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第11話:「刻まれる淫らの刻印――そして反逆の鼓動」◇

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 引き続きの、その薄暗く陰湿な拘束用の一室内。

「……ッ」
「……っぅ」

 その中心で、髄菩と芹滝の――一糸纏わぬ姿で、並び立たされる姿があった。
 二人は椅子への拘束からこそ解かれたが、代わりに軽量装甲戦闘服7-型を剥かれ――正しくは己の手で脱ぎ去る事を強要され。
 今はそれぞれのたまらぬボディを包み隠さずさらけ出し。そして足は肩幅に開き、両手は肩の高さまで上げて拳を握る、恥辱の立ち姿を晒していた。
 これらは全て、薩来等四人を人質に取られての上で。その身の保証を仄めかされて、強要されたものでった。

「っ……」
「く……」

 少なからずの屈辱と恥辱のそれに。二人はそれぞれの美少女顔を険しくしつつも、その頬は赤らみ、悩ましい艶やかさが同時に滲んでいた。

「これはこれは、絶景だ。思いの他の甘味をいただけてしまったな」

 そんな二人の前に立つは、変わらず魔族中佐。魔族中佐はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ、二人の身体を舐めるように鑑賞しながらそんな言葉を寄越す。

「ふん……結局色欲か」
「大層な逆襲を謳っておいて、蓋を開ければコレとはな……ッ」

 そんな魔族中佐に、二人はまたそれぞれ蔑む言葉を飛ばす。

「ふふ、いいな。そのどこまでも気丈な態度に表情――『これ』を刻まれて尚、それが持つか見物だ」

 しかしそれにも魔族将校はニヤニヤと笑う様子で返す。
 そして次に、魔族将校は二人へと詰め寄り間近の距離に立つと。その両手の手先をそれぞれの下腹部に触れて添えた。

「……ッ」
「っ、何を……っ」

 その遠慮無く自身の肌へと触れる魔族中佐の行動に。二人は抗いの言葉をそれぞれ上げようとした。

「!」
「っ!」

 しかし、直後の二人の下腹部に走った異様な感覚がそれを遮った。
 最初の一瞬に二人が下腹部に感じたのは、熱。熱めの湯舟湯が、下腹部に流され触れた程度かと錯覚するそれ。

「――!」
「――っ!」

 だが――ドクン、と。
 それが只ならぬ異様な〝疼き〟に。下腹部を中心に伝播する〝昂ぶり〟に変じたのはその直後瞬間。

「ふぁっ!♡」
「きゃぅっ!♡」

 そして次に、二人の口から無意識に響いてしまったのは、可愛らしくも悩ましい悦びの悲鳴。
 二人の下腹部を打つように刺激したのは、甘美な快楽の刺激。

「ふぁ……!?♡なぁ……ッ?♡」
「ぅぁ……ぃ、今の……っ!♡」

 二人はその顔を、保っていた毅然としたものから崩し。その頬は紅潮し、表情は蕩けを見せている。
 同時にその顔に作られるは、今の自分等を襲った現象に理解が追い付かず、困惑を浮かべるそれ。
 今しがた二人の身体に走ったのは、明らかな女の――メスの刺激と快楽。
 気づけば二人の身体は火照り昂ぶりを覚え――発情している。

 そして――ドクンッ、と。
 二人の下腹部がまた、甘美な刺激の鼓動を打った。

「っ!――ひぁぅぅっ!♡♡」
「!――きゃふぅっ!♡♡」

 そして二人の身体はビクリと軽く微かに痙攣、悩ましく震え跳ねる。
 それは、二人が軽度に絶頂した――軽くイった証であった。

「ククク、描き刻んだだけでイったか。気丈な振る舞いが、面白いまでに崩れたな」

 そんな二人の前より寄越され聞こえるは、魔族中佐の嘲る声。

「っ……ッ」
「何……を……っ」

 二人は快楽の刺激に困惑し、苛まれながらも。その言葉に返すように魔族中佐を尖る視線で刺し返す。
 しかしその魔族中佐が見せるは、そんな両腕を差し出して二人の下腹部を示すような姿。

「?……ッ!」
「ぅぁ……!」

 それを辿り、それぞれ自身の下腹部に目を向けた髄菩と芹滝は。そこで目に入ったものに目を剥いた。

 二人の下腹部にあったもの、それは紋様
 二人の下腹部をそれぞれいっぱいに使う様に、妖しく発光する趣味の悪いピンク色で。大きくはハート型を作る、しかし同時に細部を細かく描く紋様が刻まれていた。
 それは、『淫紋』と呼ばれるそれであった。

「これは……ッ」
「こん、な……!」

 自身の身体に刻まれてしまったそれに。そして今しがたの甘い刺激からの軽い絶頂が、間違いなくその淫紋が原因である事を察し。
 二人は顔を赤らめつつも驚愕する。

「ハハハ、似合っているぞ。気丈な少女たちが、淫らな姿に変貌したものだっ」

 それを刻んだ犯人である魔族中佐から次に寄越されたのは。二人のその淫靡な痴態を、大きく嘲け笑う声。

「ッ!――」
「く!――」

 それに二人は、また魔族中佐を尖る視線で刺そうとした。しかし――

「きゃぅぅっ!?♡♡」
「ひゃぁぅっ!?♡♡」

 まるで二人の〝おイタ〟にオシオキをするように。下腹部の淫紋が鈍く発光すると同時に、強い疼き刺激が下腹部淫紋様を中心に、またドクンと伝播。
 二人をまた軽い絶頂に導き。毅然と振舞おうとしたその様相を、しかし可愛らしく淫らな痴態へと陥れた。

「ハハ、怒りが形にならずに、可愛らしい羞恥の姿になるだけだなっ。これは愉快で痛快だっ」

 そんな二人の痴態を目の前で鑑賞しながら、またそう嘲り笑い上げる魔族中佐。

「っ……」
「くぅ……」

 一方の髄菩と芹滝は。二度も襲った強烈な疼きと快楽に、その姿勢は崩れて腰は引け、足の支えも怪しくなっている。
 そして毅然とした表情をなんとか取り繕い直そうとしたが、それは上手くいかず。二人の美少女の生意気そうで、しかし頬の赤らむ悩ましい表情が、魔族中佐の加虐心をそそっただけであった。

「フフ、あまり生意気は見せない事だ。君たちの同胞の身はこちらが預かっている事を忘れてくれるな?もっとも、その生意気が恥辱で崩れる様をもっと楽しませてくれると言うのなら、私はそれも歓迎だがね?」

 その二人に魔族中佐は忠告の言葉を。合わせて挑発し煽る言葉を紡ぎ寄越す。

「ッぅ……」
「くぅぅ……っ」

 同胞の身の保証をまた仄めかされ、二人はその紅潮する悩ましい顔に、苦い色を同時に作る。
 身柄を抑えられている薩来等四人の事を考えれば、あまり悪戯に抵抗を見せる事も得策では無かった。

「フフ、物分かりは良いようだな。さすがは心は大人の男、向こう見ずな勢い任せの小娘とは、そこは一味違うと言った所か?」

 それに魔族中佐は、拘束する側の余裕か。嘲り混じりの評するそんな言葉を紡ぐ。

「まぁいい、お喋りはここまでしておこう。君たちには、これからの遊戯の主演となってもらわなければな――」

 そして、何らかの企みを匂わせる下卑た笑みで。そんな言葉を紡ぐ魔族中佐。

 これより始まるは、髄菩と芹滝の二人を贄とした。背徳的で淫らな恥辱のステージなのだ――



 ――夜闇に包まれる大空。その高高度を一機の大型航空機が飛行していた。

 ――CU-3。
 日本国 航空防衛隊の保有運用する輸送機。
 しかし輸送機という機種の通例に反し。その胴体は細めで、シルエットは尖り流れる流線形。
 その機は、特殊作戦用途での運用を前提とし。現行主力の戦略戦術輸送機であるC-2とは別系列で開発された特殊輸送機であった。

 そのCU-3が現在飛行するは、鋼獣帝国領空だ。

「――」

 CU-3の胴体貨物室空間。
 そこに各々好きな形で佇み、しかし一様に真剣な様相を浮かべる17名程の〝男性〟――完全装備の空挺団隊員等の姿がある。
 彼等は明かせば、彗跡二尉を筆頭者とする空挺の1個班。
 先に戦場となった街より、髄菩等の奮戦により脱出を果たした彼等。
 しかしその彼等は、その身を本来の姿である男性へと戻し。これより、新たな戦いの場へ身を投じようとしていた。

「……」

 筆頭者である彗跡二尉は。性転換姿であった青髪の美少女姿から、尖り狡猾そうな人相様相の男性へと姿を戻し、何者をも寄せ付けぬまでの佇まいで瞑想をしている。

 他に、
 身長190cmを優に超える強靭な体躯の男性――性転換時は褐色黒髪筋肉美女であった、稜透三等陸曹が。
 異質なまでに尖り、また人を寄せ付けぬ不気味なまでの容姿の男性――黒髪美少女から戻った、東須一等陸士が。
 あどけなさを残すが、その内には揺ぎ無き覚悟を表す若い男性――ポニーテール美女から戻った、狡徒二等陸士が。

 各空挺隊員等が、いずれもそれぞれの形で静かに時を過ごしつつ。その時――降下の時を待ってた。

 これより臨む〝作戦〟。それに臨むべく。彗跡等はその姿を見目麗しい美少女より、揺るがぬ身体信念を宿す男性へと戻していた。
 すなわち、彼等の本気ガチモードだ。

「……!」

 瞑想していた彗跡が、しかしそこで貨物室の端の一角で発行した光源に、目を開き向ける。
 貨物室の端に備わる赤青のランプの内、赤ランプが煌々と点灯していた。

「――奈織ッ」

 そして、今まで沈黙を保っていた彗跡が、そこで促すそれの声を張り上げた。

「りょッ」

 それに、軽い調子で答える声を寄越したのは。他の空挺隊員等より一人はずれ、貨物室の後部、カーゴハッチ付近でスタンバイしていた一人の男性隊員。
 今呼ばれた名が示す通り、それは金髪白ギャル――奈織陸士長の正体であった。
 今に在っては髪色は一変して黒髪スポーツ刈りに保たれ、少し彫りのある強靭さを見せる顔がそこに映える。
 そしてその顔に宿る色は、真剣そのもの。
 喋らなければチャラ男とは思われないのが、奈織の本来の姿であった。

 その奈織は彗跡の指示の声に呼応すると同時に、貨物室端の側面に設けられるスイッチを強く押す。
 それにより、CU-3貨物室の機体後部カーゴハッチがゆっくりと解放され。
 世闇に支配される大空が、その向こうに露わになり広がった。

 まるで吸い込まれ飲み込まれてしまいそうな感覚を、恐怖感を感じさせるその光景。
 しかし足元向こうにそれを望む奈織に、恐怖の色は一切無い。

 直後。貨物室内の端に備わるランプが、赤色から青色へと切り替わり灯る。
 ――それが合図だ。

 奈織を除く。彗跡を筆頭とする空挺隊員16名は、己のタイミングで貨物室内を踏み切り駆けだし。
 そして解放されたカーゴハッチランプを踏み。次々と、何の躊躇もなく。
 暗闇の大空へと踏み出し飛び込んでいった。

 ――空挺降下の開始。
 その躊躇なく次々に飛び出して行く隊員等を、降下の殿を務める奈織は見守る。

(――髄ピ、今いくっしょッ!)

 そして、16名の最後の一人の効果を見届け確認した直後。
 奈織はその心の内に誓いう言葉を浮かべ。

 そして――自身も踏み切り、暗闇の夜空へと飛び込みその身を投じた――
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