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嫌味と本音
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ここで話し合っていても、って事で朝陽はまだ出てこられる状態ではないと判断して、Ω関係者だけが入れるシェルター横の部屋に入る事が出来た。シェルターは緊急時に入る時は簡単にできるが、シェルターが使用されると扉は簡単には開かない状態になる。出る時は内扉と外扉を開かないと出れない。内扉はΩ自身が外扉はΩ関係者が開く決まりになってる、関係者が居なければ外扉を開く資格を持つ者と決められてるのでシェルターがある施設には資格者が必ず居る事が定められてる。
「先に着替えて来なさい」
着替えたい気持ちもあるが今は少しも離れたくない。
「出てきたら教えてやるから」
父が居るなら安心できる。少しだけ離れることに決意した。
「すみません。すぐに着替えて来ますので少しお待ちください」
「急がなくても大丈夫ですよ」
朝陽の父親は子を安心させるようにニコッと笑いかけてくれた。運命に出会って初めて安堵できたと同時に、何か張りつめていたものが取れた気がした。本人をよく知らないのに、こんな親に育てられた朝陽はきっといい子なんだろうなと思える。
「そうですよ、外扉は私か父さんが開けるのでそのまま帰って大丈夫ですので安心して日常に戻ってください。お詫びは後日改めて私が伺いますので」
なんだろう、何かしら突っかかってくるが番の兄だと思えば邪険にもできない相手でもある。。少し前までは一人称は俺だったのに今では私となった。朝陽の兄にかなり警戒されたと見て間違いないだろう。ファーストコンタクトに失敗した。
「そっか、すみません気が付かなくて。朝から大忙しだったはず、疲れてますよね。どうぞ家でゆっくりと休まれて下さい」
朝陽の父親はなにをどう解釈したのか大きく路線を外して明後日の方向に話がそれてしまった。
隣にいた父は何度か瞬きを繰り返して朝陽の父親を見てる。自分の父の戸惑いを初めて見るなと、どうでもいいことを思い始めてしまった。
「あー、そうだな、うん美玲、今服を持ってきてもらうから、ついでにお風呂も入りなさい」
父はその場をかなり強引に仕切り始めてしまった。
お茶を入れお菓子を出してる間に父の部下が持ってきてくれた服と洗面道具を受け取るとそのまま言われた通りに風呂に直行した。
風呂から出るといかにも待ち構えてましたといわんばかりの兄に笑ってしまった。
「遠慮というものを知らないんですか」
薬の副作用なのだろう。気を張ってないと頭がボーッとして来る。
「時と場合によりますね。今遠慮してしまったら朝陽をどこかに隠されてしまう予感しかしないので、今は朝陽の側から離れたくない」
「貴方のご両親も運命だとか。どれだけ夢見がちなんですか」
大事な朝陽の兄に駆け引きをしてさらに嫌われたくもない。なんと思われようが本心を言う事にした。
「俺も夢見がちと思ってたけど、子供の頃から母に対する父の溺愛ぶりを見せつけられて来たからわかる、他所とは違うって。父の執着を見れば否定できない。そして、今の俺も父と同じ。お互いに出会った時間は10分も無いのに今では片時も離れたくないって思ってる。コレが運命でなければ俺はただの危険人物にしかならない。この思いを受け入れる器を持ってるのが運命の番なんだって本気で思える。兄だからって俺から朝陽を奪おうなって思わないで下さい。本気で何するか分かりませんから」
緊張感が無くなった時からボーッとし始めた頭も本格的に回らず思うままに言葉にしはじめてしまってるなとは思っても止まらないどころか身体まで辛くなり壁に寄りかかってしまった。
「自覚してますか?貴方、私を脅してるって」
「脅しって酷いな警告ですよ。俺から朝陽を奪うなって。わかりやすいでしょ、お兄さん」
「貴方にお兄さんと呼ばれたくはない。それとそろそろ限界なのでは?寝た方が楽ですよ」
脱衣場の斜め前のドアを開けて寝ろとベッドを指さす朝陽の兄を睨むが相手はしれっと「貴方みたいな可愛くない人を抱き上げてまで運んだりはしたくない」と言われた。
俺も倒れてみっともない事はされたくないと素直にベッドに潜りこむとすぐに寝落ちてしまった。
「先に着替えて来なさい」
着替えたい気持ちもあるが今は少しも離れたくない。
「出てきたら教えてやるから」
父が居るなら安心できる。少しだけ離れることに決意した。
「すみません。すぐに着替えて来ますので少しお待ちください」
「急がなくても大丈夫ですよ」
朝陽の父親は子を安心させるようにニコッと笑いかけてくれた。運命に出会って初めて安堵できたと同時に、何か張りつめていたものが取れた気がした。本人をよく知らないのに、こんな親に育てられた朝陽はきっといい子なんだろうなと思える。
「そうですよ、外扉は私か父さんが開けるのでそのまま帰って大丈夫ですので安心して日常に戻ってください。お詫びは後日改めて私が伺いますので」
なんだろう、何かしら突っかかってくるが番の兄だと思えば邪険にもできない相手でもある。。少し前までは一人称は俺だったのに今では私となった。朝陽の兄にかなり警戒されたと見て間違いないだろう。ファーストコンタクトに失敗した。
「そっか、すみません気が付かなくて。朝から大忙しだったはず、疲れてますよね。どうぞ家でゆっくりと休まれて下さい」
朝陽の父親はなにをどう解釈したのか大きく路線を外して明後日の方向に話がそれてしまった。
隣にいた父は何度か瞬きを繰り返して朝陽の父親を見てる。自分の父の戸惑いを初めて見るなと、どうでもいいことを思い始めてしまった。
「あー、そうだな、うん美玲、今服を持ってきてもらうから、ついでにお風呂も入りなさい」
父はその場をかなり強引に仕切り始めてしまった。
お茶を入れお菓子を出してる間に父の部下が持ってきてくれた服と洗面道具を受け取るとそのまま言われた通りに風呂に直行した。
風呂から出るといかにも待ち構えてましたといわんばかりの兄に笑ってしまった。
「遠慮というものを知らないんですか」
薬の副作用なのだろう。気を張ってないと頭がボーッとして来る。
「時と場合によりますね。今遠慮してしまったら朝陽をどこかに隠されてしまう予感しかしないので、今は朝陽の側から離れたくない」
「貴方のご両親も運命だとか。どれだけ夢見がちなんですか」
大事な朝陽の兄に駆け引きをしてさらに嫌われたくもない。なんと思われようが本心を言う事にした。
「俺も夢見がちと思ってたけど、子供の頃から母に対する父の溺愛ぶりを見せつけられて来たからわかる、他所とは違うって。父の執着を見れば否定できない。そして、今の俺も父と同じ。お互いに出会った時間は10分も無いのに今では片時も離れたくないって思ってる。コレが運命でなければ俺はただの危険人物にしかならない。この思いを受け入れる器を持ってるのが運命の番なんだって本気で思える。兄だからって俺から朝陽を奪おうなって思わないで下さい。本気で何するか分かりませんから」
緊張感が無くなった時からボーッとし始めた頭も本格的に回らず思うままに言葉にしはじめてしまってるなとは思っても止まらないどころか身体まで辛くなり壁に寄りかかってしまった。
「自覚してますか?貴方、私を脅してるって」
「脅しって酷いな警告ですよ。俺から朝陽を奪うなって。わかりやすいでしょ、お兄さん」
「貴方にお兄さんと呼ばれたくはない。それとそろそろ限界なのでは?寝た方が楽ですよ」
脱衣場の斜め前のドアを開けて寝ろとベッドを指さす朝陽の兄を睨むが相手はしれっと「貴方みたいな可愛くない人を抱き上げてまで運んだりはしたくない」と言われた。
俺も倒れてみっともない事はされたくないと素直にベッドに潜りこむとすぐに寝落ちてしまった。
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