約束の果てに

秋月

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*桜の想い

桜の想い#6

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なおは教室の後ろの方で友人達に囲まれながらお喋りに花を咲かせていた

桜「なお、話し中にごめんね
少し話したいことがあるんだけどいい?」

私に気付いたなおが友人達に声をかけた

直人「俺ちょっと用事できたから抜けるわ」

そう言って私の方に来てくれたなお

桜「なお、公園行こ
あそこあんまり人来ないから」

なおは頷いて公園まで来てくれた

桜「なおごめんね、友達と居たのに」

直人「謝らなくて良いですよ
いっつも相談乗って貰ってたんですから、桜先輩が話あるなら喜んで聞きますよ」

桜「ありがとうなお」

直人「ところで蓮と琉が居ないのはなんか関係あります?」

桜「あ、蓮にはまだ聞かれたくない話だから…
琉が気を使って蓮を連れて行ってくれたの」

直人「蓮には聞かれたくないこと?
それってもしかして重大な話ですか?
なんかさっきから表情が微かに暗い気がしますけど…なんかありました?」

桜「嘘、私そんな顔してる?」

直人「いや…何となくというか…
でもなんか雰囲気がいつもと違うかなって感じがしますね」

桜「私隠すの下手だなぁ…」

直人「今更ですよ
てゆうより以前から隠すの下手ですよ、先輩は」

桜「え?」

直人「先輩だから、年上だからって強がってるの知ってますよ」

桜「そんなこと…」

直人「ありますよ」

と、なおは懐かしそうに笑った

桜「なおが鋭いだけでしょ~
そうゆうのが伝わってるだけでもう、なんか情けなくなる
蓮の前では良いお姉ちゃん、なおの前では格好いい先輩で居たかったのに、なおが鋭いのが悪いんだからね」

直人「ははっ、すいません」

なおとこのノリも懐かしいしこれで最後なんだな…

直人「それでどうしました?
悩みがあるなら可愛い後輩が聞いてあげますよ」

と冗談混じりにからかってくるなお

桜「生意気な後輩になったもんだねぇ
高校の時はもう少し可愛げあった気がするのに
…あのね、今日はちゃんとなおにお別れ言いたくたて」

直人「お別れ?ちょっと待って、いきなりどうしたんですか
なんでいきなりお別れとか言い出すんですか」

私の言葉の意味を理解してるせいか、動揺を見せるなお
そんな焦るなおの顔を見てると胸が締め付けられるよ…

桜「いきなりでも無いんだ、実は…
私にはもう時間が残ってないの
だから今度はちゃんとなおにちゃんとお別れしたくて」

直人「いや…本気でちょっと…頭がついていかないんですけど…
何があったのか話してくれるんですよね?」

桜「私の…未練が、魂が消えかけて成仏し始めてるみたいなの
今は大丈夫だけど、直に本当に成仏してしまう
あのねなお、私は蓮の事が心配でここに戻ってきた
なおも蓮を見てきたから分かるでしょ?
私が亡くなった事で生気を失ったように、泣いて、塞ぎこんで、踞って…あまりに痛々しいその姿を…」

直人「そんなの…嫌と言うほど見ましたよ
桜先輩が心配してそんな姿になってまで戻ってきたのも納得するくらい…
蓮にとって桜先輩はそれだけ大きな存在だったんですから」

桜「うん…私の未練は蓮だった
蓮が心配で、私が側に居てあげなきゃって…蓮が笑える日が、幸せになるその日まで私が支えてあげなきゃって…」

直人「それが桜先輩の未練なんですね…」

桜「うん…でも最近、蓮を見ていて時々思っていたの
蓮には友達だって居る、蓮を支えてくれる親友のなおも居る、そして何より蓮の事を大事にして守ってくれる琉が居る
私が居なくても蓮を支えてくれる人は沢山居る
もう、私が居なくても大丈夫だって思えるようになった
いつかって漠然と蓮とはお別れしなきゃって頭では分かってたんだけど、未練が薄れたせいか、つい先日ね、私も予期してなかったんだけど…蓮に見えなくなるくらい消えかけた時があったの」

直人「消えかけた…
蓮に見えなくなるくらいって…」

桜「蓮、私が目の前に居るのに全然気付いてくれなくてね
私、覚悟なんか全然出来てなくて、急に怖くなって琉の前で子どもみたいに泣きじゃくちゃって…」

直人「…先輩、辛いなら笑わなくて良いです」

桜「ありがと、なお
その時は本当に怖くて苦しくて嫌だって思ったけど、今はもう覚悟が決まったから大丈夫
残った時間が少ないのにうじうじしていたってしょうがないし、今度こそちゃんとお別れしようって決めた
いつかその時が来るのは分かってたから」

直人「…蓮は…いや、まだ蓮には言ってないんでしょう?」

桜「蓮には最後のその時まで言うつもりは無いよ
だってね、明日は日帰り旅行するつもりだから」

直人「日帰り旅行?」

桜「そ!最後に思い出作りたいって琉に我が儘言ったんだ
日帰りだけどちょっと遠出して、最後にうんと思い出作っていきたいの
蓮ってば凄く楽しみにしててね、私がそんな事になってるなんて知ったら、旅行も楽しめないじゃない?
私は蓮と思いっきり楽しみたいの
だからなおも内緒にしててね?」

直人「…先輩は狡いですよ」

桜「うん、ごめんね
きっと明日で最後になるだろうから、なおとは今のうちに別れを済ませておきたくて…
琉とも一応別れは済ましたの
明日は蓮の為に目一杯使おうと思って」

直人「……」

桜「なお…?」

直人「はぁ…桜先輩が覚悟決めてるなら俺は何も言えないじゃないですか」

桜「うん、ごめんね」

直人「けど、そうやって俺の事思い出して、わざわざお別れ言いに来てくれて有り難いです
何も言わずに消えてたら俺、一生許しませんからね」

桜「なおに嫌われるのは嫌だなぁ」

って私が笑うと、なおも微かに笑みを溢した

直人「俺の方こそ、先輩の事嫌いたくないですよ
だからこそこうしてお別れしに来てくれて嬉しいです
前は何も言えずに終わって俺も後悔してたんですから
桜先輩、これが最後になるって言うなら俺の話も勿論聞いてくれますよね?」

桜「勿論!何でも言って!」

なおの先輩として最後に役に立てるなら、嬉しい

直人「ありがとうございます」

そうなおは穏やかに笑った
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