君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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奏叶「ここだよ。ほら入って」

千菜「お…お邪魔します」

私は今、何故か奏叶のお家に来ていた
何故こうなったのかというと…それは昼休みの奏叶の一言だった

昼休み―…

奏叶「そうだ千菜。今日家に泊まりにおいでよ!」

千菜「え…?」

鈴村「あら、奏叶くんって意外と積極的なのね」

湊「だからお前はそうゆう所何とかしろっつってんだろ!ネジ緩み過ぎなんだよ!」

奏叶「なんだよ。だってその方が俺も安心だしさ」

湊「だからって話が唐突過ぎんだよ!」

奏叶「ね、千菜!そうしなよ!」

千菜「うん…」

奏叶の勢いに私は頷くしかなかった

湊「はぁ…」

鈴村「あらあら、湊くんも苦労してるみたいね」

奏叶「湊も久しぶりに泊まってけよ」

湊「あー…そうしたいのはやまやまだけどバイトもあるし、昨日親父がぎっくり腰になってよ
家の事やんねぇと」

奏叶「そっか。親父さん大変だな」

湊「ほんとだよ。まだ若いくせにさ…って事だから」

奏叶「分かったよ」

―…って事があって今に至るわけだけど…私って押しに弱いのかな…
奏叶の勢いに乗せられてここまで来たけど…
奏叶のお家なんて初めてだし…勿論お父さんお母さんもいるわけでしょ?
なんか別の意味で不安になってきた…

奏叶「ただいまー」

千菜「お邪魔します…」

母「おかえりー。今日は早かったのね…あれ?お友達?」

奥から出てきた優しそうでふんわりした感じの女の人…
この人が奏叶のお母さん…?

千菜「は…初めまして…あの私…東千菜です。えっと…」

変に緊張して言葉に詰まってしまう…
そんな私を奏叶はフォローしてくれた

奏叶「前に話したでしょ。俺の彼女」

母「え!この子が!?奏叶には勿体ないくらい可愛いお嬢さんね。初めまして。奏叶の母です」

あ…笑った顔が奏叶と似てる
何だか安心する…

奏叶「今日泊まってって貰おうと思って」

母「あ、そうなの?狭い家だけど、どうぞ上がって」

千菜「あ、ありがとう…ございます…」

なんか…突然来たのに順応してるな…

奏叶「とりあえず俺の部屋行こ
いつまでも制服じゃ疲れるでしょ?」

千菜「う、うん…」

階段を上がって奥の部屋に案内された

奏叶「ここ。入って入って」

ここが奏叶の部屋…
奏叶と同じ匂いがする…

奏叶「とりあえず着替えなよ
荷物はここに置いといていいから」

千菜「わ、分かった…」

奏叶「じゃ、俺は下に居るから
着替えたら千菜もおいでよ」

奏叶が出ていくと深く息を吐いた
こうゆうの慣れてないから…どうしていいのか分からない
とりあえず着替えよ…

千菜が着替えている間、奏叶も別の部屋で着替えてキッチンに入り椅子に座った

奏叶「父さんは?」

母「もうすぐ帰ってくるはずよ
でも彼女連れてくるなら一言言ってくれてもいいのに。パパもびっくりするわよ」

奏叶「驚くかと思って」

母「ふふ、驚いたわよ
千菜ちゃん…あの子がそうなのね
辛かっただろうに…」

奏叶「うん…でも今は俺が居るからさ」

母「一人前に男ぶって奏叶も大きくなったわね」

千菜「奏叶…」

奏叶「千菜着替え終わった?」

千菜「うん…」

かな母「千菜ちゃん座ってて
もうすぐご飯が出来るから」

奏叶のお母さんが優しく声をかけてくれた
座っててと言われたけど私はそのままお母さんの方に歩み寄った

千菜「あの…手伝います…」

母「あら本当?助かるわ。ありがとう」

やっぱり笑った顔がそっくり…
奏叶はお母さん似なのかな…

奏叶「俺も手伝うよ」

母「あら、千菜ちゃんの前だからカッコつけちゃって」

奏叶「いつもやってるだろ
いちいちからかってくるなよ」

仲良さそう…
可愛いお母さんだな…

母「今日はハヤシオムライスよ
もうすぐパパも帰ってくるから準備しなきゃね」

私は奏叶と一緒にお皿を出したり盛り付けを手伝った

かな母「千菜ちゃん手際がいいのね」

千菜「家事はよくやってたので…」

母「だと思ったわ
私ね娘も欲しかったのよ
だから千菜ちゃんが今日来てくれて嬉しいわ」

お母さんの言葉に私は少し恥ずかしかった
そんな風に言われたことないから戸惑ってしまう…

母「…実は奏叶から千菜ちゃんの事情聞いてるの
寂しかったでしょ?私の事お母さんだと思っていいからね?
なんて会ったばかりで言われても迷惑かもしれないけど」

私の事知っててこんな風に言ってくれるんだ
お母さんのその言葉が凄く胸に響いた
会ったばかりなのにこんなにも温かく迎えてくれるなんて…

父「ただいまぁ」

母「あ、パパ帰ってきたみたい」

奏叶「おかえり父さん」

かな父「いい匂いがするなぁ…って君は誰!?」

千菜「あ、東千菜です…お邪魔してます…」

私が頭を下げると奏叶のお父さんも深々と頭を下げた

父「あ、こちらこそ」

奏叶「彼女」

父「え!?」

奏叶「ちなみに泊まってくから」

父「ええ!?」

母「ふふ、いいリアクションね」

奏叶のお父さん…驚いてるけど大丈夫なのかな…

奏叶「驚いた?」

父「驚いたに決まってるだろ…
千菜ちゃんだったかな
君の事は息子から色々聞いてるよ。よろしくね」

千菜「はい…」

お父さんも優しそうないい人…
この人達が奏叶の家族…
私がここに居るのもなんか不思議な感じ…
だけど何処か懐かしい雰囲気が心に染みる

母「さ、パパは着替えてきて。ご飯にしましょ?」
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