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突然の告白にぽかんとする私の前で、シリウス様が語り出す。
「君とシャルルの婚約が決まって、僕は君を忘れるためにサラス帝国へ渡ってひたすら勉強に打ち込んでいたんだ。けど、一年くらい経った頃かな。大きなパーティーに招待されて、そこで初めてマリア王女の姿を見かけたんだ」
シリウス様が、ふと昔を懐かしむような遠い目になった。
「彼女を見た瞬間、僕は雷に打たれたような衝撃を受けたよ。『まさかこんな所にこれ程の逸材が隠れていたなんて』ってね」
「逸材……」
そのなんとも言えない響きに、思わず復唱してしまう。
それはつまり、あのふくよか過ぎる体型のことを指しているのだろうか。
「シャルルがそういう趣味であることは僕も知っていたからね。そのせいで君がいらぬ苦労を強いられているのもわかっていた。だから、シャルルにあの王女を引き合わせさえすればシャルルはすぐに彼女に夢中になるに違いないと踏んだんだ。実際、その通りだっただろう?」
それは確かに事実だったので、こくりと頷く。先程のパーティーでもそうだったが、まさに骨抜き、という言葉が相応しい状態だった。
「シャルルがマリア王女に夢中になれば、いずれ君との婚約を解消して彼女と結婚したいと言い出すだろう。そうすれば堂々とシャルルから君を取り戻すことが出来る。そう考えた僕は、その日から彼女をどうにかしてシャルルに会わせるべく行動を起こすことにしたんだ。隣国での人脈を広げ、彼女との繋がりを作るまでに一年半。そこから更に、出歩くことが大嫌いで面倒くさがりな彼女を説得してこの国に招待するまでに半年かかったよ。僕が留学を終えるタイミングでギリギリ間に合ってよかった。サラス帝国でも彼女の将来を案じていたみたいでね、今回の件でサラス帝国の国王陛下には随分と感謝されたよ」
驚きの内容に、思わず絶句する。
そう言えば、シリウス様の帰国とマリア王女の来訪はまったく同じタイミングだった。
シリウス様は恐らく、自らの帰国と同時にマリア王女を連れてきたのだろう。
まさか今回の騒動にそんな裏があったなんて。
黙ったままの私に不安になったのか、シリウス様が顔を覗き込んできた。
「ごめんね、こんなずるい奴で。……僕のこと、嫌いになった?」
シリウス様の言葉に、慌てて頭を振って否定する。
確かに驚きはしたけれど、そこに怒りや嫌悪の気持ちはない。あるのは、むしろ――。
「嫌いになんて絶対になりません。……嬉しいです」
私の中にあるのは、喜びだった。
私のために、シリウス様がそんなことまでしてくれていたなんて。
シリウス様にそこまで愛され、必要とされていたことに喜びを感じると共に、何も知らずに日々を過ごしていたことへの申し訳なさが強くなる。
それをそのまま素直に伝えると、シリウス様はなんだそんなことか、と安堵したように笑った。
「貴族としてはそれが正しくて当たり前のことなんだから、アンジェラがそんな風に思う必要はないよ。ただ僕が普通よりも諦めが悪かったのと、アンジェラのことを好き過ぎただけだから。……愛してるよ、アンジェラ」
そう言って、私の顎に手をかけて上向かせる。
目の前には熱を帯びたシリウス様の瞳。
私はこの後何が起きるかを悟り、そっと目を閉じた。
かすかな吐息が頬にかかるのを感じた次の瞬間、唇が柔らかなもので塞がれる。想像より熱く、少し乾いた感触のシリウス様の唇。
最初は軽く触れるだけだったそれは、私に嫌がる様子がないことを察すると、次第に大胆になっていった。舌で歯列を割り開くと、戸惑う私の舌をあっという間に絡め取り、舐め回す。かと思えば上顎の裏を擽るようになぞったり、舌先を甘く吸ってみたり。
初めてにしては激しすぎる口付けに翻弄されて、解放される頃には私の息はすっかり上がってしまっていた。
「君とシャルルの婚約が決まって、僕は君を忘れるためにサラス帝国へ渡ってひたすら勉強に打ち込んでいたんだ。けど、一年くらい経った頃かな。大きなパーティーに招待されて、そこで初めてマリア王女の姿を見かけたんだ」
シリウス様が、ふと昔を懐かしむような遠い目になった。
「彼女を見た瞬間、僕は雷に打たれたような衝撃を受けたよ。『まさかこんな所にこれ程の逸材が隠れていたなんて』ってね」
「逸材……」
そのなんとも言えない響きに、思わず復唱してしまう。
それはつまり、あのふくよか過ぎる体型のことを指しているのだろうか。
「シャルルがそういう趣味であることは僕も知っていたからね。そのせいで君がいらぬ苦労を強いられているのもわかっていた。だから、シャルルにあの王女を引き合わせさえすればシャルルはすぐに彼女に夢中になるに違いないと踏んだんだ。実際、その通りだっただろう?」
それは確かに事実だったので、こくりと頷く。先程のパーティーでもそうだったが、まさに骨抜き、という言葉が相応しい状態だった。
「シャルルがマリア王女に夢中になれば、いずれ君との婚約を解消して彼女と結婚したいと言い出すだろう。そうすれば堂々とシャルルから君を取り戻すことが出来る。そう考えた僕は、その日から彼女をどうにかしてシャルルに会わせるべく行動を起こすことにしたんだ。隣国での人脈を広げ、彼女との繋がりを作るまでに一年半。そこから更に、出歩くことが大嫌いで面倒くさがりな彼女を説得してこの国に招待するまでに半年かかったよ。僕が留学を終えるタイミングでギリギリ間に合ってよかった。サラス帝国でも彼女の将来を案じていたみたいでね、今回の件でサラス帝国の国王陛下には随分と感謝されたよ」
驚きの内容に、思わず絶句する。
そう言えば、シリウス様の帰国とマリア王女の来訪はまったく同じタイミングだった。
シリウス様は恐らく、自らの帰国と同時にマリア王女を連れてきたのだろう。
まさか今回の騒動にそんな裏があったなんて。
黙ったままの私に不安になったのか、シリウス様が顔を覗き込んできた。
「ごめんね、こんなずるい奴で。……僕のこと、嫌いになった?」
シリウス様の言葉に、慌てて頭を振って否定する。
確かに驚きはしたけれど、そこに怒りや嫌悪の気持ちはない。あるのは、むしろ――。
「嫌いになんて絶対になりません。……嬉しいです」
私の中にあるのは、喜びだった。
私のために、シリウス様がそんなことまでしてくれていたなんて。
シリウス様にそこまで愛され、必要とされていたことに喜びを感じると共に、何も知らずに日々を過ごしていたことへの申し訳なさが強くなる。
それをそのまま素直に伝えると、シリウス様はなんだそんなことか、と安堵したように笑った。
「貴族としてはそれが正しくて当たり前のことなんだから、アンジェラがそんな風に思う必要はないよ。ただ僕が普通よりも諦めが悪かったのと、アンジェラのことを好き過ぎただけだから。……愛してるよ、アンジェラ」
そう言って、私の顎に手をかけて上向かせる。
目の前には熱を帯びたシリウス様の瞳。
私はこの後何が起きるかを悟り、そっと目を閉じた。
かすかな吐息が頬にかかるのを感じた次の瞬間、唇が柔らかなもので塞がれる。想像より熱く、少し乾いた感触のシリウス様の唇。
最初は軽く触れるだけだったそれは、私に嫌がる様子がないことを察すると、次第に大胆になっていった。舌で歯列を割り開くと、戸惑う私の舌をあっという間に絡め取り、舐め回す。かと思えば上顎の裏を擽るようになぞったり、舌先を甘く吸ってみたり。
初めてにしては激しすぎる口付けに翻弄されて、解放される頃には私の息はすっかり上がってしまっていた。
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