人狼の団長、見つけた番はすでに溺愛されている《団長はお預け中、たまに待てが出来ないで押し倒す》

うめまつ

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施錠

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エヴが慌てて横抱きに担いでソファーに運ぶ。
「大変!ど、どうしたらいいの?!」
「エヴ様、寝かせないで足を曲げて座らせて。ヤン、なんか手拭いちょうだい。これで口を軽く押さえてやって」
エヴがラウルの指示に従って対応していた。
「カリッド様が目の前にぃ!きゃぁぁぁ!」
落ち着くとソファーの上でうつ伏せに頭を抱えた。
私を見てぎゃあぎゃあ叫んで、見張りも外からポカンと眺めていた。
「こうなるんだ。へえー、おもしろ」
驚く私達をよそにラウルだけ興味津々とペリエ嬢の変貌を眺めて笑っていた。
「術式の効果が切れたんですよ。しかも反動で真逆の反応が出たんだ。あはは、すげえ」
「これを笑うお前の神経が怖い」
ダリウスは怯んで疎ましそうにラウルとペリエ嬢を見つめた。
「もとはどういう効果だったんだ?」
「ネガティブを跳ね返すとか自信を持つとかですね。何度も重ねるから自意識過剰なポジティブモンスターだったんですよ」
「なぜ探知で引っ掛からなかった?」
「たかが恋愛成就の術式ですよ?ぱっと見は普通の。重ねづけしたからってこんな効果が出る前例がない限り術者は把握しようもない。俺もここまでひどいの初めて見たし」
ちょっと失礼、とペリエ嬢の手を取って手を光らせた。
「な、何よ!触らないで!」
「探知魔法ですよ。ペリエ嬢は団長とお話しされたら?」
「ひぃ!カリッド様に見られてる!いやぁ!恥ずかしいぃ!」
あわあわと慌てふためきソファーにしがみついて喚いていた。
「…今までの付きまといはなんだったんだ」
がっくりと肩を落とした。
杖をついたラウルが私を押して部屋を出る。
「これ、旦那様に預けますね」
ぴらっと紙に張り付いた術式を見せる。
「辻褄合わせに俺が術式を剥がしたことにしましょう」
「そうだな。それが自然だ」
「さっきの探知でだいたいの中の術式は把握しました。エヴ様の後は消して俺の魔力を残したんでバレるはずない」
自分の有能さを誉めるように呟いたので呆れから笑みがこぼれた。
「俺、さすが」
「ふ、くくっ」
どや顔のラウルに笑いが堪えられなかった。
「あんた、今日カリッド様とく、く、口付けしてたわね!」
「あ、はい」
「ずるい!私に寄越しなさい!」
「え!?ちょ、やめ!わー!」
中からドタンバタンと暴れる音が聞こえた。
心配で中に戻ろうとしたら腕を捕まれた。
「…団長、今の話どういうこと?」
ダリウスも扉を閉めて私の前に立ちはだかった。
「…エヴ様と、なぜ?」
静かに腰の柄に手を添えている。
見張りの二人が慌てて距離をとって怯えている。
「間接でいいから寄越しなさい!番なんだから何度もしたんでしょ?!白状おし!」
「えええっ!し、したけど、理由があって、そういうのは本人に頼んでください!なんで私が!」
二人の空気がピリッと固まる。
本当に間の悪い。
これも自業自得ではあるが。
「精力か」
ボソッとダリウスが呟き、ラウルはそうみたいだねと答えた。
「…マジでムカつく。やっぱり去勢だ」
慌ててラウルから離れた。
手が光ってる。
「待て、ラウル」
「何を待てっての?何度もって何?エヴ様に指咥えさせたのもムカつくのに。この、番狂いの発情期やろう。捕まえろ、ダリウス」
黙ってダリウスも剣の半身を出して近づいてくる。
「…腹立つ」
したことないのに、と小さく呟いている。
ジリジリ近づく二人に圧倒されていたら、扉が勢いよく開いてエヴとヤンが転びながら飛び出した。
「待ちなさいよ!間接でいいって言ってるでしょう!ちょっと唇を貸せって言ってるの!あ、いやー!きゃー!カリッド様!」
エヴの腰にしがみついたペリエ嬢が慌てて飛び起きた。
手で顔を覆ってキャーキャー叫んでいる。
「もう!本人とどうぞ!」
手を引っ張って私へ押し付けた。
「ま、待て!エヴ!」
「どうぞ!お好きなだけ!団長もお好きなだけどうぞ!」
「番としかせん!」
「今までは沢山いたんでしょう?!星の数ほど!今さら一人増えたって大丈夫ですよ!さあ!どーぞ!」
「どこから聞いた!?」
「どこからでも!皆言ってます!そんなのどうでもいいんです!お姫様のお相手してください!」
「きゃー!私、カリッド様の胸にいるううう!」
壁を背に前からペリエ嬢を押し付けられている。
「だいたい!お姫様と結婚まで約束した仲なんでしょう?!番と会ったからって放り出すような真似して最低です!」
「違う!結婚の約束をした相手はいない!ペリエ嬢とは一切何もない!まだこの娘の話を信じてるのか?!」
「じゃあ、なんでこんなに拗れるんですか?!ラウルとリーグまで怪我して!お二人のいざこざに巻き込まれて迷惑です!信じられない!あとはお二人でどうぞ話し合ってください!」
「待て!こら!うわぁ!」
がしっと私を掴んだら貴人牢へ放り込んだ。
続いてペリエ嬢も。
がごん、と乱暴に扉を閉めて鍵まで。
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