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ヴァーミリオン領
76.冥コンセンター
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「あ、私がやるっていうより……スピークルムがやるのよね?」
そう言いながら、スピークルムを人差し指でちょんと小突いた。
『まー、そうデスね。僭越ながら、私スピークルムが力をお貸しするのデス。いつもシルベーヌ様のお守りをして頂いているのでほんのお礼デス!』
お守りとはどういうこと!?
と、思ったけど、そんなこと気にしている場合ではないわね。
「スピークルムもそう言っているし、任せてくれない?」
それでも苦い顔をするディランに、私はもう一度言った。
「ね、まず私の案に乗ってみて?気に入らなかったらあなたの思う通りにすればいい」
それは納得のいく言葉だったようで、彼はゆっくりと剣を下ろした。
「気に入らなかったら思うようにすればいい」というのがディランの気持ちを少し変えたみたいね。
でも、その目に宿った憎しみは全然消えていない。
「わかったよ。でも結果気に入らなかったら……」
「はいはい。ま、見てて」
彼の言葉を遮り、スピークルムを首からはずす。
そして、対面した状態でスピークルムに話しかけた。
「冥鏡魂管理センター(冥コンセンター)に繋いで」
「了解デス!」
トゥルルートゥルルー……と、2回ほどコール音が響き、直ぐにガチャリと反応があった。
「ハイハーイ!毎度ありがとうございます。冥コンセンターです!」
スピークルムから聞こえる明るい声に、私の後ろの騎士団がざわついた。
それもそうよね。
スピークルムの性能を話したけど、実際に見るのは初めてなんだから。
「あー、どうもこんにちは!私、シルベーヌ・ニグロム・アルハガウンです」
「おや?どうも姫さん!久しぶりだね?そういや、地上へ嫁に行ったって聞いたよ?どう?楽しい?」
明るい声で呑気に話すのは、冥コンセンターの受付ハーミット。
彼はフードを被った妖精で、大きさは人間の赤ん坊くらい。
その姿は、ジンジャーブレッドマンを模したぬいぐるみのようで、色が真っ黒でなければかなり可愛い部類の妖精なの。
まぁ、そうね、見た目だけはね……。
「楽しいですよ(嫁にいってないけどね)それで、ですね。少しお願いがありまして……」
「うん?何?」
「ある罪人の魂の査定をお願いします。恐らくは七獄行き相当かと……」
「えぇー!?それ、大変じゃん!うーん、とりあえず見せてくれる?それから判事に掛け合うよ」
「はい。わかりました」
スピークルムをエレナに向け、その姿を写す。
すると、ぱぁっと発光したスピークルムがその姿を完全に写し取った。
「…………………あ。きた。うん。うーん。あー、これひどいや。かなり悪いことやっちゃったね……」
ハーミットは、驚くというより呆れたように言った。
「急いで査定に出すね。すぐだから待っててね」
「はい。お願いします!」
ブツッ。
通信は一旦切れた。
「今のは………何だ!?」
ディランが私の肩をガクガクと揺すった。
そして、ローケンとフォーサイスも、目を丸くして近寄ってくる。
もちろん騎士団のみなさんも……。
「ええとね、冥鏡の中で魂を管理する部署よ。ここの査定を受けてから、何処へ行くかが決まるの」
「それで、なぜエレナの査定を!?」
肩を離さないディランが、また私を揺すった。
「……あ、それはね……」
といいかけたところで、通信が復活した。
一旦待ってとディランに合図し、私はハーミットと会話する。
「お待たせ。これ、真っ黒だって。判事も即七獄行きを押したけど、どうする?」
「ありがとうございます。ちょっと待っててもらえますか?こちらで説明しなくちゃいけないんで」
「了解。じゃ、決まったら声かけてね」
また通信は途切れ、私は首を傾げている皆さんに説明をすることにした。
あまり得意じゃないんだけどな。
仕方ないかー。
そう言いながら、スピークルムを人差し指でちょんと小突いた。
『まー、そうデスね。僭越ながら、私スピークルムが力をお貸しするのデス。いつもシルベーヌ様のお守りをして頂いているのでほんのお礼デス!』
お守りとはどういうこと!?
と、思ったけど、そんなこと気にしている場合ではないわね。
「スピークルムもそう言っているし、任せてくれない?」
それでも苦い顔をするディランに、私はもう一度言った。
「ね、まず私の案に乗ってみて?気に入らなかったらあなたの思う通りにすればいい」
それは納得のいく言葉だったようで、彼はゆっくりと剣を下ろした。
「気に入らなかったら思うようにすればいい」というのがディランの気持ちを少し変えたみたいね。
でも、その目に宿った憎しみは全然消えていない。
「わかったよ。でも結果気に入らなかったら……」
「はいはい。ま、見てて」
彼の言葉を遮り、スピークルムを首からはずす。
そして、対面した状態でスピークルムに話しかけた。
「冥鏡魂管理センター(冥コンセンター)に繋いで」
「了解デス!」
トゥルルートゥルルー……と、2回ほどコール音が響き、直ぐにガチャリと反応があった。
「ハイハーイ!毎度ありがとうございます。冥コンセンターです!」
スピークルムから聞こえる明るい声に、私の後ろの騎士団がざわついた。
それもそうよね。
スピークルムの性能を話したけど、実際に見るのは初めてなんだから。
「あー、どうもこんにちは!私、シルベーヌ・ニグロム・アルハガウンです」
「おや?どうも姫さん!久しぶりだね?そういや、地上へ嫁に行ったって聞いたよ?どう?楽しい?」
明るい声で呑気に話すのは、冥コンセンターの受付ハーミット。
彼はフードを被った妖精で、大きさは人間の赤ん坊くらい。
その姿は、ジンジャーブレッドマンを模したぬいぐるみのようで、色が真っ黒でなければかなり可愛い部類の妖精なの。
まぁ、そうね、見た目だけはね……。
「楽しいですよ(嫁にいってないけどね)それで、ですね。少しお願いがありまして……」
「うん?何?」
「ある罪人の魂の査定をお願いします。恐らくは七獄行き相当かと……」
「えぇー!?それ、大変じゃん!うーん、とりあえず見せてくれる?それから判事に掛け合うよ」
「はい。わかりました」
スピークルムをエレナに向け、その姿を写す。
すると、ぱぁっと発光したスピークルムがその姿を完全に写し取った。
「…………………あ。きた。うん。うーん。あー、これひどいや。かなり悪いことやっちゃったね……」
ハーミットは、驚くというより呆れたように言った。
「急いで査定に出すね。すぐだから待っててね」
「はい。お願いします!」
ブツッ。
通信は一旦切れた。
「今のは………何だ!?」
ディランが私の肩をガクガクと揺すった。
そして、ローケンとフォーサイスも、目を丸くして近寄ってくる。
もちろん騎士団のみなさんも……。
「ええとね、冥鏡の中で魂を管理する部署よ。ここの査定を受けてから、何処へ行くかが決まるの」
「それで、なぜエレナの査定を!?」
肩を離さないディランが、また私を揺すった。
「……あ、それはね……」
といいかけたところで、通信が復活した。
一旦待ってとディランに合図し、私はハーミットと会話する。
「お待たせ。これ、真っ黒だって。判事も即七獄行きを押したけど、どうする?」
「ありがとうございます。ちょっと待っててもらえますか?こちらで説明しなくちゃいけないんで」
「了解。じゃ、決まったら声かけてね」
また通信は途切れ、私は首を傾げている皆さんに説明をすることにした。
あまり得意じゃないんだけどな。
仕方ないかー。
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