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14話 うさぎのリュンヌ
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兎人種の女は、リュンヌと名乗った。
リュンヌは鉄ランクであった。
鉄ランクは、冒険者のキャリアで言うならば、中堅クラスである。
そんなリュンヌが、なぜ駆け出し冒険者のシャルロットとソレイユと同行したいかと言うと、目当ては痩せ薬であった。
痩せ薬。
シャルロット曰く、飲めばたちまち脂肪を燃焼する薬であるとのことだ。
リュンヌは、その痩せ薬を欲しがったのである。
リュンヌは、語る。
「私、兎人種じゃないですか。兎人種って毎日沢山の栄養を必要とするのですよ。それでつい食べすぎちゃって痩せなきゃいけないのですよ」
とのことらしい。
それで、小銀貨数枚と痩せ薬の報酬でクロガネ山に同行してもらう事になった。
クロガネ山。
ギルドの情報によると、痩せ薬の原料のムスリ草は、クロガネ山の麓付近に多く自生しているらしい。
道中。
ソレイユは、リュンヌに問う。
「こんな安い報酬で来てもらって良かったのか?」
「もちろんです! 痩せれるなら背も腹も変えられません!」
「ふーん。それで、シャルロットもあんたも痩せ薬ね。痩せ薬の話が嘘だったらどうすんだよ?」
「嘘なのですか?」
「いや、こいつのことだから嘘ってことはないけど、普通疑うだろ、痩せ薬って。お前、騙されやすいんじゃないのか?」
「え! なんで分かったのですか!」
リュンヌは、驚く。
ソレイユは、ため息をついた。
「騙されやすいのかよ」
「はい! 兎人種は人懐っこい温厚な性格の人が多いので、大変です」
「あっそ。まあ、でも、コイツの力は凄いから、本当だと思うぜ」
「そうですよね! ギルドで売ってる薬も、実は光魔法で作った薬ですよね!」
シャルロットは、ギクッとした。
聖女の力がバレている?
まあ、あそこまで大々的にやったらバレるのも当然だろう。
むしろ、バレてない方がおかしい。
シャルロットは、リュンヌに反論する。
「な、なんのことかな?」
「きっと、あれですよね? 隠されているのですよね? 雰囲気見たら分かりますよ」
「そ、そうなのかな?」
「今は本人の自由になったみたいですが、一昔前は聖女の力――光魔法を持って産まれた人で教会入りしたくない人は、身分を隠して回復士や光魔法士として冒険者になっていたみたいですよ!」
冒険者の素性の詮索は御法度ですから、とリュンヌは続ける。
シャルロットは、なんとなく理解した。
「ねえ、ソレイユ。気づいてたの?」
「そりゃ、当たり前だろ。死にかけでボロボロの状態をどうやって普通の人が一瞬で治せるんだよ」
「ま、まあ」
「けど、なんか、隠してるっぽいからなんも言わなかったけどさ」
…………。
実は目立ちまくりのシャルロットであった。
とにかく、今の時代は聖女の力を持っている人は、強制的に教会入りさせられる訳ではないことを理解した。
しばらく歩く。
そこで、森の草木が擦れる音がした。
リュンヌは、先頭に出た。
「魔物が出ましたね! 私の出番です」
リュンヌは、武器を構えた。彼女の武器はメイスである。大きく武骨で厳しいそれを、彼女は軽々しく扱う。
その時、二頭の狼型の魔物――ガルムが茂みから姿を現した。
リュンヌは、向かってくるガルムの突進を避け、メイスで殴り倒して行った。
それも、一撃であった。
一発で頭を的確に狙い、潰す。
さらに追撃してきたもう一頭のガルムも、飛びかかっていたところを紙一重で交わし、頭を叩き潰した。
これが、鉄ランクの実力である。
リュンヌは、返り血を払った。
「終わりました! 先に進みましょう」
しばらく歩いて、ようやくクロガネ山の麓に来た。
数時間探した既に、シャルロットとソレイユはやようやく目当てのムスリ草を採集した。
必要分ムスリ草を採集した一行は、速やかにフルールの町に帰還した。
リュンヌは鉄ランクであった。
鉄ランクは、冒険者のキャリアで言うならば、中堅クラスである。
そんなリュンヌが、なぜ駆け出し冒険者のシャルロットとソレイユと同行したいかと言うと、目当ては痩せ薬であった。
痩せ薬。
シャルロット曰く、飲めばたちまち脂肪を燃焼する薬であるとのことだ。
リュンヌは、その痩せ薬を欲しがったのである。
リュンヌは、語る。
「私、兎人種じゃないですか。兎人種って毎日沢山の栄養を必要とするのですよ。それでつい食べすぎちゃって痩せなきゃいけないのですよ」
とのことらしい。
それで、小銀貨数枚と痩せ薬の報酬でクロガネ山に同行してもらう事になった。
クロガネ山。
ギルドの情報によると、痩せ薬の原料のムスリ草は、クロガネ山の麓付近に多く自生しているらしい。
道中。
ソレイユは、リュンヌに問う。
「こんな安い報酬で来てもらって良かったのか?」
「もちろんです! 痩せれるなら背も腹も変えられません!」
「ふーん。それで、シャルロットもあんたも痩せ薬ね。痩せ薬の話が嘘だったらどうすんだよ?」
「嘘なのですか?」
「いや、こいつのことだから嘘ってことはないけど、普通疑うだろ、痩せ薬って。お前、騙されやすいんじゃないのか?」
「え! なんで分かったのですか!」
リュンヌは、驚く。
ソレイユは、ため息をついた。
「騙されやすいのかよ」
「はい! 兎人種は人懐っこい温厚な性格の人が多いので、大変です」
「あっそ。まあ、でも、コイツの力は凄いから、本当だと思うぜ」
「そうですよね! ギルドで売ってる薬も、実は光魔法で作った薬ですよね!」
シャルロットは、ギクッとした。
聖女の力がバレている?
まあ、あそこまで大々的にやったらバレるのも当然だろう。
むしろ、バレてない方がおかしい。
シャルロットは、リュンヌに反論する。
「な、なんのことかな?」
「きっと、あれですよね? 隠されているのですよね? 雰囲気見たら分かりますよ」
「そ、そうなのかな?」
「今は本人の自由になったみたいですが、一昔前は聖女の力――光魔法を持って産まれた人で教会入りしたくない人は、身分を隠して回復士や光魔法士として冒険者になっていたみたいですよ!」
冒険者の素性の詮索は御法度ですから、とリュンヌは続ける。
シャルロットは、なんとなく理解した。
「ねえ、ソレイユ。気づいてたの?」
「そりゃ、当たり前だろ。死にかけでボロボロの状態をどうやって普通の人が一瞬で治せるんだよ」
「ま、まあ」
「けど、なんか、隠してるっぽいからなんも言わなかったけどさ」
…………。
実は目立ちまくりのシャルロットであった。
とにかく、今の時代は聖女の力を持っている人は、強制的に教会入りさせられる訳ではないことを理解した。
しばらく歩く。
そこで、森の草木が擦れる音がした。
リュンヌは、先頭に出た。
「魔物が出ましたね! 私の出番です」
リュンヌは、武器を構えた。彼女の武器はメイスである。大きく武骨で厳しいそれを、彼女は軽々しく扱う。
その時、二頭の狼型の魔物――ガルムが茂みから姿を現した。
リュンヌは、向かってくるガルムの突進を避け、メイスで殴り倒して行った。
それも、一撃であった。
一発で頭を的確に狙い、潰す。
さらに追撃してきたもう一頭のガルムも、飛びかかっていたところを紙一重で交わし、頭を叩き潰した。
これが、鉄ランクの実力である。
リュンヌは、返り血を払った。
「終わりました! 先に進みましょう」
しばらく歩いて、ようやくクロガネ山の麓に来た。
数時間探した既に、シャルロットとソレイユはやようやく目当てのムスリ草を採集した。
必要分ムスリ草を採集した一行は、速やかにフルールの町に帰還した。
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