約束の果てに

秋月

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*桜の想い

桜の想い#3

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桜「私…っ、私怖かった…今も怖い…
消えたくなんかない
お別れなんかしたくないよっ…
皆と…私だって皆と一緒に生きていきたい…!
ずっとずっとここに居たいよ…うわぁぁん…」

桜の叫びが、想いが…聞いていて俺は何も言えなかった
泣き続ける桜を慰めることも、かける言葉も見つからないままただ時間だけが過ぎた

桜「ぅ…グスッ…ごめん琉…
突然の事だったから動揺して取り乱しちゃった…」

そう謝ってきた桜

琉「謝る事ない
俺の方こそ慰めの言葉も無くて悪いな」

桜「ううん…私は琉が意味のない慰めするような奴じゃ無いって分かってるから…
下手に慰められても虚しいだけ
私の話を黙って聞いてくれただけで少し落ち着いたから…
それにいっぱい泣いたから少しすっきりした…」

そうは言っても桜の表情は晴れず、また消えることへの恐怖心が見てとれる

琉「…取りあえずいつまでもここに居たってしょうがない
蓮も戻ってこないから心配してるだろうし、1度戻ろう」

桜「…また蓮に見えてなかったらどうしよう…」

琉「大丈夫だ
…戻る前にその事、蓮には話すのか?」

桜「…ううん…蓮には言わないで…」

…成仏せず一時的に消えかけたって事は多少なり未練が残って留まっている状態なんだろう
こいつが現世に戻ってきた未練が蓮の幸せを願うこと
例えその後にこいつがどんな未練を作ろうが現世に戻ってきた未練が果たされれば成仏する
こいつがどんなに生きたいと、共に居たいと願っても…それが未練になることは無いし、留まることは出来ない

琉「分かった、お前が話さないなら俺の口から話すことでもない
でも話さないと決めたなら今はその顔、蓮の前ではどんなに辛くても取り繕え」

桜「分かってる…」

琉「桜、後悔だけは無いようにしろよ」

桜は黙ったままだった

琉「戻るぞ」

桜「うん…」

その後、桜を連れて蓮の所へ戻った
桜は蓮と対面するまで怯えた様子を見せていたが…

蓮「桜!もぉ、どこ行ってたの~?
私探しに行ったんだよ?」

桜「蓮…」

蓮の目に自分が映ってる事が分かると、不安を抱きながらも安心したように小さく笑みを溢し、気持ちを切り換えるようにいつも通り振る舞っていた

桜「ごめんね、早く片付いちゃったから他に出来ること無いかなぁって外ウロウロしてたんだ~
それより後で見に来て!
私結構頑張ったんだから♪」

蓮「さっきチラッと見たけど凄い綺麗だった~
でも無理してない?疲れてない?」

桜「ふふっ、これくらい朝飯前だって
蓮こそ失敗してない?
華さんに迷惑かけなかった?」

蓮「失敗なんかしてないよ
私も一生懸命頑張ったもん」

そんな2人のやり取りを見ていると今は何故か胸がざわついた
桜も流石というか強がりというか…
さっきまでは泣き喚いていたのにそんなのを微塵も感じさせないほどいつも通り接している
蓮も気付かないくらい

そして夕方前…

華「蓮ちゃん、桜ちゃん今日は手伝ってくれて本当にありがとう
またいつでも遊びに来てね」

蓮「こちらこそ美味しいお茶とお茶菓子ありがとうございました
また手伝いが必要だったら言って下さい
いつでもお手伝いに来ます」

華「ありがと、気をつけて帰ってね」

琉「…俺は用があって送ってやれないけど大丈夫か?」

蓮「大丈夫だよ、そんなに遠くないし、桜も一緒だもん」

桜「そうそう、私に任せなさいって」

琉「そっか、気を付けて帰れよ」

蓮「うん。また明日ね琉」

桜と話ながら帰っていく蓮の姿を見送り、俺は書庫に1人やって来た
送ってやることは出来たけど、今は調べる時間が惜しい
手当たり次第に書庫を漁ったが、これといった収穫は得られなかった
父さんにも聞いてみるか…
そう思って父さんの部屋を訪ねた

陸人「あれ、琉?
珍しいな、俺の所にこんな時間に来るなんて」

琉「父さんに聞きたいことがあってさ」

陸人「お、なんだなんだ?
何でも答えてやるぞ」

琉「…例えば死者の魂をこの世に留めたり延命させられるような方法はあるのか?」

そう訪ねると、父さんは目を丸くさせて驚いていた

陸人「それって…もしかして桜ちゃんの事と関係あるのか?」

見抜かれてるか…

陸人「…ま、座って少し話をしよう」

俺は今日桜に起こったことを父さんにも話した

陸人「そっか…予期せぬ別れはいつだって怖いものだよな
桜ちゃんもさぞ、怖かっただろうな」

琉「俺は…あいつ等に後悔が残るような別れ方はしてほしくない
桜の意思と関係なくその時が来てしまうのは俺も…納得できない
またいつそんな事が起こるか分からないし、いつの間にか成仏して消えてしまったら元も子もない
だから…そうならないように少しでも現世に留まれるような、繋ぎ止めておけるような方法があるなら教えて欲しい」

陸人「……琉がまさかそんなことわりを覆すような発言をするとはな…
随分とあの子達に影響されたな、琉」

そう言われて返す言葉がなかった
理…霊に対して思うことは無く、除霊することが全てだった
どんな想いがあろうが、霊は現世に居てはいけない
そう思って今までやって来た
桜の時だって最初はそのつもりだった
死んだのにいつまでもこの世に留まってたって桜自身が報われないと思ったから除霊しようとした
それが…どうしてこんな事になったんだろうな
自然に未練を果たして、あいつ等の後悔のない別れを見届けようと決めていた
でも…今はその想いさえ俺の中で揺れる
あんな桜の姿を見たせいだ
このまま放っておくことなんて出来ないと思ってしまった

陸人「…お前ももう分かってる通りそんな方法は存在しない
除霊師とは本来、霊を魂を祓うものだ
俺達の仕事は魂を繋ぎ止めたりする物じゃない
魂とは本来はあの世に向かい禊洗われるもの
この世に留まってたら生まれ変わりも果たせない
それこそ桜ちゃんの魂が報われない」

父さんの言う通り、そんな方法が存在しないのは分かってた
それなのにすがってしまった
俺自身、何が桜の為なのか蓮の為なのか曖昧になってきている

陸人「…琉、あの子達の事でお前が出来る事はただ見守り見届けることだ
あの子達の気持ちを汲みたくなるのは分かるが、余計な事をするのは俺は許さないよ」

琉「…ごめん、父さん」

父さんの言うことが正しい
いくらあいつ等が望もうが俺がそこまで手を出す問題じゃないんだ

陸人「琉は優しく育ってくれたな
大丈夫だよ、桜ちゃんも分からないほど馬鹿じゃない
きっと、とっくに答えを出してるはずだから
お前も焦らず今まで通り接してあげな」

琉「そうするよ
父さんのお陰で俺も冷静になれたよ、ありがとう」

陸人「どういたしまして」
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