9 / 33
7話 大聖女の生家
しおりを挟む
シャルロットの目的。即ち、フルールの町に来た理由は、大聖女――ミュゲ・ジプソフィルの生家に行く為である。
つまりは、前世の自分の家に帰る為である。
そしてその家の庭には。ミュゲが作った両親の墓がある。
シャルロットは、前世の自分の両親の墓参りをしようと思ったのである。
だがミュゲは、百年以上前に亡くなっている人物である。家はおろか墓すらもうなくなっているかもしれない。
シャルロットは、ソレイユに恐る恐る質問する。
「大聖女様のお家って、まだ残ってる?」
と。
するとソレイユは、馬鹿にするようにこう言った。
「シャルロット、何寝ぼけたこと言ってんだ。ここは一応大聖女様生誕の町なんだぜ、あるに決まってるじゃないか! 大聖女記念館として残ってるよ」
「ほんと! よかった」
「なにがよかったか分かんねぇけど、よかったな」
「案内してくれない?」
「いいぜ」
シャルロットとソレイユは、大聖女の生家に向かった。
道中。
シャルロットの記憶にあるフルールとは町並みが全く持って変わっていて、新鮮な気持ちになった。
そして、しばらくして、見覚えのある景色が見えて来た。
大聖女の生家は、シャルロットが前世に記憶しているものと全くそのままで残っていた。
ただ前世の記憶と違う点は、裏に大きな霊園が広がっていた。
シャルロットは、目を丸くした。
「凄い、そのまま残ってるんだね」
「そうなんだぜ。大聖女様の生前のそのまま残してあるんだぜ! 今の教皇様がそうしたんだ」
「今の教皇様って誰?」
「サンセリテ様だよ!」
サンセリテ。
シャルロットは、その名前に覚えがあった。
サンセリテは、シャルロットの前世――ミュゲ・ジプソフィルの旧友であり、親友であり、魔王討伐に同行したエルフの魔法使いである。
確か魔王討伐の後、魔法を極めつつ教会入りして修道士となったことは知っていたけど、百五十年も経てば出世するものである。
まだ、生きていたとは――
シャルロットは、そう思った。
まさか、サンセリテが教皇になっているとは思わなかった。
シャルロットは、感嘆の声を漏らした。
「へえ、あのサンセリテが教皇になったんだ」
「様。サンセリテ様な、シャルロット。サンセリテ様は凄いんだぜ! 魔王討伐以前から生きている、ナルシス王国の生き字引なんだぜ!」
「うんうん」
「しかも、あの大聖女様と一緒に魔王討伐も成し遂げた、凄いお方なんだぜ!」
「へえ、凄いわねぇ」
「おいシャルロット。なんでお前がにやけてんだ」
「え?」
シャルロットは、にやけていた。自分が褒められていると思ったからである。
「いや、凄い人だからつい」
「まあ、気持ちはわかるぜ。記念館見に行ったら凄さが分かるぜ!」
シャルロットとソレイユは、大聖女の生家に入った。
内装も、シャルロットの記憶のそのままであった。
大聖女記念館と銘打っているから、ミュゲ・ジプソフィルが生前に使っていたと思われる私物が展示されていた。
その中には、シャルロットが大聖女時代にお気に入りだった茶器もあった。
シャルロットは、つぶやく。
「あ、これ私が愛用してたティーカップじゃない。持って帰りたいなぁ。あ、こっちは愛用してた羽ペン」
しかし、その隣に安置されていた展示物をみて赤面した。
そこに置かれてあった展示は、大聖女――ミュゲ・ジプソフィルが生前使っていたと思われる、数々の手帳であった。
「え、なんでこれが置いてあるの? 処分してくれたんじゃなかったの!」
「あ、大聖女様の手帳だって。今までの冒険譚が書かれているんだって」
「へぇ、そうなんだ」
シャルロットは、複雑な気持ちになった。
内容は、ただのロマンス小説なのである。
シャルロットは、再びサンセリテと相見えることがあったならば文句を言おうと決意した。
つまりは、前世の自分の家に帰る為である。
そしてその家の庭には。ミュゲが作った両親の墓がある。
シャルロットは、前世の自分の両親の墓参りをしようと思ったのである。
だがミュゲは、百年以上前に亡くなっている人物である。家はおろか墓すらもうなくなっているかもしれない。
シャルロットは、ソレイユに恐る恐る質問する。
「大聖女様のお家って、まだ残ってる?」
と。
するとソレイユは、馬鹿にするようにこう言った。
「シャルロット、何寝ぼけたこと言ってんだ。ここは一応大聖女様生誕の町なんだぜ、あるに決まってるじゃないか! 大聖女記念館として残ってるよ」
「ほんと! よかった」
「なにがよかったか分かんねぇけど、よかったな」
「案内してくれない?」
「いいぜ」
シャルロットとソレイユは、大聖女の生家に向かった。
道中。
シャルロットの記憶にあるフルールとは町並みが全く持って変わっていて、新鮮な気持ちになった。
そして、しばらくして、見覚えのある景色が見えて来た。
大聖女の生家は、シャルロットが前世に記憶しているものと全くそのままで残っていた。
ただ前世の記憶と違う点は、裏に大きな霊園が広がっていた。
シャルロットは、目を丸くした。
「凄い、そのまま残ってるんだね」
「そうなんだぜ。大聖女様の生前のそのまま残してあるんだぜ! 今の教皇様がそうしたんだ」
「今の教皇様って誰?」
「サンセリテ様だよ!」
サンセリテ。
シャルロットは、その名前に覚えがあった。
サンセリテは、シャルロットの前世――ミュゲ・ジプソフィルの旧友であり、親友であり、魔王討伐に同行したエルフの魔法使いである。
確か魔王討伐の後、魔法を極めつつ教会入りして修道士となったことは知っていたけど、百五十年も経てば出世するものである。
まだ、生きていたとは――
シャルロットは、そう思った。
まさか、サンセリテが教皇になっているとは思わなかった。
シャルロットは、感嘆の声を漏らした。
「へえ、あのサンセリテが教皇になったんだ」
「様。サンセリテ様な、シャルロット。サンセリテ様は凄いんだぜ! 魔王討伐以前から生きている、ナルシス王国の生き字引なんだぜ!」
「うんうん」
「しかも、あの大聖女様と一緒に魔王討伐も成し遂げた、凄いお方なんだぜ!」
「へえ、凄いわねぇ」
「おいシャルロット。なんでお前がにやけてんだ」
「え?」
シャルロットは、にやけていた。自分が褒められていると思ったからである。
「いや、凄い人だからつい」
「まあ、気持ちはわかるぜ。記念館見に行ったら凄さが分かるぜ!」
シャルロットとソレイユは、大聖女の生家に入った。
内装も、シャルロットの記憶のそのままであった。
大聖女記念館と銘打っているから、ミュゲ・ジプソフィルが生前に使っていたと思われる私物が展示されていた。
その中には、シャルロットが大聖女時代にお気に入りだった茶器もあった。
シャルロットは、つぶやく。
「あ、これ私が愛用してたティーカップじゃない。持って帰りたいなぁ。あ、こっちは愛用してた羽ペン」
しかし、その隣に安置されていた展示物をみて赤面した。
そこに置かれてあった展示は、大聖女――ミュゲ・ジプソフィルが生前使っていたと思われる、数々の手帳であった。
「え、なんでこれが置いてあるの? 処分してくれたんじゃなかったの!」
「あ、大聖女様の手帳だって。今までの冒険譚が書かれているんだって」
「へぇ、そうなんだ」
シャルロットは、複雑な気持ちになった。
内容は、ただのロマンス小説なのである。
シャルロットは、再びサンセリテと相見えることがあったならば文句を言おうと決意した。
109
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
2025/9/29
追記開始しました。毎日更新は難しいですが気長にお待ちください。
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる