伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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中庭にはロルフ様がお待ちで、私を見かけると立ち上がって離れているところから手を降って喜んでくださいました。

「お待たせして申し訳ありません」

お側に寄ってカテーシーをしました。

「いいや、急な誘いだからね。来てくれて嬉しいよ」

両の手のひらを目の前に差し出されたので私もその手に両手をおずおずと乗せました。

私も堂々と出来ればいいのに。

「リリィ、顔が真っ赤。……可愛い」

私の両手を柔らかく包んでます。

息も苦しいです。

婚約をしてひと月たちますがまだ平静を保てません。

優しい緑と金色の混じったお瞳を見つめることができず下を向いて頷きました。

「……私、申し訳ありません」

お顔を見れなくて。

外交のパートナーと選ばれたのに第一王女様のご不興を買ってしまって。

お姉さまやサフィア様のような誇れるものもなくて。

「元気がないね」

「反省が多いもので。……申し訳ありません」

「何もないよ。君が君であればいい。俺の方こそ君を悲しませてすまない」

「いいえ、ロルフ様は素晴らしい殿方です。反省は私にあります、あ」

ぷにぷにと手を揉まれてくすぐったさに声が漏れました。

「俺の大事なひとは君だよ、リリィ」

うつむく頬に手を添えて撫でられて恥ずかしさに震えます。

「あ、あの、……嬉しいです」

「顔をあげて?」

「はい、あ」

顎を持ち上げられて顔を上げました。

頬に垂れていた髪を耳にかけてくださいます。

目を見つめるとロルフ様も恥ずかしそうに目を細めて私を見つめておられました。

「明日、迎えに来るから」

「はい。お待ちいたします」

「頬に、キスをしてもいいかな?」

ロルフ様も赤い顔。

でもきっと私の方が真っ赤だと思います。

苦しくて声を出せずにこくこくと頷いて答えました。

「ありがとう。……リリィ」

ロルフ様は体を屈めて、お顔が目の前に。

緊張でぎゅっと目をつぶり、お顔を下げないようにと体に力が入って強張ります。

頬に当たる柔らかさと、ちゅっと鳴るリップ音にブルッと震えてしまいました。

「……リリィ」

「はい、ろ、ロルフ様」

返事をしましたが、掠れて小さな声になりました。

聞こえましたでしょうか。

「少し、庭を見て回るか?」

ロルフ様のお声も少し震えてます。

「はい。ご一緒させてくださいませ」

あとは手を握って二人でお庭をお散歩いたしました。

声が上擦ってしまって私からは何もお話出来ませんが、ロルフ様も同じように緊張されているようであまりお言葉を口にされずただずっと手を握りしめていらっしゃいました。

時々、柔らかく握りしめたり繋ぐ手の形を変えたり。

それだけでも心地よくて。

私も離れがたくてぎゅっと握り返しました。

嬉しい反面、無口な私に退屈されてないかしらと不安もあります。

もう少し慣れたら気の利いた会話ができますでしょうか。

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