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第10話:「打撃にて、作戦完遂せよ――」
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「――1番脚、5番脚、7番脚が機能停止ッ。行動に支障大ッ!」
闘藤機の90MBW内で上がる、操縦手の愛らしい声で張り上げられた悲痛なまでの報告。
90MBWは、対峙する闇魔竜の闇のレーザーを掠められてその装脚を損傷。行動不応の一歩手前まで陥っていた。
「発射ァッ!」
その最中にも、砲手の叫び声が響いて主砲の120mm砲が咆哮を上げる。
しかしその機体姿勢やシステムの損傷から、照準行動にも影響が出ており、撃ち出されたAPFSDS弾は闇魔竜の側を掠め、その奥の城壁を叩いて弾けた。
「命中ならずッ、次弾を――ッ!装填装置不良ッ!?」
次に上がるは、さらなる不都合を告げる砲手の声。
「ッ……限界か……ッ?」
その声に、そして状況に。闘藤は自分等の機がいよいよ限界かと、苦く張り詰めた声での一言を、思わず零す。
「――ッ!」
しかし、その直後。
闘藤は外部カメラが捉え表示する、機長席のモニターに。
ノイズの酷いその中で、荒ぶり蠢く姿を見せる闇魔竜の巨体のその向こうに。
確かに〝それ〟を見た――
暴れ狂う闇魔竜の巨体が鎮座する、城門崩壊部の向こう側。
急ごしらえの荒く雑多な魔帝軍の抵抗陣地の端に、毛色の異なる者達の姿がった。
それは、一人の美少女とも見紛う麗しい美少年と、二人のエルフの美少女。
明かしてしまえば、その少年とエルフの少女達は。この王国の王と、女王と王女であった。
少年は、若き王。
元は勇者たる身であり、王国に及んだ『魔王』の魔の手から国を救い。その英雄的活動から王宮に迎えられ、先日に天寿を全うした先代国王に代わり、新たな王となったばかりの勇敢な少年。
王女は、先日までは国の第一王女であった少女。
勇者であった少年の王と、危険な旅を共にし恋仲となり。その優しい心にて少年王と国民を包む温かなエルフの少女。
そして第二王女の少女。
気の強くおてんばだが、義兄である少年王と姉である少女女王を敬愛する、まだ幼さの残るエルフの少女。
しかしそんな彼、彼女達と王国は。
まだ傷癒えぬ王国を狙った、魔王を崇拝する『魔帝軍』の卑劣な罠に陥り。王都は支配され、少年王とエルフの女王、王女は、必死の抵抗虚しく虜囚の立場へと堕ちたのであった。
「……くぅっ……」
「あなた……」
「義兄さま……っ」
その三人の顔は悔し気な、そして悲観の物に染まっている。
今現在、捕らわれの立場にある三人のその姿は、痛ましいものであった。
いずれも衣服の類の一切を剥ぎ取られて裸に剥かれ、それを首輪や手枷足枷で拘束されて繋がれる、王族の仕打ちにはあまりにもひどい姿。
そして少し前までは、王女と第二王女のエルフの少女二人には、そして女と見紛う容姿の少年王までもが。その垂涎物の体を帝国兵達の好奇と欲望の眼の前に晒されていた。
しかし現在に在っては、帝国兵達は何と対峙しているのかは不明だが、何か不都合な状況に陥っているらしい。そこかしこで荒々しい怒鳴り声が上がり、異様な轟音が先程から絶え間なく届いている。
三人も、先まではそれに少なからず驚き困惑していた。
「クソォ……ッ!なんだってんダぁッ!」
しかし今に在っては、その三人の顔は再び不安と悲観に染まっている。
その原因を体現するは、彼彼女達の背後頭上。魔帝軍の指揮官用に用意された櫓台の席にドカリと腰かけ。重低音の苛立った言葉を荒げ発する、巨体の存在にあった。
黒みかかった紫の肌に、オーガにも引けを取らぬ体躯、そして獰猛な顔。それは上級魔族と呼ばれる、亜人種の一種。
そしてその亜人は、この王都を攻め落とした魔帝軍軍団の総指揮官であり、少年王達を今の姿立場に陥れた張本人であった。
「こんなん聞いてねぇゾォ……!クソがァ……!」
今現在、その上級魔族率いる軍団は何かと対峙し、そして旗色が大変に悪い様子だ。
そして、それを覆すべく。上級魔族は王族たる少年王とエルフの女王王女達を、生きた肉の盾として、これから晒し出す事を決定したのだ。
暴露すれば。こんな事にならなければ、上級魔族は見目麗しい少年王とその妻と義妹を、まとめて我がものとして頂き穢し、手籠めにする腹積もりであったのだが。
「オラァ!オメェらぁ、とっととソイツらを晒し出せェッ!」
その欲からの企みも邪魔され。苛立った怒鳴り上げる口調で、上級魔族の総指揮官は部下の帝国兵達に命じる。
それを受けて、周囲に居た亜人を主とする帝国兵達は、慌て少年王達を取り囲った。
「やめろ!彼女達には手を……!」
「うるせぇッ、来いッ!」
「くぁ……」
少年王は妻と義妹を庇おうとした。しかしオークの帝国兵が少年王の首輪の鎖を乱暴に引っ張り、それに引かれ少年王は苦し気な声を上げる。
「あなた!」
「義兄さま!」
それを前に、泣きそうな声を上げるエルフの少女達。
「そうだダ!いまから晒し上げてやるから、そうやって泣けやァッ!」
しかしそれに上がるは、背後頭上に座し君臨する上級魔族の総指揮官の、残酷で無慈悲な声。
そして虜囚の体である少年王達は、鎖を引かれ、いよいよその体を晒し上げられる時を迎えてしまう……
――それが。撃滅の轟の合わせて阻まれたのは、その直後瞬間であった。
その場の。上級魔族の座す櫓台の背後にあった、幕壁や急ごしらえの雑多な構造物が。
爆発の如き音を立てて、その向こうより吹き飛ばし抉じ開ける様相のそれで、弾け飛ぶように崩落したのはその瞬間だ。
「――ケ゜ェ゛ッ?」
そして出現したのは、文字通り飛ぶように踏み込んで来たのは、巨大な何か。
その突入により幕壁や構造物に続いて、指揮官用の櫓台が破壊倒壊。
そして――その鼻っ面に真後ろから衝突され。上級魔族はその打撃衝撃から、声に鳴らない〝音〟をその獰猛な口より、しかし可笑しく漏らして。
その体を拉げ、面白いまでに跳ね飛ばされて、壊れた人形のように放り退けられた。
「っ!?」
そして体を竦めた少年王やエルフの少女達を。そしてポカンと呆ける帝国兵達の頭上を掠め、巨大な何かが腹を見せて飛び抜ける。
それこそ――89式装甲装脚機。89AWV、髄菩機の機体であった。
王都の王城敷地周りは、城門から王宮に向けて傾斜を描き上っている地形だ。
その王城敷地に通用城門を突破して進入した髄菩機の89AWVは、魔帝軍に占拠支配されていた王城敷地内の街並みを、退け踏み倒して爆走した果てに。闇魔竜が鎮座しそれを中心とする魔帝軍部隊が籠城する、王城敷地の正面城門の背後へと出て取った。
そして前述の傾斜する傾斜する地形の関係で坂道を描く街路を。その巨体機体で、その装脚で地面を裂く激しい滑降で下り。
その進路上にあった魔帝軍の幕壁構造物へ、その勢いのままに何の遠慮も容赦も無く突っ込んだのだ。
幕壁構造物を破り倒壊させて、向こうに出た髄菩機。
その際に何か亜人種と思しきデカブツを拉げ跳ね飛ばしたが、一瞬見ただけでも敵のそれ。構った事では無い。
そして突っ込んだ際に構造物に乗り上げた89AWVは、その影響でジャンプ台を使用したかのように機体を飛んで浮かせる。
そしてその勢いのままに飛び進む機体。
その向こう、進行方向にあるは――闇魔竜の巨体の、しかしがら空きの背中であった。
肉が拉げ、衝突する音が直後には響く。
髄菩機の89AWVが駆っ飛んだそのままの軌道と勢いで、闇魔竜の背に突っ込み。その前装脚をまさに飛び蹴りのそれで、闇魔竜の胴に、背中に叩き込んだのだ。
20tを優に超える89AWVの重量の圧に、さすがの闇魔竜も無事では居られず。闇魔竜は絞められるような短い悲鳴のその獰猛な口から漏らし、そしてズドンと音を立てて砂埃を巻き上げて、地面へと潰され沈んだ。
髄菩機の89AWVはそのまま闇魔竜を足蹴に、押し潰して踏み、押さえつける。
「――フフ」
そして、その機内では変わらずの不気味笑みを零す薩来の操作により。
その砲塔照準は、闇魔竜のがら空きの背中を、そのド真ん前に捉え照準していた。
「――やれッ」
そして静かに響く、髄菩の端的でしかし尖る命ずる一言。
それに呼応し、薩来はトリガーを引き。
誘導弾発射器内でその時を待っていた特殊弾頭、13式150mm打撃貫通点火弾が。点火、撃ち放たれ、闇魔竜に叩き込まれ――
この戦いの中で一番の轟音爆音が、轟き響き渡った――
「――ッ!」
轟き木霊した13式150mm打撃貫通点火弾の独特の爆音は、そして高く巻き上がった爆炎は。その街、王都の各所より見る事ができた。
それは闇魔竜と対峙していた、満身創痍になりながらも踏みとどまり続けた闘藤機の90MBWから――
「決めたかッ」
障害を退け、合流した空挺分隊と一緒に応援へと急いでいた、芹滝機から――
「あれは……!」
「やったな」
後方指揮所より作戦の成功を願い待っていた、アルデイトや戦場から――
「お見事」
上空で旋回、呼応待機しつつ戦闘を見守っていた。AH-92Dイースターのケリオン5-3のコックピットから――
あらゆる場所へ届けられ、観測目撃する事ができた。
そしてそれは――防衛隊の作戦の成功完遂を、その全てに伝え知らせた――
闘藤機の90MBW内で上がる、操縦手の愛らしい声で張り上げられた悲痛なまでの報告。
90MBWは、対峙する闇魔竜の闇のレーザーを掠められてその装脚を損傷。行動不応の一歩手前まで陥っていた。
「発射ァッ!」
その最中にも、砲手の叫び声が響いて主砲の120mm砲が咆哮を上げる。
しかしその機体姿勢やシステムの損傷から、照準行動にも影響が出ており、撃ち出されたAPFSDS弾は闇魔竜の側を掠め、その奥の城壁を叩いて弾けた。
「命中ならずッ、次弾を――ッ!装填装置不良ッ!?」
次に上がるは、さらなる不都合を告げる砲手の声。
「ッ……限界か……ッ?」
その声に、そして状況に。闘藤は自分等の機がいよいよ限界かと、苦く張り詰めた声での一言を、思わず零す。
「――ッ!」
しかし、その直後。
闘藤は外部カメラが捉え表示する、機長席のモニターに。
ノイズの酷いその中で、荒ぶり蠢く姿を見せる闇魔竜の巨体のその向こうに。
確かに〝それ〟を見た――
暴れ狂う闇魔竜の巨体が鎮座する、城門崩壊部の向こう側。
急ごしらえの荒く雑多な魔帝軍の抵抗陣地の端に、毛色の異なる者達の姿がった。
それは、一人の美少女とも見紛う麗しい美少年と、二人のエルフの美少女。
明かしてしまえば、その少年とエルフの少女達は。この王国の王と、女王と王女であった。
少年は、若き王。
元は勇者たる身であり、王国に及んだ『魔王』の魔の手から国を救い。その英雄的活動から王宮に迎えられ、先日に天寿を全うした先代国王に代わり、新たな王となったばかりの勇敢な少年。
王女は、先日までは国の第一王女であった少女。
勇者であった少年の王と、危険な旅を共にし恋仲となり。その優しい心にて少年王と国民を包む温かなエルフの少女。
そして第二王女の少女。
気の強くおてんばだが、義兄である少年王と姉である少女女王を敬愛する、まだ幼さの残るエルフの少女。
しかしそんな彼、彼女達と王国は。
まだ傷癒えぬ王国を狙った、魔王を崇拝する『魔帝軍』の卑劣な罠に陥り。王都は支配され、少年王とエルフの女王、王女は、必死の抵抗虚しく虜囚の立場へと堕ちたのであった。
「……くぅっ……」
「あなた……」
「義兄さま……っ」
その三人の顔は悔し気な、そして悲観の物に染まっている。
今現在、捕らわれの立場にある三人のその姿は、痛ましいものであった。
いずれも衣服の類の一切を剥ぎ取られて裸に剥かれ、それを首輪や手枷足枷で拘束されて繋がれる、王族の仕打ちにはあまりにもひどい姿。
そして少し前までは、王女と第二王女のエルフの少女二人には、そして女と見紛う容姿の少年王までもが。その垂涎物の体を帝国兵達の好奇と欲望の眼の前に晒されていた。
しかし現在に在っては、帝国兵達は何と対峙しているのかは不明だが、何か不都合な状況に陥っているらしい。そこかしこで荒々しい怒鳴り声が上がり、異様な轟音が先程から絶え間なく届いている。
三人も、先まではそれに少なからず驚き困惑していた。
「クソォ……ッ!なんだってんダぁッ!」
しかし今に在っては、その三人の顔は再び不安と悲観に染まっている。
その原因を体現するは、彼彼女達の背後頭上。魔帝軍の指揮官用に用意された櫓台の席にドカリと腰かけ。重低音の苛立った言葉を荒げ発する、巨体の存在にあった。
黒みかかった紫の肌に、オーガにも引けを取らぬ体躯、そして獰猛な顔。それは上級魔族と呼ばれる、亜人種の一種。
そしてその亜人は、この王都を攻め落とした魔帝軍軍団の総指揮官であり、少年王達を今の姿立場に陥れた張本人であった。
「こんなん聞いてねぇゾォ……!クソがァ……!」
今現在、その上級魔族率いる軍団は何かと対峙し、そして旗色が大変に悪い様子だ。
そして、それを覆すべく。上級魔族は王族たる少年王とエルフの女王王女達を、生きた肉の盾として、これから晒し出す事を決定したのだ。
暴露すれば。こんな事にならなければ、上級魔族は見目麗しい少年王とその妻と義妹を、まとめて我がものとして頂き穢し、手籠めにする腹積もりであったのだが。
「オラァ!オメェらぁ、とっととソイツらを晒し出せェッ!」
その欲からの企みも邪魔され。苛立った怒鳴り上げる口調で、上級魔族の総指揮官は部下の帝国兵達に命じる。
それを受けて、周囲に居た亜人を主とする帝国兵達は、慌て少年王達を取り囲った。
「やめろ!彼女達には手を……!」
「うるせぇッ、来いッ!」
「くぁ……」
少年王は妻と義妹を庇おうとした。しかしオークの帝国兵が少年王の首輪の鎖を乱暴に引っ張り、それに引かれ少年王は苦し気な声を上げる。
「あなた!」
「義兄さま!」
それを前に、泣きそうな声を上げるエルフの少女達。
「そうだダ!いまから晒し上げてやるから、そうやって泣けやァッ!」
しかしそれに上がるは、背後頭上に座し君臨する上級魔族の総指揮官の、残酷で無慈悲な声。
そして虜囚の体である少年王達は、鎖を引かれ、いよいよその体を晒し上げられる時を迎えてしまう……
――それが。撃滅の轟の合わせて阻まれたのは、その直後瞬間であった。
その場の。上級魔族の座す櫓台の背後にあった、幕壁や急ごしらえの雑多な構造物が。
爆発の如き音を立てて、その向こうより吹き飛ばし抉じ開ける様相のそれで、弾け飛ぶように崩落したのはその瞬間だ。
「――ケ゜ェ゛ッ?」
そして出現したのは、文字通り飛ぶように踏み込んで来たのは、巨大な何か。
その突入により幕壁や構造物に続いて、指揮官用の櫓台が破壊倒壊。
そして――その鼻っ面に真後ろから衝突され。上級魔族はその打撃衝撃から、声に鳴らない〝音〟をその獰猛な口より、しかし可笑しく漏らして。
その体を拉げ、面白いまでに跳ね飛ばされて、壊れた人形のように放り退けられた。
「っ!?」
そして体を竦めた少年王やエルフの少女達を。そしてポカンと呆ける帝国兵達の頭上を掠め、巨大な何かが腹を見せて飛び抜ける。
それこそ――89式装甲装脚機。89AWV、髄菩機の機体であった。
王都の王城敷地周りは、城門から王宮に向けて傾斜を描き上っている地形だ。
その王城敷地に通用城門を突破して進入した髄菩機の89AWVは、魔帝軍に占拠支配されていた王城敷地内の街並みを、退け踏み倒して爆走した果てに。闇魔竜が鎮座しそれを中心とする魔帝軍部隊が籠城する、王城敷地の正面城門の背後へと出て取った。
そして前述の傾斜する傾斜する地形の関係で坂道を描く街路を。その巨体機体で、その装脚で地面を裂く激しい滑降で下り。
その進路上にあった魔帝軍の幕壁構造物へ、その勢いのままに何の遠慮も容赦も無く突っ込んだのだ。
幕壁構造物を破り倒壊させて、向こうに出た髄菩機。
その際に何か亜人種と思しきデカブツを拉げ跳ね飛ばしたが、一瞬見ただけでも敵のそれ。構った事では無い。
そして突っ込んだ際に構造物に乗り上げた89AWVは、その影響でジャンプ台を使用したかのように機体を飛んで浮かせる。
そしてその勢いのままに飛び進む機体。
その向こう、進行方向にあるは――闇魔竜の巨体の、しかしがら空きの背中であった。
肉が拉げ、衝突する音が直後には響く。
髄菩機の89AWVが駆っ飛んだそのままの軌道と勢いで、闇魔竜の背に突っ込み。その前装脚をまさに飛び蹴りのそれで、闇魔竜の胴に、背中に叩き込んだのだ。
20tを優に超える89AWVの重量の圧に、さすがの闇魔竜も無事では居られず。闇魔竜は絞められるような短い悲鳴のその獰猛な口から漏らし、そしてズドンと音を立てて砂埃を巻き上げて、地面へと潰され沈んだ。
髄菩機の89AWVはそのまま闇魔竜を足蹴に、押し潰して踏み、押さえつける。
「――フフ」
そして、その機内では変わらずの不気味笑みを零す薩来の操作により。
その砲塔照準は、闇魔竜のがら空きの背中を、そのド真ん前に捉え照準していた。
「――やれッ」
そして静かに響く、髄菩の端的でしかし尖る命ずる一言。
それに呼応し、薩来はトリガーを引き。
誘導弾発射器内でその時を待っていた特殊弾頭、13式150mm打撃貫通点火弾が。点火、撃ち放たれ、闇魔竜に叩き込まれ――
この戦いの中で一番の轟音爆音が、轟き響き渡った――
「――ッ!」
轟き木霊した13式150mm打撃貫通点火弾の独特の爆音は、そして高く巻き上がった爆炎は。その街、王都の各所より見る事ができた。
それは闇魔竜と対峙していた、満身創痍になりながらも踏みとどまり続けた闘藤機の90MBWから――
「決めたかッ」
障害を退け、合流した空挺分隊と一緒に応援へと急いでいた、芹滝機から――
「あれは……!」
「やったな」
後方指揮所より作戦の成功を願い待っていた、アルデイトや戦場から――
「お見事」
上空で旋回、呼応待機しつつ戦闘を見守っていた。AH-92Dイースターのケリオン5-3のコックピットから――
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