お見合い結婚。

真條 沙織

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5-♀

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交際は喧嘩をする事も無く平穏に時が過ぎた、付き合って分かった事は、楓に男性経験が無い事、初めて会った時の自分を飾らないそのままの空気を纏っている事。

司には女性経験が有る、だが変な事はしてこない草食系。

時折ちょっと怪しいムードになった時もあったのだが、手を握る程度で留まっている。

司は部長からのセクハラめいた質問にスルーしながら楓を大切にした。

2人がデートしていた時に楓の知り合いに遭遇した、会社の同僚らしい。


「ごめん、見ちゃった。」

「別に隠してないから…。」


2人の邪魔しちゃ悪いと言い、気を利かせてくれたのか足早に去って行った。

これはアレだな、会社に行ったら皆に囲まれて尋問か?


「明日は大変かもな。」

「え、なぜでしょう?」

「皆に囲まれて質問責めされるんじゃないの?」

「あ~。私は影が薄いから誰も興味は持たないと思う。」

「そうなの?まぁ俺はイケメンじゃないし話題にはならんかな。」

「そんな事ないと思うけど。」


司が楓の頭を撫でて甘い空気を醸し出しているのを隠れて見ている者が居る事を2人は気が付いてないのである。

月曜日になり、楓は普段と変わらず出社し、午前の休憩中。


「本郷さん彼氏いたんだね、優しそうな人だったね。」


声を潜めて話しかけられた言葉を聞き付けた女性社員は楓に詰め寄り質問責めに…。

休憩時間が終わり業務再開。


「ごめん…バレちゃった…。」

「隠してないからいぃよ。」

「昼休みヤバそう…。」

「( ̄▽ ̄;)あはは…。」


そして昼休み、楓本人と目撃者の同僚が囲まれる。


「どこで知り合ったんですか?」
「どんなだったのよ?」
「いつから付き合ってんの?」
「なにッ!?頭ナデナデだと!!」
「エリート商社マン?」
「え?見合いなんですか?」
「鬼ラブラブだっただと!?
「私に彼氏ちょっと貸せッ 」
「え?エリートじゃないの?」
「本郷さんに春が…。」
「肌寒いですね…。」
「ハッ 合コンやろうぜッ」
「どこと合戦ですか?」
「合戦ってなんだょ(笑)」
「彼のデカい?」


最後の何? 鬼ラブラブ?

揉みくちゃにされた昼休みだった。
女子って、こんな話が好きだったなと思い、割と楽しく昼休みを終え仕事に戻った。

その日の内に社内に楓が結婚するとの噂が出た。


「本郷さん結婚するんですか?」

「え…いずれはとは思ってますが、今はまだ。」

「婚約者の話はガセネタって事?」

「婚約者…交際している男性は居ますが、婚約者…なのか分かりません。」


結婚を前提にしたお見合いで知り合ったんで、婚約者になるのかも知れないけど、そんな話してないし、よく分からない。


「そうですか…。」


男性社員がトボトボとフロアを出て行った。なに?


楓は知らない事だが、楓の勤める会社で絶大な人気を誇る女神の[彼氏が居ます]発言は男どもを膝から崩れさせ業務に影響が出たとか。

美人でスタイルが良く、見てるだけで目の保養になるとか癒されるとか、高嶺の花だとか言われている事を楓は知らない。










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