伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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ううーん……

確かにロルフ様は素敵だと思います。

グラッセ王女も美しい方です。

でも、これは……

今日も合間を見てロルフ様と庭園の散歩に出ました。

お互いのメイドや侍従を連れて二人っきりの予定でした。

でも今はグラッセ王女が参加されてロルフ様をしきりに呼んで引き離されてしまいます。

取り巻きのご令嬢が私を囲んでロルフ様とグラッセ王女が二人っきりで会話されて私は見ることしか出来ません。

お二人をお似合いだとちやほやして。

私は釈然としません。

当たり前です。

私の婚約者なんですから。

文句を言いたいのですが、言葉が出てきません。

言葉の壁に頭に来そうです。

『お暇、いたします』

それだけしか言えません。

「そうなさったら?おちびさん、ほほ、」

「あなただけ国に帰っていいのよ?」

流暢な嘲りに傷つきますが、それはあり得ないと心の中で呟きます。

ロルフ様を疑うつもりはひとつもないのですから。

ここで何かを言っても火に油でございましょう。

黙って扇で口許を隠してその場を離れます。

「……ふぅ、疲れた」

「リリィ様、口惜しゅうございます。ロルフ様のお相手はリリィさまですのに、ひどい、」

涙目のサラに申し訳なくなります。

「口喧嘩に負けてしまっただけ。ロルフ様を疑うつもりはひとつもないわ」

「ええ!さようでございますよ!あの方がたは、ロルフ様がどれだけリリィ様のことを想われていらっしゃるかご存じないんです!」

部屋に戻るとヨルンガが驚いています。

「お早いお戻りですね。何かございましたか?」

「ございましたとも!」

荒れるサラの説明にヨルンガも顔色がみるみる変わっていきました。

「リリィ様を放って。……そうですか。……婚約者でありながら許せませんね」

「ロルフ様もロルフ様です。リリィ様を」

「やめて!」

二人の矛先がロルフ様に向いた瞬間、大声が出ました。

「ごめんなさい。大声を出して。でもロルフ様のことはやめて」

「申し訳ありません。」

「やめて」

二人が頭を下げるのを手を振ってやめさせます。

「やめて、お願い。」

我慢していた涙もこぼれて苦しくなりました。

サラにハンカチを渡されて目元を拭います。

「リリィ様、申し訳ありません」

「ロルフ様を疑ってはいないの。それより、自分の不甲斐なさが悔しいだけ」

もっと言葉を話せたら、

もっと女性らしい見かけなら、

背が高ければ、

考えても仕方ないことばかり。

自分が自分でなければ良かったのに。

『……言葉の勉強をシマス。ヨルンガ、サラ、相手を』

『かしこまりました』

牛乳を飲んでも頭から足まで引っ張っても仕方ないことです。

つけば焼き場でも、少しでも何か変わらなくては。

恥ずかしながら、ぼろぼろ涙をこぼしつつ二人から言葉の勉強を学びました。

決してわからないからじゃありません。

「リリィ様、目元を冷やされてください」

勉強を一通り終えてサラが新しく冷たいタオルを渡してきました。

大人しく目に乗せます。

「明日はリリィ様の得意な乗馬です。皆様を驚かせて差し上げましょう」

「ええ、そうね。それに私も久々に青毛に乗れるからうれしいわ」

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