53 / 78
53
しおりを挟む
私の下着姿のままではと小屋からシーツをタイロン様が取ってきてくださいました。
子供の頃の装いに近いのであまり恥ずかしくもないのですが。
三人とも顔をそらして居心地悪そうにされてました。
そういうあからさまな態度を取られる方が恥ずかしくなります。
しかも、脱いだ経緯をロルフ様に知られているようで……
私かグラッセ王女を捕まえて人質の奪還か交換を予定して側でずっと様子を探っていたらしく。
タイロン様は甲冑のハンデを利用して俊敏さで三人の騎士を翻弄しながら木々に駆け込むのは良い手だったと感心されていました。
ロルフ様からもあんなに足が早いとは知らなかったと驚かれて、護衛の多い屋敷から離れたおかげで助けることが出来た、あのままではメランプスお義兄様の応援を待つしかなかったと。
お二人とも誉めてくださいますけど嬉しいやら恥ずかしいやら。
ここまでのお転婆を知られたくはありませんでした。
困り顔を隠しながら取ってきてくださったシーツを体に巻いてアンバルに騎乗しました。
ウドルも乗せて屋敷まで運びます。
鞍のない背中はツルツル滑るから乗りづらくて難しいのですけど。
私は靴を無くして靴下のみですし、ウドルは頑丈でもよろけて橋から落ちてしまうほどの怪我をしてしまっていますから。
ロルフ様もグラッセ王女から一服盛られたとかで少々お体が良くないと仰っていました。
元気なのはタイロン様だけです。
屋敷に近づくと罵声と怒声が入り交じって大騒ぎでした。
私達の存在に気づいた方々がお知らせしてメランプスお義兄様とフィンレー王子が駆けてきました。
無事だと言うことと中庭の奥に三人の狼藉者を転がしているとタイロン様とロルフ様がお伝えしてました。
私達のぼろぼろの姿に大変驚いて気落ちされて、すぐにフィンレー王子の王子宮へ送られることに。
私達の滞在する離宮には諸外国の方々がおられるので注目されてしまいます。
ありがたく提案を受け入れて、そして私を命懸けで守ってくれたウドルも一緒に。
アンバルは他の方に頼んで厩舎に戻すようにお願いしました。
「あの、メランプスお義兄様、ヨルンガはここにはいませんか?」
先程から辺りを見回していますがいないようです。
ヨルンガなら駆けつけてくれるのにと思って尋ねると眉をひそめて項垂れました。
「すまない。君の大事な侍従に姉の護衛が乱暴をして怪我をさせてしまった」
「ヨルンガが、怪我を。そんな動けないほどひどいんですか?!」
慌てる私をなだめて、落ち着くように仰っています。
ヨルンガの命には別状はなく、頭の怪我なので念のために安静にさせていると教えてくださいました。
「彼をなだめるのは大変だったよ。荒事になるのは予想がつくから怪我人を連れてくることは出来なかった」
これから向かう王子宮にいると聞いたので、ロルフ様に早く行きたいとお話ししました。
タイロン様はウドルに肩を貸して付き添ってくださってます。
室内履きをお借りして歩く私はロルフ様に抱き締められて。
「本当は抱っこしてあげたいけどまだ薬のせいで足元が危ないから。怪我をさせたくない」
非力で悔しいな、とぼやいてます。
ロルフ様に人前で抱っこなんかされたら私どうしていいか分かりません。
お願いです。
やめてください。
心の中ではすらすら言えるのにシーツに顔を隠して、だめと小さく答えるしか出来ませんでした。
喧騒の中、メランプスお義兄様とフィンレー王子に付き添われて、そして多くの護衛に守られながら馬車の用意がある玄関へ向かいます。
屋敷のあちらこちらで使用人や兵士、男女入り交じって、泣いたり罵声を浴びせたり。
グラッセ王女以外は犯罪に荷担したと言うことで多くの人がメランプスお義兄様達の主導のもと次々と捕縛されています。
他国の私達への暴行、監禁。
自国なら隠せたことでしたが、同盟国の私達への横暴はもう隠しようがありません。
特に王家の第四王子であるロルフ様への行いは戦争に引き金になっておかしくないものです。
普通の貴族なら一族郎党の処分となるほどの咎です。
「グラッセ王女は一体どうなるのでしょう」
ポツリと呟いた言葉に、この国で王家の方であるグラッセ王女だけは陛下の采配でしか処遇が決まらないと隣にいたタイロン様が教えてくださいました。
タイロン様が何か呟いたのですが声が小さくて聞き取れず首をかしげているとロルフ様はうんうんと大きく頷いていました。
「タイロンは諸悪の根元だと言ったんだよ。根を取らないとまた生えてくるってね」
「え?」
「ここで捕縛されている者は王女の命令だからそうしたんだよ。こんなことをね。上が言うのなら迎合するかウドルのように命懸けで抵抗するか」
そう言われるとウドルほどの頑丈さがなければ無理な気がしました。
子供の頃の装いに近いのであまり恥ずかしくもないのですが。
三人とも顔をそらして居心地悪そうにされてました。
そういうあからさまな態度を取られる方が恥ずかしくなります。
しかも、脱いだ経緯をロルフ様に知られているようで……
私かグラッセ王女を捕まえて人質の奪還か交換を予定して側でずっと様子を探っていたらしく。
タイロン様は甲冑のハンデを利用して俊敏さで三人の騎士を翻弄しながら木々に駆け込むのは良い手だったと感心されていました。
ロルフ様からもあんなに足が早いとは知らなかったと驚かれて、護衛の多い屋敷から離れたおかげで助けることが出来た、あのままではメランプスお義兄様の応援を待つしかなかったと。
お二人とも誉めてくださいますけど嬉しいやら恥ずかしいやら。
ここまでのお転婆を知られたくはありませんでした。
困り顔を隠しながら取ってきてくださったシーツを体に巻いてアンバルに騎乗しました。
ウドルも乗せて屋敷まで運びます。
鞍のない背中はツルツル滑るから乗りづらくて難しいのですけど。
私は靴を無くして靴下のみですし、ウドルは頑丈でもよろけて橋から落ちてしまうほどの怪我をしてしまっていますから。
ロルフ様もグラッセ王女から一服盛られたとかで少々お体が良くないと仰っていました。
元気なのはタイロン様だけです。
屋敷に近づくと罵声と怒声が入り交じって大騒ぎでした。
私達の存在に気づいた方々がお知らせしてメランプスお義兄様とフィンレー王子が駆けてきました。
無事だと言うことと中庭の奥に三人の狼藉者を転がしているとタイロン様とロルフ様がお伝えしてました。
私達のぼろぼろの姿に大変驚いて気落ちされて、すぐにフィンレー王子の王子宮へ送られることに。
私達の滞在する離宮には諸外国の方々がおられるので注目されてしまいます。
ありがたく提案を受け入れて、そして私を命懸けで守ってくれたウドルも一緒に。
アンバルは他の方に頼んで厩舎に戻すようにお願いしました。
「あの、メランプスお義兄様、ヨルンガはここにはいませんか?」
先程から辺りを見回していますがいないようです。
ヨルンガなら駆けつけてくれるのにと思って尋ねると眉をひそめて項垂れました。
「すまない。君の大事な侍従に姉の護衛が乱暴をして怪我をさせてしまった」
「ヨルンガが、怪我を。そんな動けないほどひどいんですか?!」
慌てる私をなだめて、落ち着くように仰っています。
ヨルンガの命には別状はなく、頭の怪我なので念のために安静にさせていると教えてくださいました。
「彼をなだめるのは大変だったよ。荒事になるのは予想がつくから怪我人を連れてくることは出来なかった」
これから向かう王子宮にいると聞いたので、ロルフ様に早く行きたいとお話ししました。
タイロン様はウドルに肩を貸して付き添ってくださってます。
室内履きをお借りして歩く私はロルフ様に抱き締められて。
「本当は抱っこしてあげたいけどまだ薬のせいで足元が危ないから。怪我をさせたくない」
非力で悔しいな、とぼやいてます。
ロルフ様に人前で抱っこなんかされたら私どうしていいか分かりません。
お願いです。
やめてください。
心の中ではすらすら言えるのにシーツに顔を隠して、だめと小さく答えるしか出来ませんでした。
喧騒の中、メランプスお義兄様とフィンレー王子に付き添われて、そして多くの護衛に守られながら馬車の用意がある玄関へ向かいます。
屋敷のあちらこちらで使用人や兵士、男女入り交じって、泣いたり罵声を浴びせたり。
グラッセ王女以外は犯罪に荷担したと言うことで多くの人がメランプスお義兄様達の主導のもと次々と捕縛されています。
他国の私達への暴行、監禁。
自国なら隠せたことでしたが、同盟国の私達への横暴はもう隠しようがありません。
特に王家の第四王子であるロルフ様への行いは戦争に引き金になっておかしくないものです。
普通の貴族なら一族郎党の処分となるほどの咎です。
「グラッセ王女は一体どうなるのでしょう」
ポツリと呟いた言葉に、この国で王家の方であるグラッセ王女だけは陛下の采配でしか処遇が決まらないと隣にいたタイロン様が教えてくださいました。
タイロン様が何か呟いたのですが声が小さくて聞き取れず首をかしげているとロルフ様はうんうんと大きく頷いていました。
「タイロンは諸悪の根元だと言ったんだよ。根を取らないとまた生えてくるってね」
「え?」
「ここで捕縛されている者は王女の命令だからそうしたんだよ。こんなことをね。上が言うのなら迎合するかウドルのように命懸けで抵抗するか」
そう言われるとウドルほどの頑丈さがなければ無理な気がしました。
14
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
投資の天才”を名乗る臣民たちよ。 その全財産、確かに受け取った。 我が民のために活かそう』 〜虚飾を砕く女王の経済鉄槌〜
しおしお
恋愛
バブルに沸くアルビオン王国。
「エルドラド株」を持たぬ者は時代遅れ――
そう嘲笑いながら、実体のない海外権益へ全財産を注ぎ込む貴族たち。
自らを“投資の天才”と称し、増税に苦しむ民を見下す日々。
若き女王リリアーナは、その狂騒を静かに見つめていた。
やがて始まる王室監査。
暴かれる虚偽契約。
崩れ落ちる担保。
連鎖する破綻。
昨日まで「時代の勝者」を気取っていた特権階級は、一夜にして無一文へ。
泣きつく彼らに、女王はただ微笑む。
――“皆様の尊いご投資、確かに受け取りましたわ”
没収された富は国庫へ。
再配分された資源は民へ。
虚飾を砕き、制度を再設計し、王国を立て直す。
これは復讐譚ではない。
清算と再建の物語。
泡沫の王国に、女王の鉄槌が下される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる