15 / 78
15
しおりを挟む
ううーん……
確かにロルフ様は素敵だと思います。
グラッセ王女も美しい方です。
でも、これは……
今日も合間を見てロルフ様と庭園の散歩に出ました。
お互いのメイドや侍従を連れて二人っきりの予定でした。
でも今はグラッセ王女が参加されてロルフ様をしきりに呼んで引き離されてしまいます。
取り巻きのご令嬢が私を囲んでロルフ様とグラッセ王女が二人っきりで会話されて私は見ることしか出来ません。
お二人をお似合いだとちやほやして。
私は釈然としません。
当たり前です。
私の婚約者なんですから。
文句を言いたいのですが、言葉が出てきません。
言葉の壁に頭に来そうです。
『お暇、いたします』
それだけしか言えません。
「そうなさったら?おちびさん、ほほ、」
「あなただけ国に帰っていいのよ?」
流暢な嘲りに傷つきますが、それはあり得ないと心の中で呟きます。
ロルフ様を疑うつもりはひとつもないのですから。
ここで何かを言っても火に油でございましょう。
黙って扇で口許を隠してその場を離れます。
「……ふぅ、疲れた」
「リリィ様、口惜しゅうございます。ロルフ様のお相手はリリィさまですのに、ひどい、」
涙目のサラに申し訳なくなります。
「口喧嘩に負けてしまっただけ。ロルフ様を疑うつもりはひとつもないわ」
「ええ!さようでございますよ!あの方がたは、ロルフ様がどれだけリリィ様のことを想われていらっしゃるかご存じないんです!」
部屋に戻るとヨルンガが驚いています。
「お早いお戻りですね。何かございましたか?」
「ございましたとも!」
荒れるサラの説明にヨルンガも顔色がみるみる変わっていきました。
「リリィ様を放って。……そうですか。……婚約者でありながら許せませんね」
「ロルフ様もロルフ様です。リリィ様を」
「やめて!」
二人の矛先がロルフ様に向いた瞬間、大声が出ました。
「ごめんなさい。大声を出して。でもロルフ様のことはやめて」
「申し訳ありません。」
「やめて」
二人が頭を下げるのを手を振ってやめさせます。
「やめて、お願い。」
我慢していた涙もこぼれて苦しくなりました。
サラにハンカチを渡されて目元を拭います。
「リリィ様、申し訳ありません」
「ロルフ様を疑ってはいないの。それより、自分の不甲斐なさが悔しいだけ」
もっと言葉を話せたら、
もっと女性らしい見かけなら、
背が高ければ、
考えても仕方ないことばかり。
自分が自分でなければ良かったのに。
『……言葉の勉強をシマス。ヨルンガ、サラ、相手を』
『かしこまりました』
牛乳を飲んでも頭から足まで引っ張っても仕方ないことです。
つけば焼き場でも、少しでも何か変わらなくては。
恥ずかしながら、ぼろぼろ涙をこぼしつつ二人から言葉の勉強を学びました。
決してわからないからじゃありません。
「リリィ様、目元を冷やされてください」
勉強を一通り終えてサラが新しく冷たいタオルを渡してきました。
大人しく目に乗せます。
「明日はリリィ様の得意な乗馬です。皆様を驚かせて差し上げましょう」
「ええ、そうね。それに私も久々に青毛に乗れるからうれしいわ」
確かにロルフ様は素敵だと思います。
グラッセ王女も美しい方です。
でも、これは……
今日も合間を見てロルフ様と庭園の散歩に出ました。
お互いのメイドや侍従を連れて二人っきりの予定でした。
でも今はグラッセ王女が参加されてロルフ様をしきりに呼んで引き離されてしまいます。
取り巻きのご令嬢が私を囲んでロルフ様とグラッセ王女が二人っきりで会話されて私は見ることしか出来ません。
お二人をお似合いだとちやほやして。
私は釈然としません。
当たり前です。
私の婚約者なんですから。
文句を言いたいのですが、言葉が出てきません。
言葉の壁に頭に来そうです。
『お暇、いたします』
それだけしか言えません。
「そうなさったら?おちびさん、ほほ、」
「あなただけ国に帰っていいのよ?」
流暢な嘲りに傷つきますが、それはあり得ないと心の中で呟きます。
ロルフ様を疑うつもりはひとつもないのですから。
ここで何かを言っても火に油でございましょう。
黙って扇で口許を隠してその場を離れます。
「……ふぅ、疲れた」
「リリィ様、口惜しゅうございます。ロルフ様のお相手はリリィさまですのに、ひどい、」
涙目のサラに申し訳なくなります。
「口喧嘩に負けてしまっただけ。ロルフ様を疑うつもりはひとつもないわ」
「ええ!さようでございますよ!あの方がたは、ロルフ様がどれだけリリィ様のことを想われていらっしゃるかご存じないんです!」
部屋に戻るとヨルンガが驚いています。
「お早いお戻りですね。何かございましたか?」
「ございましたとも!」
荒れるサラの説明にヨルンガも顔色がみるみる変わっていきました。
「リリィ様を放って。……そうですか。……婚約者でありながら許せませんね」
「ロルフ様もロルフ様です。リリィ様を」
「やめて!」
二人の矛先がロルフ様に向いた瞬間、大声が出ました。
「ごめんなさい。大声を出して。でもロルフ様のことはやめて」
「申し訳ありません。」
「やめて」
二人が頭を下げるのを手を振ってやめさせます。
「やめて、お願い。」
我慢していた涙もこぼれて苦しくなりました。
サラにハンカチを渡されて目元を拭います。
「リリィ様、申し訳ありません」
「ロルフ様を疑ってはいないの。それより、自分の不甲斐なさが悔しいだけ」
もっと言葉を話せたら、
もっと女性らしい見かけなら、
背が高ければ、
考えても仕方ないことばかり。
自分が自分でなければ良かったのに。
『……言葉の勉強をシマス。ヨルンガ、サラ、相手を』
『かしこまりました』
牛乳を飲んでも頭から足まで引っ張っても仕方ないことです。
つけば焼き場でも、少しでも何か変わらなくては。
恥ずかしながら、ぼろぼろ涙をこぼしつつ二人から言葉の勉強を学びました。
決してわからないからじゃありません。
「リリィ様、目元を冷やされてください」
勉強を一通り終えてサラが新しく冷たいタオルを渡してきました。
大人しく目に乗せます。
「明日はリリィ様の得意な乗馬です。皆様を驚かせて差し上げましょう」
「ええ、そうね。それに私も久々に青毛に乗れるからうれしいわ」
18
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!
白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。
婚約者ではないのに、です。
それに、いじめた記憶も一切ありません。
私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。
第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。
カクヨムにも掲載しております。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる