伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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使者に案内されてティールームへと向かいました。

中へ入りますと、王女を中心にいつもお側にいらっしゃるふたりの取り巻きのご令嬢。

「……よく来たわね」

低い声に機嫌の悪さを感じました。

「本日はお誘いいただき光栄にございます。明日には帰国の徒につきますので、最後にご挨拶へとお伺いいたしました」 

頭を下げてカテーシーをいたしました。

王女よりお声をいただくまでこのままです。

その体勢のままじっとしていますと、王女が席を立って近くに寄る気配を感じました。

心臓がばくばくします。

部屋は静まり返り、目の前に立つ王女は無言のままです。

この状況が良くないということはとてもよく分かります。

部屋に入ったふたりのご令嬢も、先程の使者のように顔色が悪くひきつっていました。

「いっ、!」

唐突に下げた頭の髪の毛を鷲掴みに。

もっと下へと髪ごと引っ張りながら頭を。

痛みと驚きで小さな悲鳴が私の口から。

取り巻きのご令嬢達からも小さな悲鳴が聞こえてきました。

足を屈めて倒れないように踏ん張りましたが、王女は力を緩めることなく強く引いて、ぶちぶちと髪の抜ける音とともに膝から崩れて床に這いつくばりました。

「いつものように運んでおいて」

乱れた髪の隙間から王女を見上げると、指に絡んだ髪を一本ずつ優雅にほぐしておられました。

その後ろではガチャンとソーサーとカップの強く当たる音とふたりのご令嬢がよつんばに座り込む私のもとへとすばやく駆け寄り、脇を抱えて立ち上がらせています。

怒ろうとおもうのですが、青ざめて涙目に私の腕を抱えるふたりのご令嬢の様子に何も思い付きません。

「かしこまりました」

声も震えて今にも泣きそうなほど、上擦っています。

「あなた、早く歩いて、早くっ」
  
「あ、はい」
  
必死なふたりに引きずられてバルコニーから外へと連れ出されました。

「あなたはバカよ。だから言ったのに」

耳元で囁かれ、忠告を生かせなかったことを思い当たり、頷いて応え、ふと顔を横に向けてお顔を見るとぼろぼろと涙を流しておりました。

そういえばメランプスお義兄様も同じように気を付けろと言っていたとぼんやりと思い出し、この事だったのかと考えました。
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