君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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奏叶「…そっか、安心した。お前になら安心して千菜の事任せられる。千菜の事よろしくな」

一瞬かなが何を言ってるのか理解できなかった

湊「は?何の冗談だよ」

冗談だと思った
俺の知ってるかなはそんな事言わないと思ってたから

奏叶「こんな冗談言わないよ。俺は…千菜とお前が付き合ってくれれば嬉しい」

見え見えの嘘をついて下らないこと言ってるかなに俺は頭に血がのぼって思わず服を掴んだ

湊「何ふざけたこと言ってんだよ!お前東の事好きなんじゃねえのかよ!」

奏叶「――…」

湊「何黙ってんだよ。なんで急にこんな下らねぇこと言ったんだよ」

奏叶「…お前には…千菜が必要だろ」

湊「…は?どうゆうことだよ…言えよかな!」

奏叶「…お前は片親だからずっと苦しんでた…
お前いつも恋愛は適当に流してたし…そんなお前が初めて誰かを好きになったんだ
お前には千菜が必要だろ」

湊「は…なんだそれ…お前…俺に同情してんのか?」

かなは目をそらして黙り混んだ
それが余計ムカついたんだ

湊「ふざけんな!俺に同情して東を俺にやろうとしてんのか!?自分も東の事好きなくせに!?
そんなの誰も嬉しくねぇよ!同情なんて馬鹿にすんのもいい加減にしろよ!
取り消せよ今すぐ!取り消せよかな!!」

奏叶「――……」

湊「…そうかよ。見損なったぜ
お前がそう言うなら俺は勝手にやらせてもらう」

俺はそのままかなを置いて歩き出した
かながあんなふざけたこと言う奴だとは思わなかった
もうかななんか知らねぇ
俺は俺の好きにさせてもらう

――――…

怒って帰っていく湊を止めることも出来ない
同情と言われても否定出来なかった
結局俺は…何処かで湊の事を憐れんでいたのか…
片親でずっと適当な付き合いばっかりしてきた湊がやっと…初めて誰かを好きになったんだ
湊の気持ち知ってて知らん顔なんか出来ない
これで良かったんだ…
俺ももゆっくり足を動かして帰り道を歩き出した

「…………」

曲がり角の影からその2人の様子を見ていた人が居たとも知らずに…
湊の事を思い千菜から手を引こうとした奏叶
奏叶の同情からの思いに腹をたてる湊
何も知らずに不安を抱えている千菜
3人の関係に初めて亀裂が入った

ーー…

次の日の朝はすごい天気が良かった
複雑な想いを胸にしまって俺は千菜が出てくるのを待ってた
昨日あれからずっと考えていた
千菜にどう話せば良いのか…
こんな事になったからには湊は自分のしたいように動いていくはず
そのうち千菜に想いを伝えるだろう
湊の為に…千菜と別れなきゃいけない
でも俺から千菜にそんな事言ったら千菜はきっと今以上に不安になるかもしれない
ちょっとした不安もさせたくない
だから俺から別れ話はしないことにした
湊は口が悪いところもあるけど根はいい奴だから…千菜もきっと好きになる
上手くいって2人が幸せならそれでいい
千菜から別れ話が出るまで…俺の我が儘だけど彼氏として側に居たい
あと少しの時間だけ千菜の側に…

千菜「奏叶…?」

奏叶「千菜おはよ!学校行こう」

千菜と並んで学校に向かう
千菜、どうか気づかないで
俺のこの想いに…俺の我が儘に…
学校に着いて教室に千菜と一緒に居ると遅れながらあくびをして眠そうな湊が入ってきた

奏叶「湊…おはよ」

挨拶をしたけど湊は顔を背け無視した
やっぱり怒ってるよな…怒って当然だよな
隣で俺の事をじっと見ている千菜に気付いた
今のを見られてたか…

奏叶「あー…見ちゃった?なんかね喧嘩しちゃった。でも心配することないからさ」

なんて笑って誤魔化した
それ以上言うのは違うと思ったし千菜もそうなんだ…と小さな声で言っただけだったからなんとなく助かった
でも結局喧嘩なんて言ったから千菜は心配したと思う

千菜「早く仲直り出来るといいね」

奏叶「そうだね…」

仲直り…また3人一緒に笑ってるような未来がまた来るのか俺には分からなかった
その日は湊が俺を避けてるみたいで一言も話すことなく1日が終わった
帰りも千菜を送ったが千菜は何かを感じているのか湊の事には今日ずっと触れなかった
だけどそのかわりに時々、千菜は湊の事を目で追っていた
少なくとも千菜は湊の事を気にしていた
それがほんの少し嬉しくでもどこか悲しかった
俺は凄く自分勝手な奴なんだと思い知った
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