7 / 13
女神編
6葬目 −アネモネの華の色−
しおりを挟む
雨の降る日には必ず開く館
ここに飾られてる華を目当てに今日も物好きな客たちが集まる
日高もその一人だ
ここの華に魅了され、虜になるものは少なくない…
今日も雨が降る中、日高は館へと向かう
華の話を聞くために…
「女神様ぁあ!!」
『日高さん、ですか』
女神は振り返らずに日高に声をかける
日高は嬉しそうに声を弾ませる
「はい!今日もお話を聞きに参りました!」
『今日はどの華にしましょう…』
「あの、聞いたんですけど今みんなが噂している花がみたいです!」
『彼のお話ね…いいわ、こちらよ。彼は』
女神はそう言うとスタスタと歩き出す
「まってくださいよー!女神様ー!」
慌てて日高も後を追う
いつもより暗い通路を抜ければ少し明るい部屋に出た
そこにはレースのカーテンのかかった水槽が、一つ置いてあった
中はよく見えなかった
「この華が……」
『今日はもう数人来られるの、暫くそこのソファーにでも腰を掛けてお待ちくださいな…』
ふふっ、と優しく笑うと女神は部屋から出てしまった
日高はおとなしく椅子に座る
静かな部屋、日高が思考を巡らすには最適の場所だ
そっと日高は目を閉じた
(過去に聞いてきた沢山の話、女神のたまに見せる生き生きとした感情。僕にはまだわからないけれど、いつか全ての謎がわかる日は来るのだろうか?)
そんなことを考えていると水槽からコツン、と音がした
「っ!?」
ビクッと身体を震わせ、そっと水槽の方を向けば
白いアネモネが落ちていた
(アネモネ?えっと、確か女神様は花言葉を良く言っていた気が…でも、白?僕はアネモネの花言葉を知らない…うーん)
思考を巡らせていた日高はいつの間にか背後に人がいることを気づけなかった
「あの」
「うひゃぁぁあ!?」
びくぅうっ!と身体を大きく跳ねさせる日高
それにつられて 、きゃっ!と短い悲鳴が上がる
日高が慌てて振り返れば、可愛らしい女性が立っていた
髪はふわふわで、白い色のワンピースが可愛らしい
「あ、す、すみません!」
「いえ、私こそ…先に声を掛ければよかったですね」
「あ、いえ、えっと…」
「あ、私は歩乃華といいます。今日は女神様にお話を聞きに参りました」
歩乃華と名乗る女性は、フニャッと笑うとその後ろから女神ともう一人部屋に入ってくる
『あら、アネモネ…落ちてきちゃったのね。』
女神が落ちている花を拾えば、その横にいた男性は無言で椅子に座る
(感じ悪いなぁ、こいつ…)
日高は不機嫌そうに男を見る
『では、お話を始めましょうか』
女神の言葉にその場にいた面々はソファーに腰掛け、話を聞く体制をとる
女神はレースのカーテンを開ける
そこにはきれいな男性が座っていた
目は閉じているがとても優しそうな顔をしていた
『彼は最近仲間入りした華なの。あまりに気持ちが強すぎてたまにこうやって花が溢れてしまうの』
手の中の、白いアネモネを見せればにっこり微笑んだ
「その赤色の花かよ」
男性の言葉に日高は首を傾げた
女神が持っているアネモネは日高には確かに白にしか見えない
「え…白じゃないんですか?」
歩乃華も不思議そうに首を傾げる
女神はニッコリ微笑むだけで何も答えなかった
『彼の気持ちがわかるのはたった一人だけ。
では、お話しましょう、彼について……』
電気が全て消え、淡い光で照らされる水槽。いつもの神秘的な光景が広がる
『では………彼は天穂…幼い頃から人付き合いが苦手な子でした
唯一幼馴染の二人を除いては…
二人と天穂はとても仲良く、何をするのも一緒でした
ただ…三人が恋愛感情を自覚するまでは……
もう一人の幼馴染の子のことを好きになった幼馴染はもう一人の幼馴染に告白します
ですが…もう一人の幼馴染は、天穂ではなく、その幼馴染が好きでした…
天穂を邪魔に思った幼馴染は天穂を消してしまおうと考えたのです』
バンッ……と机が叩かれる
男性だ
「ちょ、夏生くん、やめなよ」
「歩乃華、これは俺らの話だ。お前だってわかってんだろ」
夏生、と呼ばれた男性は歩乃華を睨みつけていた
『日高さん、今日はここまでです。またお越しください』
いつもの追い出し。
慣れてきたもので、またはなしをきけるなら、と日高は部屋をあとにした
『続きを話してもいいかしら?』
「女神様、その話に信憑性は!」
歩乃華が問えば
女神は微笑んだ
『彼から聞いた話ですから』
と、水槽の中の天穂を見つめる
「続きを、たのむ…」
夏生はもう一度ソファーに座り直す
『えぇ、もちろん
天穂は幼馴染の一人に呼び出され、そして、車道に突き飛ばされ…』
「もう辞めて!!」
歩乃華が叫ぶ
それと同時に、夏生が歩乃華に掴みかかった
「やっぱり、歩乃華だったんだな…」
泣きながら夏生は歩乃華を睨みつけた
「夏生くんが、私を見てくれないのが悪いのよっ!!じゃまだったの、邪魔だったのよ!!」
歩乃華は夏生を突き飛ばし、逃げ出そうとする
が……
アネモネの花に足を絡めとられ、動けなくなってしまった
『アネモネの花言葉…真実、期待…白いアネモネにはこんな意味があるの
真実を話してくれると期待していたのね、彼は…』
女神はそっと歩乃華に近づく
「ひっ……離れて!化け物っ!!」
『人の心がわからない、人殺しの化物は、どっちなのかしら?』
ニッコリ笑うと、歩乃華は暗闇に引きずり込まれてしまった
「ごめん、守れなくて…ごめん、天穂…」
泣き崩れる夏生に女神は近づき、そっと囁く
『…夏生さん、貴方は彼の花が何色に見えたのかしら』
夏生は不思議そうに女神を見つめる
「…歩乃華は、白って言ったけど、俺には赤に…見えた」
『赤いアネモネの花言葉を調べてみるといいわ。彼があなたに対して思ってたことがわかるから』
それが友情なのか愛情なのかはわからないけれど
と女神は付け加えた……
後日、日高は真実を告げることになる
記者として…
天穂を殺害したのが歩乃華、だと
そして歩乃華は行方不明だと
日高の記事にのった
日高はちゃんと白いアネモネに従ったのだった…
アネモネの花言葉
儚い恋、恋の苦しみ、見捨てられた、見放された
赤いアネモネ
「君を愛す…」
ここに飾られてる華を目当てに今日も物好きな客たちが集まる
日高もその一人だ
ここの華に魅了され、虜になるものは少なくない…
今日も雨が降る中、日高は館へと向かう
華の話を聞くために…
「女神様ぁあ!!」
『日高さん、ですか』
女神は振り返らずに日高に声をかける
日高は嬉しそうに声を弾ませる
「はい!今日もお話を聞きに参りました!」
『今日はどの華にしましょう…』
「あの、聞いたんですけど今みんなが噂している花がみたいです!」
『彼のお話ね…いいわ、こちらよ。彼は』
女神はそう言うとスタスタと歩き出す
「まってくださいよー!女神様ー!」
慌てて日高も後を追う
いつもより暗い通路を抜ければ少し明るい部屋に出た
そこにはレースのカーテンのかかった水槽が、一つ置いてあった
中はよく見えなかった
「この華が……」
『今日はもう数人来られるの、暫くそこのソファーにでも腰を掛けてお待ちくださいな…』
ふふっ、と優しく笑うと女神は部屋から出てしまった
日高はおとなしく椅子に座る
静かな部屋、日高が思考を巡らすには最適の場所だ
そっと日高は目を閉じた
(過去に聞いてきた沢山の話、女神のたまに見せる生き生きとした感情。僕にはまだわからないけれど、いつか全ての謎がわかる日は来るのだろうか?)
そんなことを考えていると水槽からコツン、と音がした
「っ!?」
ビクッと身体を震わせ、そっと水槽の方を向けば
白いアネモネが落ちていた
(アネモネ?えっと、確か女神様は花言葉を良く言っていた気が…でも、白?僕はアネモネの花言葉を知らない…うーん)
思考を巡らせていた日高はいつの間にか背後に人がいることを気づけなかった
「あの」
「うひゃぁぁあ!?」
びくぅうっ!と身体を大きく跳ねさせる日高
それにつられて 、きゃっ!と短い悲鳴が上がる
日高が慌てて振り返れば、可愛らしい女性が立っていた
髪はふわふわで、白い色のワンピースが可愛らしい
「あ、す、すみません!」
「いえ、私こそ…先に声を掛ければよかったですね」
「あ、いえ、えっと…」
「あ、私は歩乃華といいます。今日は女神様にお話を聞きに参りました」
歩乃華と名乗る女性は、フニャッと笑うとその後ろから女神ともう一人部屋に入ってくる
『あら、アネモネ…落ちてきちゃったのね。』
女神が落ちている花を拾えば、その横にいた男性は無言で椅子に座る
(感じ悪いなぁ、こいつ…)
日高は不機嫌そうに男を見る
『では、お話を始めましょうか』
女神の言葉にその場にいた面々はソファーに腰掛け、話を聞く体制をとる
女神はレースのカーテンを開ける
そこにはきれいな男性が座っていた
目は閉じているがとても優しそうな顔をしていた
『彼は最近仲間入りした華なの。あまりに気持ちが強すぎてたまにこうやって花が溢れてしまうの』
手の中の、白いアネモネを見せればにっこり微笑んだ
「その赤色の花かよ」
男性の言葉に日高は首を傾げた
女神が持っているアネモネは日高には確かに白にしか見えない
「え…白じゃないんですか?」
歩乃華も不思議そうに首を傾げる
女神はニッコリ微笑むだけで何も答えなかった
『彼の気持ちがわかるのはたった一人だけ。
では、お話しましょう、彼について……』
電気が全て消え、淡い光で照らされる水槽。いつもの神秘的な光景が広がる
『では………彼は天穂…幼い頃から人付き合いが苦手な子でした
唯一幼馴染の二人を除いては…
二人と天穂はとても仲良く、何をするのも一緒でした
ただ…三人が恋愛感情を自覚するまでは……
もう一人の幼馴染の子のことを好きになった幼馴染はもう一人の幼馴染に告白します
ですが…もう一人の幼馴染は、天穂ではなく、その幼馴染が好きでした…
天穂を邪魔に思った幼馴染は天穂を消してしまおうと考えたのです』
バンッ……と机が叩かれる
男性だ
「ちょ、夏生くん、やめなよ」
「歩乃華、これは俺らの話だ。お前だってわかってんだろ」
夏生、と呼ばれた男性は歩乃華を睨みつけていた
『日高さん、今日はここまでです。またお越しください』
いつもの追い出し。
慣れてきたもので、またはなしをきけるなら、と日高は部屋をあとにした
『続きを話してもいいかしら?』
「女神様、その話に信憑性は!」
歩乃華が問えば
女神は微笑んだ
『彼から聞いた話ですから』
と、水槽の中の天穂を見つめる
「続きを、たのむ…」
夏生はもう一度ソファーに座り直す
『えぇ、もちろん
天穂は幼馴染の一人に呼び出され、そして、車道に突き飛ばされ…』
「もう辞めて!!」
歩乃華が叫ぶ
それと同時に、夏生が歩乃華に掴みかかった
「やっぱり、歩乃華だったんだな…」
泣きながら夏生は歩乃華を睨みつけた
「夏生くんが、私を見てくれないのが悪いのよっ!!じゃまだったの、邪魔だったのよ!!」
歩乃華は夏生を突き飛ばし、逃げ出そうとする
が……
アネモネの花に足を絡めとられ、動けなくなってしまった
『アネモネの花言葉…真実、期待…白いアネモネにはこんな意味があるの
真実を話してくれると期待していたのね、彼は…』
女神はそっと歩乃華に近づく
「ひっ……離れて!化け物っ!!」
『人の心がわからない、人殺しの化物は、どっちなのかしら?』
ニッコリ笑うと、歩乃華は暗闇に引きずり込まれてしまった
「ごめん、守れなくて…ごめん、天穂…」
泣き崩れる夏生に女神は近づき、そっと囁く
『…夏生さん、貴方は彼の花が何色に見えたのかしら』
夏生は不思議そうに女神を見つめる
「…歩乃華は、白って言ったけど、俺には赤に…見えた」
『赤いアネモネの花言葉を調べてみるといいわ。彼があなたに対して思ってたことがわかるから』
それが友情なのか愛情なのかはわからないけれど
と女神は付け加えた……
後日、日高は真実を告げることになる
記者として…
天穂を殺害したのが歩乃華、だと
そして歩乃華は行方不明だと
日高の記事にのった
日高はちゃんと白いアネモネに従ったのだった…
アネモネの花言葉
儚い恋、恋の苦しみ、見捨てられた、見放された
赤いアネモネ
「君を愛す…」
0
あなたにおすすめの小説
百万年の孤独
プレアデス
ミステリー
世界中の人々から愛されるスーパーアイドル、ヨハン。しかし彼の心は虚ろだった。かれは成功したK−POPアイドルで、すべてを手に入れたかのように思われていた。しかし気づいたときには、一番大切なひとは彼のそばから永遠に去っていた。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる