可愛いは正義 では男前は?

丹葉 菟ニ

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偽物?

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外に出ると資格管理者も来ていた。外扉の横に備えられているモニターを見ればしゃがみこんでる朝陽が映っている。

「朝 大丈夫?ヒートは収まった」

俺が声をかけるよりも先に話し出してしまった兄を睨んでしまった。

「うん大丈夫僕は。でも、どうしようにーにー」

兄に対してなんて甘い声で助けを求めるんだ!助けを求めるなら俺にだろ!とは思う。が、隣で冷静な父に「出会ってまだ約10分の関係だからな」と、至極真っ当な意見を言われてしまっては言い返す言葉もない。

「どうしたの。いつものパンケーキならすぐにでも作ってあげるよ」

「パンケーキ食べる。じゃなくて、衣装、破けちゃった」

「先輩に借りた衣装破けちゃったの。それは、どうしようか」

「朝陽が着てた衣装か。それならなんとかなるから」

話しているのが兄だと頭ではわかっても感情が許せなくなり、朝陽に語り掛けた。

Ωが内扉を開けてから5分経過しないと外扉は開けてはならない。正確にカウントを刻んでいる時計をチラと見ても、まだ3分しか経ってない。

「その声、昨日の」

「そう、昨日初めて会った朝陽の運命の番だ」

姿が見えずとも声だけでわかってくれたと、嬉しくなり気分が良くなる。父は母に左右されやすいとは思っていたが、今になって父の気持ちもよくわかる。

「運命?違うよアンタは偽物だっ。キライ」

偽物?俺が?キライって誰に言った?と、軽い混乱を起こしている間にカウントされていた時間が0になり、赤いランプから青のランプに切り替わった。扉解除OKになり資格管理者から鍵を受け取り扉を開けた。

「朝くんお疲れ様。大丈夫?身体辛いところない?うーん1度病院に行こうか。痩せすぎだよ」

ふらふらと立ち上がった朝陽を支えたのは朝陽の父親と兄。

「お義父さん変わります」

朝陽を支えている父親と代わり、朝陽をそのまま抱き上げて
隣の控え室に入ると父が朝陽の朝食を準備してくれていた。そのまま自分の膝に朝陽を座らせると雛鳥の餌やりのように食べさせ始めた。

「キライって言いましたよね」

今1番聞きたくない言葉だなと思いつつもこの軽すぎる身体を何とかしなければならない。

「口開けて」

ぶっきらぼうに言ったにもかかわらず素直に口を開けてくれる朝陽はやはりあの父親に育てられただけの事はある。

「朝くん漬物嫌いだから」

箸で漬物を掴もうとしたら父親に止められてしまった。

「お腹も満腹になる前に」

甘い匂いがし始めていたのはこのパンケーキを兄が焼いたからだ。

「兄ちゃんのパンケーキは絶対に食べる」

先程までは眠そうに俺が差し出すご飯を食べてたのに目の前にパンケーキが置かれると元気に俺の膝から降りナイフとフォークを持ち食べ始めてしまった。その時の兄の勝ち誇った顔を俺は一生忘れることができないだろう。

「パンケーキが好きなの?」

あきらかに違うかぶりつき方が気になり聞いてみた。

「兄ちゃんが作ってくれたパンケーキが好きなの」

兄が作ったパンケーキが良いんだ。兄に作り方を伝授してもらわなければとは思うもののあの勝ち誇った顔が脳裏をかすめる。

「それ食べ終わったら病院に行こうな」

朝陽の父親はどうしても病院に連れて行きたいみたいだ。確かにヒート明けで痩せすぎてはいるものの身体的外傷は見当たらないが健康診断と思えば1度病院で診てもらうのも悪くない。

「病院の予約したから」

兄が携帯を弄っていたのは予約のためか。

「兄ちゃんが連れていってくれる?」

何もかも兄頼りの朝陽にイラッと来る。

「俺も一緒に行くから」

「偽物はキライ」

「偽物って本当なの?美玲君は朝くんを運命の番って言って一緒にここで朝くんが出てくるのを待っててくれたんだよ」

「なんで偽物って思うの?さっきは大人しく給餌されてたのに」

給餌って言った兄は俺を番だって認めたって事で良いのか?
そして、番である朝陽は兄の指摘に少し頬を紅くして下を向いて小さく唸り始めてしまった。

「ぅー…だって」

出会ってトータル時間1時間も満たない俺が口を挟むより手馴れて居るだろう相手に任せた方が上手く聞き出せる、腹が立つが相手は番の兄だと思えば許す。

「だってなに?ご飯自分でも食べれたよね。俺が焼いたパンケーキ元気に食べてるよね」

また一人称が変わった。こいつコロコロとよく人格を切り替えてる。家族の前では俺、嫌いな人やどうでもいい人の前では私って所か。ポヤッとした父親はその事に気が付いては居ないだろうな。先ほどからオロオロしてばかりいる。



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