君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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その後も湊は私に何枚か奏叶の写真を見せてくれた
奏叶は恥ずかしそうに顔を赤くして湊はそんな奏叶を見て面白がっていた
写真の中の今より少し幼い奏叶がなんだか愛おしく感じた


湊「あ、もうこんな時間かよ
そろそろ帰るか」


千菜「ありがとう…明日は学校行くから…」


湊「おう。ほらかな帰ろうぜ」


鞄を持って立ち上がり湊は声をかけるけど奏叶は


奏叶「え?」


湊「え?ってなんだよ
まさかまた泊まるつもりじゃないだろうな」


奏叶「そうしようかと…」


湊「いやいやいや駄目。そんな事俺が許さねえ
ほらさっさと帰るぞ」


奏叶「え、ちょっ…なんでお前が決めるんだよっ」


湊「いいから」


奏叶「ちょっ…千菜!お休み!」


バタン…


湊は有無を言わさず奏叶を引っ張っていった
…最後まで慌ただしくて嵐みたいだった
奏叶今日も泊まろうとしてたんだ…
少し奏叶に心配かけ過ぎかな

ずっと1人で居ることに慣れてるからどうしていいか分からないことがいっぱいあって…
その度に奏叶がフォローしてくれてる気がする
…今は1人じゃない
奏叶と湊が居てくれる
色んな事に甘えてちゃ駄目
少しでも自分で前に進めるように…

…それにしてもあの奏叶の女装の写真びっくりするくらい可愛くて似合ってた
明日から学校…
奏叶と付き合う様になってからかな
少しでも学校が楽しいと思える様になったのは…


次の日


ピピピピ

36度6分…
すっかり熱下がって良くなった
奏叶と湊のおかげだな…


千菜「チョコ行ってきます」


学校までの道を歩いていく
今日はすごく天気がいい
なんだか気持ちいいな…

学校に入るとやっぱり奏叶と湊以外の人達は変わらず私の噂を呟いては何かを話している
そんなのすぐに変わらないけど…やっぱり悲しい
でも今更気にしちゃ駄目

教室に入って自分の席に座る
そしていつものように本を読み始めた
そしてしばらくすると登校してきた湊が声をかけてきた


湊「おす。やっと復活だな」


千菜「湊、おはよう…お陰さまでもう元気だよ」


湊「ふーん…良かったじゃん」


少し微笑んだ湊は私の前の席に座った
湊の席じゃないのに座ったってことは話し相手になってくれるのかな…
なんだか本当に友達みたい
いや、友達なんだけどね…


湊「てか、かなは?まだ来ねぇの?」


千菜「あ…さっき連絡来て、今日は用事かあるから1日休むって…」


湊「用事?あ―…そっか、今日あの日か」


千菜「あの日…?」


奏叶が休むなんて珍しいと思ったけど…湊は何か知ってるのかな


湊「…お前かなから何も聞いてねぇの?」


湊は少し驚いたように私に聞いてきた


千菜「え…う、うん」


湊「ふーん…かなの弟知ってる?」


千菜「冬馬くん?奏叶が前に話してくれて…」


でも確か冬馬くんは…


湊「その感じ事情は一応聞いてんだな
今日が命日なんだよ
毎年命日には1人でも欠かさず墓参りに行ってんだ」


今日が冬馬くんの命日?
用事って冬馬くんの墓参りだったんだ…
奏叶大丈夫なのかな…
辛いに決まってるのに私にはいつもと変わらない感じで…


湊「そんなしけた面してんなよ
人の心配する前にお前は自分の事心配しろよ」


自分の事…?どうゆうことだろう…


湊「なんだ今日かな居ないのか…
ま、今日は2人だけどよろしく」


千菜「あ、うん…」


湊と2人なのは初めて…
なんか…くすぐったいような感覚
こんな一緒に居るのが当たり前のような些細なことが嬉しいと思えるなんて…
だけどその時ふと聞こえてきた


「最近湊付き合い悪い癖になんで東さんと一緒に居るの?」


クラスの人達が私達を見て口々に何かを言っていた
嬉しくて忘れていた
私は今更どうでもいい
だけど私と一緒に居ることで湊まで悪く言われてしまう…


湊「どうした?また具合悪いのか?」


千菜「…湊…私の所に居ないで皆の所に行ってきなよ
私と居たら湊まで悪く言われるよ…
私は1人でも大丈夫だから」


私がそう言うとなぜか湊は小さく溜め息をついた


湊「…なんだそれ
だからお前は人の事より自分の事心配しろって
それに俺が誰と居るかなんて俺が決める
俺は居たい奴と居るよ」


少し不機嫌そうに湊は言ったけど…その一言にすごく救われた気がした
湊の第一印象はすごく嫌な人だったけど、今は不器用だけど本当は優しい人って分かった
やっぱり奏叶の友達なんだなぁ
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