伯爵令嬢、溺愛されるまで~婚約後~

うめまつ

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私の下着姿のままではと小屋からシーツをタイロン様が取ってきてくださいました。

子供の頃の装いに近いのであまり恥ずかしくもないのですが。

三人とも顔をそらして居心地悪そうにされてました。

そういうあからさまな態度を取られる方が恥ずかしくなります。

しかも、脱いだ経緯をロルフ様に知られているようで……

私かグラッセ王女を捕まえて人質の奪還か交換を予定して側でずっと様子を探っていたらしく。

タイロン様は甲冑のハンデを利用して俊敏さで三人の騎士を翻弄しながら木々に駆け込むのは良い手だったと感心されていました。

ロルフ様からもあんなに足が早いとは知らなかったと驚かれて、護衛の多い屋敷から離れたおかげで助けることが出来た、あのままではメランプスお義兄様の応援を待つしかなかったと。

お二人とも誉めてくださいますけど嬉しいやら恥ずかしいやら。

ここまでのお転婆を知られたくはありませんでした。

困り顔を隠しながら取ってきてくださったシーツを体に巻いてアンバルに騎乗しました。

ウドルも乗せて屋敷まで運びます。

鞍のない背中はツルツル滑るから乗りづらくて難しいのですけど。

私は靴を無くして靴下のみですし、ウドルは頑丈でもよろけて橋から落ちてしまうほどの怪我をしてしまっていますから。

ロルフ様もグラッセ王女から一服盛られたとかで少々お体が良くないと仰っていました。

元気なのはタイロン様だけです。

屋敷に近づくと罵声と怒声が入り交じって大騒ぎでした。

私達の存在に気づいた方々がお知らせしてメランプスお義兄様とフィンレー王子が駆けてきました。

無事だと言うことと中庭の奥に三人の狼藉者を転がしているとタイロン様とロルフ様がお伝えしてました。

私達のぼろぼろの姿に大変驚いて気落ちされて、すぐにフィンレー王子の王子宮へ送られることに。

私達の滞在する離宮には諸外国の方々がおられるので注目されてしまいます。

ありがたく提案を受け入れて、そして私を命懸けで守ってくれたウドルも一緒に。

アンバルは他の方に頼んで厩舎に戻すようにお願いしました。

「あの、メランプスお義兄様、ヨルンガはここにはいませんか?」

先程から辺りを見回していますがいないようです。

ヨルンガなら駆けつけてくれるのにと思って尋ねると眉をひそめて項垂れました。

「すまない。君の大事な侍従に姉の護衛が乱暴をして怪我をさせてしまった」

「ヨルンガが、怪我を。そんな動けないほどひどいんですか?!」

慌てる私をなだめて、落ち着くように仰っています。

ヨルンガの命には別状はなく、頭の怪我なので念のために安静にさせていると教えてくださいました。

「彼をなだめるのは大変だったよ。荒事になるのは予想がつくから怪我人を連れてくることは出来なかった」

これから向かう王子宮にいると聞いたので、ロルフ様に早く行きたいとお話ししました。

タイロン様はウドルに肩を貸して付き添ってくださってます。

室内履きをお借りして歩く私はロルフ様に抱き締められて。

「本当は抱っこしてあげたいけどまだ薬のせいで足元が危ないから。怪我をさせたくない」  

非力で悔しいな、とぼやいてます。

ロルフ様に人前で抱っこなんかされたら私どうしていいか分かりません。

お願いです。

やめてください。

心の中ではすらすら言えるのにシーツに顔を隠して、だめと小さく答えるしか出来ませんでした。

喧騒の中、メランプスお義兄様とフィンレー王子に付き添われて、そして多くの護衛に守られながら馬車の用意がある玄関へ向かいます。

屋敷のあちらこちらで使用人や兵士、男女入り交じって、泣いたり罵声を浴びせたり。

グラッセ王女以外は犯罪に荷担したと言うことで多くの人がメランプスお義兄様達の主導のもと次々と捕縛されています。

他国の私達への暴行、監禁。

自国なら隠せたことでしたが、同盟国の私達への横暴はもう隠しようがありません。

特に王家の第四王子であるロルフ様への行いは戦争に引き金になっておかしくないものです。

普通の貴族なら一族郎党の処分となるほどの咎です。

「グラッセ王女は一体どうなるのでしょう」

ポツリと呟いた言葉に、この国で王家の方であるグラッセ王女だけは陛下の采配でしか処遇が決まらないと隣にいたタイロン様が教えてくださいました。

タイロン様が何か呟いたのですが声が小さくて聞き取れず首をかしげているとロルフ様はうんうんと大きく頷いていました。

「タイロンは諸悪の根元だと言ったんだよ。根を取らないとまた生えてくるってね」

「え?」

「ここで捕縛されている者は王女の命令だからそうしたんだよ。こんなことをね。上が言うのなら迎合するかウドルのように命懸けで抵抗するか」

そう言われるとウドルほどの頑丈さがなければ無理な気がしました。
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