約束の果てに

秋月

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*安藤琉

安藤琉#3

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私は静かに桜の木の影から出てしゃがみこんで手を合わせるお母さんの所へ歩み寄った

蓮「私もご一緒していいですか?」

私に気付いたお母さんがパッと私を見上げて目が合った
すぐに目を伏せたけど…赤く泣き腫らした瞳
たぶん毎日の様に美羽の事を思って泣いてるんだろうな
だって私もそうだったから…

母「…ええ」

私はお母さんの隣にしゃがみこみ一緒に手を合わせた
今更だけどここでこんな風に手を合わせるなんて初めてだ
桜が亡くなって喪失感でずっと部屋に引きこもりっぱなしだったし、その後に桜に再会できたから…
私はあのままで、いつか桜の死と向き合えていたんだろうか
私は考えたくなくて考えるのを止めた

母「…誰か亡くなられたの?」

不意にお母さんの方から話しかけてきた

蓮「姉を…」

母「そう…私の娘も…ここで死んだの
美羽って女の子なんだけどいつもママ、ママって私の後ろついて来て本当に可愛い自慢の娘だったの…」

涙を流しながら悲しそうに笑うお母さん
分かるよ、美羽はお母さんに似ていて美人さんだもん
私もお母さんの気持ち、すごく良く分かる
思い出ばかりが残って会えない寂しさ…
それがどんなに辛く苦しいものかも…

蓮「そうなんですか…
お母さんの事、きっと大好きなんですね」

母「…いいえ、美羽は…きっと私の事を怨んでる
わがままも聞いてあげれなくて、いつも我慢ばかりさせて…
美羽が死んだのも私がちゃんと側に居なかったから…」

お母さんの目から涙が溢れる
今も後悔でいっぱいで押し潰されそうなほど苦しい
お母さんも美羽もずっと苦しんでる…
私にはちゃんと見えてるの
美羽は貴方の側でママ、泣かないで、大丈夫だよって必死にお母さんに語りかけてその小さな手でお母さんの涙を拭おうと頑張ってる姿が
私にだけしか見えないのが悔しい
でも私にしか見えてないから、私が2人を救って助けてあげなきゃ
美羽の言葉をお母さんにちゃんと届けてあげなきゃ

蓮「…"そんな事ないよ
美羽はママの事大好きだよ"」

母「…あなた?」

私の言葉にお母さんは不思議そうに私に顔を向けた

蓮「…今のは美羽ちゃんの言葉です
気付いていますか
美羽ちゃんはずっとお母さんの側に居ますよ」

母「―…美羽が?嘘…そんなまさか…」

戸惑うお母さん
見えないお母さんにとっては信じられなくてもしょうがない

蓮「本当です
お母さんに勝手もらったお気に入りのピンクのリボンの髪ゴムを付けたチェック柄の青色のワンピースを着た女の子
私がこれから言う言葉は全て美羽の言葉です
信じる信じないはお母さん次第です」

教えて美羽
貴方のはお母さんに何を伝えてに来たのか

美羽『…ママ私…』

蓮「…私ママの事怨んでないよ
ママのせいだなんて思ってないよ
ママもう泣かないで
ママが泣いてると美羽も悲しいの
美羽は大丈夫だよ
美羽ママがの笑った顔大好き」

両手で口元を覆い、微かに震えるお母さん

母「―本当に…美羽なの…?」

蓮「『もう泣かないで
美羽ママと居て幸せだったよ
ママありがとう…
ママずっと…ずっーと大好き
美羽ね、絶対またママの所に産まれるからね』」

母「――っ美羽…ママも美羽の事大好きだよ…
美羽がまたママの所に生まれてくるの待ってるね
ママももう泣かない、だから美羽も笑っていて」

お母さんはまるで見えているかのように、美羽と向き合って涙を流しながらも笑って美羽に答えていた
美羽の想い、ちゃんとお母さんに届いた
美羽の未練が消えたからなのか美羽の姿が消え始めていく中、美羽は私達に

美羽『お姉ちゃん達ありがとう』

と笑って消えていった
それはとても可愛らしい笑顔だった

桜「…良かったね、美羽ちゃん」

私と桜の目からも涙がこぼれていた

母「…ありがとう
最後に美羽に会えた気がしたわ…
もう泣いてばかりいられないわね
美羽の言う通り笑って頑張らなきゃっ」

お母さんの顔からはもう涙は消えていた

蓮「そうですね」

母「貴方ー…」

お母さんは私を見て何か言いかけた

母「ー…いいえ、なんでもないわ
貴方にも会えて良かったわ」

その後、お母さんは穏やかな表情で帰っていった

蓮「良かった…」

桜「本当ね
でも…全く、蓮もお人好しなんだから」

蓮「いいでしょ?
この力が誰かの為になるなら」

幽霊が見えるなんて恐ろしいとか不気味で怖がる人の方が多いかもしれないけど、私はこの力が誰かの役に立てるなら嬉しい
この力を持って嫌になった事なんてない
この力で誰かを幸せに出来るんだったらその為に私は使いたい

桜「…ふふ、私、蓮のそうゆう所好きだよ
さっ、帰ろ」

蓮「なんだかお腹減っちゃったぁ
コンビニで何か買っておけば良かったなぁ」

桜「もうすぐ夕御飯なんだから我慢しなさい」

―…この時は本気でそう思ってた
見えるせいでこの先何が起こるかなんて想像もしてなかったの
私達の離れた所から様子を見ていていた人物が居ることにも私達は気付いてなかった

琉「………」
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