君が嫌いで…好きでした。

秋月

文字の大きさ
50 / 83

君が嫌いで…好きでした。

しおりを挟む
次の日の昼休み
昨日奏叶が湊と喧嘩したって話してくれた
今日の様子を見ていても仲直りしたようには見えなかった
湊は奏叶が私と一緒に居るせいか、私達の方に来ることはなく他の友達の人と一緒に過ごしていた
私が湊の事に触れないせいか奏叶も湊の話題には触れなかった
でもどこか寂しそうで湊の事を気にかけているように私には見えた
教室で珍しく作ったお弁当を広げて奏叶と一緒にご飯を食べていた
外を眺めてみているととても綺麗な青空が見えた

先生「おーい七瀬!ちょっと手伝ってくれ」

奏叶「はーい。ごめん千菜、ちょっと行ってくるね」

千菜「うん。私も用事思い出したから」

奏叶は先生に呼ばれ教室を出ていき私はお弁当を片付けるとあるところに向かった

―――…

ダムっダムっダムっ…
バスケットボールをドリブルしながら俺はイライラしていた
奏叶の事も自分の事も全部がイライラする
なんなんだよこの気持ち…自分でもよく分からねぇ…ただ今は何もかもがうっとおしくて仕方ねぇ…
ボールをドリブルしながらスムーズに俺はゴールを決めた
よく分からねぇ自分の気持ちにイライラしながらすっきりさせたくてただがむしゃらにゴールにボールをぶつけまくった

ガンっ…ゴン…ゴン

湊「やべ…ミスった」

ゴールから外れたボールは体育館の入り口の方に転がっていった

千菜「はい」

転がったボールはいつの間にかそこにいた東が拾ってくれた

湊「なんでお前がここにいんだよ」

千菜「教室の窓から湊がこっちの方に行くのが見えて…」

湊「…かなはどうしたんだよ」

千菜「先生に呼ばれてどこか行った」

湊「ふーん…」

東はそれ以上何も言わずにただずんでいた

湊「お前どうせ暇なんだろ?ちょっと付き合えよ」

俺は東にボールを手渡した

湊「バスケくらい少しは出来んだろ?」

東は何も言わずにボールを持ったままゴールの方に歩き始めたゴールの手前で止まった
ボール持ったままゴールまで行くのかよって思ったけど、東がドリブルなんて華麗な事、出来るの想像つかないわ
てゆうか多分出来ないんだろう
そしてゴールに向かってボールを投げたんだけどまたそれが思った以上に下手くそでゴールに全く届かなかった

千菜「入らない…」

運動が得意だとは思ってなかったけど、思ったより音痴なのかもしれないな

湊「いやいや…入らない前にほとんどゴールに届いてないじゃん。バスケしたことねぇの?」

千菜「…小学校の時に少しだけ」

湊「今は?体育でもやるだろ」

千菜「チームプレイは入れてもらえないから…」

あぁ…そうゆうことか…やば、墓穴踏んだ
それにしても低レベル過ぎだろ

湊「しょうがねぇな…ほら教えてやるらちゃんと聞けよ」

俺は東の後ろについてアドバイスした

湊「ほら右手はここ、左手はこっち。
んでさっきのシュート見たけどお前は押し出す力が弱すぎ。お前の場合もう思いっきりやっていい。ゴールに入るように思いきり手でボールを押し出せ」

そして東はもう一度ボールを投げた
そのボールはゴールに近づいたが枠に当たって床に落ちた

湊「いいじゃん。後は少し調節すれば入るはずだろ」

三度目の正直…東がボールを投げたした瞬間、入れと強く願った
そのボールは見事な曲線を描いて枠に当たって何とかゴールを決めた

千菜「入った…」

湊「やるじゃん!意外と才能あるかもしんないな♪」

3回目でゴール決めるとは思わなかった
まぁ、まぐれかもしんないけど、東がゴールを決めたことが自分の事のように嬉しく感じた
実際本人より喜んでいた気がする
東のリアクションが薄すぎて

千菜「………」

湊「なんだよ。人の顔じっと見て…」

千菜「…やっぱり湊も笑ってる方がいいよ」

東は突然そんな事を言い出した
その東の微かな微笑みに胸が締め付けられるような気分になった
気がつくと体が動いて持っていたボールを手離し東の事を抱き締めていた
誰も居ない昼休みの体育館
落ちたボールが弾む音が鮮明に聞こえて徐々に小さくなり静かな空間になった
かながあぁ言った以上もうかなの事は構ってられねぇ
俺のしたいようにする
かな、俺はお前から東を奪う

千菜「……湊?」

――教室

奏叶「千菜お待たせ…千菜?」

教室に戻ると千菜の姿がなかった

「あ、奏叶。東さんなら何処かに行ったみたいだけど」

奏叶「千菜が?そっか、ありがとう」

千菜…何だか胸騒ぎがする…

―――俺の腕の中に東が居る
女を抱き締めるなんて初めてじゃないのにこいつには何故かドキドキさせられてしまう

千菜「ねぇ湊?どうしたの…」

湊「…俺は最初お前が嫌いだった。でもお前と一緒に居るようになって段々…お前の事気になるようになった。東…いや、千菜。俺はお前の事が好きだ
もちろんお前がかなの事を思ってることも、お前に酷いこともしてきたのは分かってる」

千菜「湊…」

湊「都合がいいのは分かってる。でも俺はかなと険悪になってもかなからお前を奪いたい
…返事は今すぐじゃなくていい
でも俺は本気だから。それだけは覚えてろよ」

俺は抱き締めていた手をそっと離した
千菜は何も言わずただ俯いていた
そんな千菜を1人体育館に残して俺は先に教室に戻った
あいつを困らせてるのは分かってる
でもあれが俺の正直な気持ちだ
すぐには無理でも絶対振り向かせて見せる
かな、後悔しても知らないからな

千菜「――…湊…奏叶…」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...