約束の果てに

秋月

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*姉妹の絆

姉妹の絆#6

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-蓮side-

ー…翌日、昨日琉に話を聞いて貰ったお陰なのかほんの少し心にゆとりがあった
目も冷やしたおかげで大分いい
それでもまだモヤモヤが心を覆う
油断するとまた泣きそうになってしまう
窓を開けて外を眺める
鳥のさえずりが聞こえてくるとても良い朝の筈なのに、私の心は未だに晴れない
学校にも行きたくない…
なおにも合わせる顔ないし…

蓮「桜…」

出ていってから1度も帰ってきてない
心配だけど捜しにいく勇気もでない…
琉は私が信じる桜を信じていれば良いって言ってくれた
私も信じたいけど、上手く感情が整理できなくて…
私は携帯を取り出して琉に電話をかけた

蓮「…琉?蓮だけど…」

琉「何か用か?」

蓮「今日学校休むね…」

まだ色んな事がぐちゃぐちゃで前に進めない

琉「…分かった
何かあったら連絡しろ」

蓮「うん…ありがとう」

琉「…蓮、逃げることは弱さじゃない
逃げてもいい、ただ逃げる道は間違えるなよ」

蓮「…うん…?分かった」

そこで電話は切れた
今、少しでも心が軽いのは琉のおかげだよね…
逃げる道は間違えるな…か
琉らしい励まし方…
電話を終えた後、私は着替えて、そして静かに家を出た
風が随分と暖かくなって夏の匂いかし始めた
学校を休んで最初にやって来たのはあの桜の木
ずっと桜と一緒に見てきた大事な桜の木
悲しい事も辛い事も嬉しい事も2人でここで過ごした
時には一緒に泣いたりした

蓮「…………」

私は桜の木を後にして次の場所に向かった
次に向かったのが海の見える小さな丘
太陽の光に照らされてキラキラと宝石みたいに輝く海をよく眺めていた
時には幻想的に染まる夕焼けも満天に輝く星空を眺めて流れ星を探した

蓮「……」

ここは久しぶりに来たな…
いつもと反対方向だから…
ここは桜と一緒に見つけた私達の秘密の場所
2人で野良猫の後を着いていって見つけた場所
近所にこんな場所があるなんて知らなかった
滅多に人も来ないから私達の貸し切りで特別な場所
あそこの公園は子どもの頃、日が暮れるまで遊んだ
そこのクレープ屋さんは学校の帰り道によく買って食べた
桜は苺が大好きだからよく苺のクレープを買ってて、お金が無い時は2人で1つを半分こして食べあった
あそこの携帯ショップは私が初めて携帯を買った所で、勝手の分からない私に、桜が一緒に合うやつを選んでくれた

蓮「―…っ」

桜が生きていた頃も死んでから一緒に過ごしていた時間もこの街には桜との思い出が沢山あるの
桜が居なきゃ出来なかった思い出
ずっと桜と一緒に居たから…だから余計に…

蓮「寂しいよ…桜…」

私は静かに涙を流した

-桜side-

桜「……」

ずっと後悔の気持ちが押し寄せる
蓮にあんな事を言ってしまったこと
蓮が居ないだけでこんなに虚しくて寂しいものなのね…
私が死んだ時、蓮もこんな気持ちだったのかもしれない

『どうしたのそんな顔して
やっと目障りだった妹から離れられたのに』

…目障り?私が蓮を…?
そうよ、蓮のせいで私は死んだの
私がこんなに苦しいのは全て蓮のせい…
――…本当に?

"ぐす…桜…"

私が死んだ事を自分のせいだと責めて泣き続けていた蓮
そんな蓮の姿を見ているのが苦しかった
苦しかった…?そうだよ、私は蓮のあんな姿を見る度に苦しかった
蓮のせいだなんて微塵も思ってなかった
蓮が無事で、生きていてくれて私は本当に嬉しかった
蓮は私のたった1人のかけがえのない大切な妹だから
少しおっちょこちょいで泣き虫、だけど優しい蓮が私は大好きだからー…

"蓮なんて居なきゃ良かった!!"

その言葉が強く私の中に残って胸が痛かった
どうしてそんな酷いことが言えたんだろう

桜「私…行かなきゃ」

蓮の所に
蓮にちゃんと謝って伝えなきゃ

『行くってどこに?』

桜「蓮の所に決まってるでしょ
蓮に謝らなきゃ…私のせいできっと凄く傷ついてる筈だから…っ」

何より私が蓮に会いたい

『…どうして…どうしてなの…!?
させない…行かせない…!!』

…っ体が動かない…!?
意識がハッキリして自分の本当の気持ちが分かったから今なら分かる
今までの声は私の本心じゃない
私の声を借りた誰かが全部仕組んだ事だって
私の心の隙に漬け込んだ悪霊の仕業だって
それを理解すると漸くその声の主の姿が私にも見えた

桜「全部貴方が私を利用していたのね…!
この変な力ほどきなさいよ!」

『待ってて、今すぐあの子を殺してあげるから』

悪霊は私の拘束を解くどころか、不気味な事を言い残こし

桜「……!?止めて!!蓮に手を出さないでよ!」

だけど悪霊は笑いながら私の前から姿を消した
蓮が…死ぬかもしれない
そう思うとどん底に叩き落とされるくらい怖かった

桜「蓮っ…!嫌だ…動いてよ…!」

蓮……っ!!
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