赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

罰と禁止で 9

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次の日にはポリ袋3杯分は入ったトウカチョウの殻が届けられた時にノットさんに、この殻を調べたいから今日の予定は何も入れないで欲しいと頼んだ。

テレビで見た知識しかないド素人。何かの番組で流れてたのを流し見てただけで正直不安はあるけど やらないよりはやってみようと思う。

「ウーンまずは茹でてみる?」

『確認だが、私に聞いてるのか?』

前に頼んでた、種類が違う木を10本と種類の違う布7枚と鉄と丈夫な布3枚、太い糸6種類 のり又は粘ってる物を準備してもらった大きなテーブルに並べながらテレビで流し見た手順を思い出しながら桔梗に聞いてみる。

『そうだよ。だって桔梗は俺の助手だから』

『母親から助手になったのか?それは出世したのか?それとも零落したのか?』

『零落って 俺が桔梗にそんな酷いこと思うわけない。ただ この場を楽しみたくてちょっとした言葉のアヤだよ。嫌な思いをさせてしまったならごめん。桔梗は俺のお母さんだよ。俺ね本当の両親に要らない子として捨てられたんだ。だから 自分の親ってのに凄く憧れ持ってて だから新しいこの世界で初めて桔梗を見た時に直ぐにお母さんにって、俺 何言ってんだろなんかめちゃくちゃな事言ってんなごめんな』

軽口で桔梗を傷つけてしまった。と焦ってか咄嗟に桔梗の首に抱き着いて 違うと言えば良いのに 幼い俺が出て来て情けなく色々と言い訳を言い始めてしまった。男がグジグジと言い訳せずにキッパリと謝れってじいちゃんに言われてきたのにな。親が関わるとそれが出来なくなる。捨てられるって どこかに傷が出来たまんまなんだろうな。乗り越えたって思ってても小さな俺がどこかで姿を現す。

『安心しろ。私は何処にも行かないしイオリを見捨てたりはしない。ずっと一緒だ だから泣くな』

頬を優しく舐めてくるれる桔梗にもう一度抱き着いて「ありがとう」と呟く。

「そんなふうに誰彼構わず抱き着いてる姿を見ると妬けるな」

いつの間にか部屋に来てたアルに驚いた。が、アルの言葉に思わず笑ってしまった。

「誰彼構わずって、桔梗は俺のお母さんだから ヤキモチなんて妬く必要無いんじゃない」

「グルゥゥゥ」

威嚇する声を出す桔梗に少し慌ててアルが俺の側に来て桔梗と向き合う様に腰を下ろした。

「すまない。ただイオリに抱き着かれてる桔梗が羨ましかっただけだ」

「ワフ」

柔らかい声を出した桔梗は少しニヤリと笑うとアルに甘えるように身体を擦りつけて窓辺に寝そべり大きな欠伸をすると目を閉じてしまった。

「で、イオリは何をし始めるつもりだ?」

かなり真剣な顔で聞いてくるアルが珍しくてマジマジと見てしまうが、なんか俺 変な事した?

「うーん、似てるんだよね繭に。繭ってのは蚕から取れるシルクの原料なんだけど。コレを一度解いて紡いでみようかな?って」

「そ、うなのか。その、解いて紡ぐ方法は分かってるのか」

明らかにホッとした的な顔をしてるアルベルトに?となるが今は自分の考えをそのまま話すことにした。

「うーん、確か 最初は乾燥させて、蒸して、掃除して、茹でて糸に?テレビで流し見ただけだからなぁ~、中途半端な知識しかないけど、なんか大丈夫な気がするんだよな。まずは コレ乾燥してるよな、だったら 最初っから茹でて見ようかな?って」

「そうなのか。ならば午前中だけだけど時間が取れたから手伝おう」

「本当にやった」

直ぐにルーシーさんが持ってきてくれた水やボウルや鍋をテーブルに置きアルの魔法を駆使してトウカチョウの抜け殻を糸にする実験を始めた。






トウカチョウの抜け殻は誰も知っていて、庭師や家を管理してる者なら目に付いた時には取り外し捨てる物だ。それに何故か興味を持ってしまった私の愛しいイオリ。抜け殻を集めてイオリの元に届けて欲しいとアランに頼んだ時もかなり複雑顔とも呆れ顔とも取れる表情を浮かべながらも了解と返事を返してくれた。

私もアランの気持ちもわかるが、イオリは他の星から転移してきと言っていた。となると色々な憶測が頭の中で渦巻く。その中でも1番現実になって欲しくないのもがある。あれやこれやが食べたいと言っていたイオリ。もしかして イオリがいた所はアレと似た物を食してたかもしれない。とてもじゃないが抜け殻を食べるなんて事は・・・ないと思いたいが、私の知らない所ならまさかの事態になりかねない。

明日は何をするか分からないが真意が分からなければ落ち着かないと、何とか時間を作りイオリの部屋に行くが中からの返事がなくドアを開ければ イオリが桔梗に抱きついる。テイムした獣でも話が出来ない事は誰でも知っているが、時々イオリと桔梗は言葉が通じ合ってるのではと思う。

イオリには誰彼構わず抱きついて欲しくなく注意したつもりが、上手く真意が伝わってない。

珍しくて桔梗からは威嚇されたが本気でされてる訳ではないと分かるが、謝ってた方が良さそうな雰囲気ではある。
私にも遠慮なく抱き着いて欲しいとイオリにも分かって貰える言葉を選びながら桔梗に謝った。思い込みではなく、極希にニヤリと笑う桔梗、よく出来たと褒められる様に一声鳴き私に擦り寄り窓辺に寝そべった。

呆気に取られてるイオリに今日は何をするのだと聞く。もしも私の最悪な結果としたらどうやって止めるべきか1番の悩みどころだ。

イオリに聞けば悩みながらも殻から糸として紡ぎたいと言い出した。最悪な答えではなかったが、この殻から糸に?
それは誰も考え付かなかった事だ。今更良く見なくても 細い繊維で覆われた殻だが乾けば硬くなり爪を立てても繊維を崩すのは無理な事だし、下手に触れば薄く手を切ってしまうこともある。
僅かな怪我もして欲しくは無いが、知らない単語を口にしながらも真剣に悩みながらも楽しそうにしてるイオリを止めるべきではないと判断し僅かな時間しか取れなかったが手伝う事にした。
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