世の記憶と違う点は、裏に大きな霊園が広がっていた。

 シャルロットは、目を丸くした。
 
「凄い、そのまま残ってるんだね」

「そうなんだぜ。大聖女様の生前のそのまま残してあるんだぜ! 今の教皇様がそうしたんだ」

「今の教皇様って誰?」

「サンセリテ様だよ!」

 サンセリテ。
 
 シャルロットは、その名前に覚えがあった。

 サンセリテは、シャルロットの前世――ミュゲ・ジプソフィルの旧友であり、親友であり、魔王討伐に同行したエルフの魔法使いである。

 確か魔王討伐の後、魔法を極めつつ教会入りして修道士となったことは知っていたけど、百五十年も経てば出世するものである。

 まだ、生きていたとは――

 シャルロットは、そう思った。

 まさか、サンセリテが教皇になっているとは思わなかった。

 シャルロットは、感嘆の声を漏らした。

「へえ、あのサンセリテが教皇になったんだ」

「様。サンセリテ様な、シャルロット。サンセリテ様は凄いんだぜ! 魔王討伐以前から生きている、ナルシス王国の生き字引なんだぜ!」

「うんうん」

「しかも、あの大聖女様と一緒に魔王討伐も成し遂げた、凄いお方なんだぜ!」

「へえ、凄いわねぇ」

「おいシャルロット。なんでお前がにやけてんだ」

「え?」

 シャルロットは、にやけていた。自分が褒められていると思ったからである。

「いや、凄い人だからつい」

「まあ、気持ちはわかるぜ。記念館見に行ったら凄さが分かるぜ!」

 シャルロットとソレイユは、大聖女の生家に入った。

 内装も、シャルロットの記憶のそのままであった。

 大聖女記念館と銘打っているから、ミュゲ・ジプソフィルが生前に使っていたと思われる私物が展示されていた。

 その中には、シャルロットが大聖女時代にお気に入りだった茶器もあった。

 シャルロットは、つぶやく。

「あ、これ私が愛用してたティーカップじゃない。持って帰りたいなぁ。あ、こっちは愛用してた羽ペン」

 しかし、その隣に安置されていた展示物をみて赤面した。

 そこに置かれてあった展示は、大聖女――ミュゲ・ジプソフィルが生前使っていたと思われる、数々の手帳であった。

「え、なんでこれが置いてあるの? 処分してくれたんじゃなかったの!」

「あ、大聖女様の手帳だって。今までの冒険譚が書かれているんだって」

「へぇ、そうなんだ」

 シャルロットは、複雑な気持ちになった。

 内容は、ただのロマンス小説なのである。

 シャルロットは、再びサンセリテと相見えることがあったならば文句を言おうと決意した。




 
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