伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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結婚式の当日はロルフ様のエスコートを受けて来賓として参加いたしました。

サフィア様と第二王子、そしてお姉さまとメランプス義兄さまの二組の為の催しです。

この国での挙式は去年、終えてましたが各国の首脳陣を招いての大々的なパーティー。

結婚式と言うより各国へ向けてのお披露目に近いものです。

各国の首脳陣に見守られる中、王宮の会場でこちらの王様が二組へ婚姻の宣誓を告げます。

お母様たちもお姉さまの立派なお姿に涙を流して喜んでおります。

来賓席と身内の席は離れているので遠目からお母様達のお喜びするお姿を拝見しておりました。

「サフィア様もお姉さまも素敵」

「そうだね。……いずれ、俺達も」

「は、い」

また顔が熱くなります。

ちらっとお顔を盗み見するとロルフ様もお耳が赤くなっていて気持ちが高揚しているのは私だけじゃないとわかりほっとしました。

「……ロルフ様も赤い」

「言わないで?恥ずかしいから」

「はい」

夜は王宮で大きなパーティーが開かれ、もちろん私もロルフ様のエスコートで参加しました。

お姉さまとサフィア様のもとへお祝いの言葉を述べに行きます。

「おめでとうございます」

「ありがとう。次はあなた達ね」

「は、はい」

「皆様のように睦まじいご夫婦を目指します」

ロルフ様のように堂々とすればよいのに。

私ったら恥ずかしくて扇で顔を隠して頷くだけでした。

それもやっとです。

嫌がってると誤解されたかもと心配になりロルフ様を見つめるといつも通りにこっと微笑みを返してくださいました。

「……リリィ、相変わらず甘えてばかりなのね。もう少ししっかりしてくれないと困るわ」

「はい、申し訳ありません。お姉さま」

叱られましたが人前ということでいつものような剣呑さはありません。

息苦しくなることもなくすんなりと言葉を返せました。

「スワロス公爵夫人、私が頼りない男で申し訳ない」

「あら、王子のことではありませんのよ?いまだ甘えん坊な妹に、です」

王子にまで謝らせて本当にだめね、ポツリと私に聞こえる囁きを呟かれます。

「ウルリカ、リリィは良くやってるわ。頼りなげに見えるだけで芯の強い子。あなたにそっくりよ?」

「サフィア様、私達はちっとも似ておりませんわ」

心外といった様子のお姉さまです。

「近すぎると分からないものね」

「ええ、サフィア様の仰る通り。妻のウルリカは頼もしいくらい芯が強い。もちろん義妹のリリィもね」

「そうだな。どちらも怒らせると怖い」  

ポツリと第二王子が呟きはサフィア様が扇に隠れてくすくす笑っておられます。

「私も怒ったら怖いんですのよ?お忘れなく」

「ああ、わかってる」

「あまり妖精に夢中になるとまた私怒ってしまうかも?やっぱり我慢の限界がありますのよ」

「は?」

「そうですね。あまり見つめるとまた妖精が隠れてしまいますよ」

第二王子の視線が嫌で徐々に後ろへ下がっていたのがバレました。

背中に何かあたりは後ろへ視線を向けるとヨルンガでした。

どうやら私は下がりすぎたようです。

「私がおりますよ」

ぼそっと耳打ちをして励ましてくれました。

「おい、なんでここにいる?そいつを俺に近づけるな」

「本日は通訳ですので」

じろっと睨むと第二王子はモゴモゴと口ごもりそっぽを向いてしまいました。

ヨルンガのことがお嫌いなようです。

瞳や髪の色にこだわるお国柄なので、褐色も許せないのでしょう。

第二王子は初めてお会いした時、私のくすんだ灰色の髪を汚いと嫌がっておられたから。

それがどうして私を気に入ることになったのか全く理解できません。

恋心は複雑で難解です。
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