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楽しみでした。
けど、ここでもグラッセ王女の不機嫌で揉めています。
「乗馬なんて男のすることよ?野蛮ではなくて?」
近年、流行りだした淑女の乗馬です。
好まれない方がこうやって不満をぶつけてくるのは珍しくありません。
この国の大半の女性は皆様の乗馬を見学しながらのお茶会となりました。
他国から来られた方は乗馬に参加されて、私はグラッセ王女のご指名でお茶会に呼ばれました。
私は馬に乗りたかったです。
あーあ……
「ロルフと一緒になんかさせないわよ?」
そういうことですか。
グラッセ王女のひと言でわかりました。
お茶会の間は予想通りぽつんと一人で過ごします。
サフィア様とお姉さまは他国のご婦人がたのおもてなしで乗馬に参加されてます。
お姉さまからは小言もありました。
「あなたは馬しか取り柄がないのに。ここに何しに来たやら、はあ」
お二人とも多少心得があられますが、私ほど自在には操れません。
お姉さまには手綱の預かりにヨルンガを貸すことで機嫌が治りました。
私のことも人手として使いたかったようで、そのことで不機嫌でした。
私もサフィア様とお姉さまのお役に立ちたかったのですが。
さすがにこれは私にはどうしようもありません。
メランプスお義兄さまが言うには、乗馬の中止か私の不参加がグラッセ王女の提案だったようです。
居心地悪いしひとりで暇です。
ロルフ様がこちらに手を振ると他の方々が、王女様に手を振ったのだと口々に囃し立てます。
ここにいる誰も私を気にかけていませんので、こっそりと抜け出すことにしました。
会場の端には大きな簡易テントが張られてそこに馬が集められてます。
もちろん、私の青毛も。
日傘を自分で持ってするすると人波を抜けます。
女性が少なくなり男性ばかり。
黙って進むとテントが見えてきました。
馬番や御者らしき方々が増えて、それでも乗馬のお供に出てるので人はまばらに少なくなります。
身分が下の者からこちらへの問いかけはありません。
スルッとテントに潜り込んで一頭で取り残された青毛のもとへ。
「青毛、いい子ね」
日傘をたたみ、柵の向かいからそう声をかけると嬉しそうに軽く嘶いて差し出した手に鼻をこすっています。
「ごめんね、乗れなくて。つまんないよね?」
もっと近くに寄りたくて柵に足をかけて身を乗り出して高い位置に腰かけました。
これで顔が近くで見えます。
「押さないで、落ちるから」
だんだんと足踏みをし、甘えて手をかぷかぷと甘噛みを。
こちらに来てからあまり構えてません。
不満だったのでしょう。
青毛の目から会えた嬉しさと今まで素っ気なかったことの不満が態度に出てます。
「私もつまんないのよ?あなたに乗りたい」
ぎゅうと顔にしがみつくと許してくれたようで静かになり、私はそのままじっとしてました。
「本当に、その馬はあなたのものなのですね」
「え?」
すると後ろからの問いかけに驚いて振り向きましたが、背中をよじっても角度が足らずに見えません。
「どなた?」
私は柵に腰かけて馬と戯れてるところをばっちり見られたと焦りました。
けど、ここでもグラッセ王女の不機嫌で揉めています。
「乗馬なんて男のすることよ?野蛮ではなくて?」
近年、流行りだした淑女の乗馬です。
好まれない方がこうやって不満をぶつけてくるのは珍しくありません。
この国の大半の女性は皆様の乗馬を見学しながらのお茶会となりました。
他国から来られた方は乗馬に参加されて、私はグラッセ王女のご指名でお茶会に呼ばれました。
私は馬に乗りたかったです。
あーあ……
「ロルフと一緒になんかさせないわよ?」
そういうことですか。
グラッセ王女のひと言でわかりました。
お茶会の間は予想通りぽつんと一人で過ごします。
サフィア様とお姉さまは他国のご婦人がたのおもてなしで乗馬に参加されてます。
お姉さまからは小言もありました。
「あなたは馬しか取り柄がないのに。ここに何しに来たやら、はあ」
お二人とも多少心得があられますが、私ほど自在には操れません。
お姉さまには手綱の預かりにヨルンガを貸すことで機嫌が治りました。
私のことも人手として使いたかったようで、そのことで不機嫌でした。
私もサフィア様とお姉さまのお役に立ちたかったのですが。
さすがにこれは私にはどうしようもありません。
メランプスお義兄さまが言うには、乗馬の中止か私の不参加がグラッセ王女の提案だったようです。
居心地悪いしひとりで暇です。
ロルフ様がこちらに手を振ると他の方々が、王女様に手を振ったのだと口々に囃し立てます。
ここにいる誰も私を気にかけていませんので、こっそりと抜け出すことにしました。
会場の端には大きな簡易テントが張られてそこに馬が集められてます。
もちろん、私の青毛も。
日傘を自分で持ってするすると人波を抜けます。
女性が少なくなり男性ばかり。
黙って進むとテントが見えてきました。
馬番や御者らしき方々が増えて、それでも乗馬のお供に出てるので人はまばらに少なくなります。
身分が下の者からこちらへの問いかけはありません。
スルッとテントに潜り込んで一頭で取り残された青毛のもとへ。
「青毛、いい子ね」
日傘をたたみ、柵の向かいからそう声をかけると嬉しそうに軽く嘶いて差し出した手に鼻をこすっています。
「ごめんね、乗れなくて。つまんないよね?」
もっと近くに寄りたくて柵に足をかけて身を乗り出して高い位置に腰かけました。
これで顔が近くで見えます。
「押さないで、落ちるから」
だんだんと足踏みをし、甘えて手をかぷかぷと甘噛みを。
こちらに来てからあまり構えてません。
不満だったのでしょう。
青毛の目から会えた嬉しさと今まで素っ気なかったことの不満が態度に出てます。
「私もつまんないのよ?あなたに乗りたい」
ぎゅうと顔にしがみつくと許してくれたようで静かになり、私はそのままじっとしてました。
「本当に、その馬はあなたのものなのですね」
「え?」
すると後ろからの問いかけに驚いて振り向きましたが、背中をよじっても角度が足らずに見えません。
「どなた?」
私は柵に腰かけて馬と戯れてるところをばっちり見られたと焦りました。
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