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10 父の暴挙
しおりを挟むリュークが帰った8日後、両親が帰って来た。
夕食後に話しがあると言われ、ミリアとリリスの2人が呼ばれ父の書斎へと向かった。
書斎には母も居て、身の危険を感じた。
父»「来たか。お前達2人を呼んだのは大事な話しがあったからだ。率直に話そう、ミリア、お前の輿入れ先を決めてきた。」
え?輿入れ先?婚約話ではなく?
父»「私が話しを終わるまで黙って聞いていなさい、良いな。」
ミリア»「…。」
父»「このままお前を家に置いておく事は可能だ、だがいずれセリアは嫁ぎセイリッドも妻を迎える、今のままのお前ではセイリッドの妻と子供を家族として見れない所か自分は邪魔な存在ではないかと考えはじめるだろう」
いま既に邪魔な存在だと思っておりますが。
父»「お前が屋敷から出なくなった理由や塞ぎ込んでいる理由は皆から聞いて知っている、少しでも気持ちが穏やかになればと思い自由にさせてきたが、いつまで待っても一向に変わらない、生涯未婚を貫くにしても自立した生活が出来るようにも見えん、もう13歳だ、そろそろ決めておかないと焦って輿入れとなった時にはロクなのが残っていないぞ。」
厄介払いって感じでもない、家から出したいのなら変な相手でも引き取ってくれるだけ有難いはずだ。
父»「この輿入れが不服であれば、生涯お前はリリスを連れてアドマイズ領地を視察して回り国の発展に努めよ。」
国の発展?リリスを街に連れて行くの?
父»「そしてリリス、お前にも輿入れ先を決めてきた。」
なッ!? ビックリしてリリスを見たら目玉が落ちそうなぐらい見開いている、そりゃそうだろう、あまりにも突然すぎるし家主が使用人の輿入れ先を決める事は本来は無い。
ミリア»「リリスの輿入れ先とはどういう事ですか?」
父»「そのままの意味だ。」
ミリア»「なぜ貴方がリリスの輿入れ先を決めるのです?リリスの気持ちを蔑ろにして勝手に決めないで頂きたいです。」
ミリアに超ガンつけられてパパ超ビビっておりますが、そこは上級貴族、顔に出さず背中に汗びっしょり。
父»「お前は専属侍女がどういう存在か知っていてリリスを傍に置いているのか?」
ミリア»「え…?私だけの専属の侍女です。」
父»「そうだろうな、専属侍女とはお前が思っている様な友達とは違うのだぞ、本来 専属侍女とは主人に危険が迫った時に前に出て庇ったり、どうあっても消せない主人の失態を自分の失態として自ら罪を被り命を懸けて守る存在であって、お前達のような友達関係などではない。」
だから専属はリリスだけしか居なかったのか…。
父»「ミリアにその気がなくともリリスはやるぞ、実際セイビスの主催するパーティーで無意識だろうがお前に駆け寄ったそうではないか、たかがあの程度の事で主人を助ける為に。本来であれば今ここにリリスは居ないのだぞ。」
リリスを見たらこっちを見て笑顔を返している。
ミリア»「リリスは専属侍女が何を意味するか知ってたの?」
リリス»「パーティーから戻った後に先輩達から伺いました。」
それでパーティーの後から少しリリスが変に感じたのか?
父»「主人の為に自身の全てを捧げるのが個人専属の侍女だ、お前は自分の身代わりを連れて歩いているのだぞ、そんな事をリリスに望んでいる訳ではないだろう、この先もリリスは専属侍女としてお前に仕えようと思っているはずだ、たとえ専属から外したとしてもな。私は仲の良い2人をもう見てはおれん。」
リリスを心配して輿入れ先を探してきたの?私から離す為に…。
たしかに強引な手段でないとリリスは私の輿入れ先へ確実に同行してくるはず。
リリスに親は居ない、このままだと私の侍女として生涯を過ごすかも知れない。
判断は悪くないが、やり方が強引すぎる。
ミリア»「リリスの輿入れ先とは何処なのでしょうか。」
父が私とリリスに1枚ずつ紙を渡した、自分のより先にリリスの輿入れ先を確認して驚いた。
ガルフィード男爵家の嫡子リュークの第2夫人…第2ッ!?
ミリア»「第2…夫人…?」
リリス»「ミリア様…。」
リリスを見たら私の紙を指差している。
ミリア»「第1夫人?えええええッ!?」
母»「私達に出来る精一杯です、不服かも知れませんが了承して下さい。」
リリスと顔を見合わせ、呆然と立っていると。
父»「ミリアは直ぐにでも輿入れ可能だが、リリスは貴族教育があるのでまだ先だ。」
リリス»「あの、貴族教育とは?」
父»「お前はミリアの侍女として我が家で育った、男爵家へ輿入れするのに貴族教育の必要は無いかも知れないが、もしリューク殿が別の貴族令嬢を娶った場合お前が側室として居たとすれば序列が下がるではないか、そうならない為にアドマイズ家へ養女として迎え入れ、ある程度の貴族教育を施してからガルフィード家へ輿入れさせる。2人が侯爵家の令嬢として男爵家へ輿入れすれば、余程の事がない限り序列が下がる事は無いだろう。」
ミリア»「…。」
リリス»「…。」
ムチャクチャすんなょ、私達がバカすぎてキレたのか?
父»「先方のガルフィード男爵も了承済みだ、息子は知らんがな。お前達には不服かも知れんが、他に思い付かなくてな、嫌でも行け。」
その為に2人揃って9日も領地を空けてたのか、こっちにリューク様が向かってると知って、到着する前に慌てて出たんだ。
リリスを見たら複雑な顔をしているが嫌そうな感じではない。
リューク様は断れないだろうが、もう決まった話しとして通して貰おう。
ミリア»「私は了承致します。」
リリスは私を見て、どーしよー。みたいな顔になっている。
ミリア»「一緒に行こうよ。」
リリス»「ミリア様は宜しいのですか?私もリューク様に輿入れなのですよ?」
ミリア»「ちょっと複雑だけど、知らない人よりは?」
リリス»「…承知致しました。」
父»「私の推測になるが、おそらく3人目は経済的に無いだろう。
お前達なら貴族間の付き合いは無いに等しいので、階級序列で虐められて潰される心配もなく男爵家へ行っても大丈夫ではないかと思う。
誕生日はミリアの方が早かったな、リリスは養子縁組の書類にサインをした後はセイリッドを兄、セリアとミリアを姉と呼ぶのだぞ?侍女ではなく兄妹になるのだからな。」
リリス»「はい、旦那様。」
父»「パパと呼べ。」
リリス»「それはちょっと…。(困)」
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