蔑まれた令嬢の幸せ -少女は幸せを探して旅をする-

桜月 翠恋

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冒険の始まり

ビードリールの魔具

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次の日、そろそろ出発の準備を…
とのことで新しい魔具を見に来た

この街の魔具は楽器をモチーフにしたものが多く、とても可愛かった

魔具にも種類はあり、それぞれに相性などもあるらしい
私がやっと見つけたブレスレットも完璧に私に合ってるわけではなく、かろうじて私の力を増幅できるため購入したものだ
元々、シアンの母であるルーリナさんがよく使っていた魔具を売っているお店で購入したのだ


「アリア、なんか良さそうなのがあれば買うか?」
「…そうですね…換金したばかりなので金銭には余裕がありますけど…」
「これなんかどうだ?」


近くの店の中を指差す
シアンの横に行き、指差しているものを見る


「これって…?」
「笛、みたいだよな。しかもペンダントになってるから首から下げとけばいいみたいだし、どうだ?試してみるか?」
「うっ……」


金額をみて、少し固まってしまう
他の魔具より遥かに高い金額…

少し手を出しにくい金額に、財布を見つめてしまう


「…ほら、一度つけてみろって」

「で、でも」

「平気平気」


そう言ってシアンは私の首にペンダントをかけた

キィン…

と金属音とともに、私の魔力に馴染む感じがした

すごくいい…間に合わせで使っていた魔具と比べ物にならないくらい私の体に馴染んだ


「おっ…その顔は……良さそうだな」

「は、はい。でも」

「ちょっと待ってな」

「え、シアン?」


ペンダントを外すと店の奥へと進んでいってしまった
あとからパタパタと追いかけるとシアンが会計を済ませていた


「ちょ、シアン!?こんな高価なもの」

「俺からのプレゼント。いいから受け取れって」


そう言って再びペンダントをかけられる

…こんな高価なもの…家でも買ってもらったことがない気がする

きゅっと笛を握りしめ、うまく回らない口で声を絞り出す


「あり…が、と」

「んっ。どういたしまして」


ワシャワシャといつものように頭を撫でられる
顔は見えないけれどシアンの耳はほのかに赤かった気がする
気のせいだろうか?

私の魔具を新調したあと、二人でまたご飯を食べ、そして昨日私が泊まった宿に戻ってきた
シアンとは別の部屋だけれど、隣の部屋にシアンがいるだけで昨日より胸が熱くなった


「…私、こんなに胸が暖かくなるんだ」


そう、独り言のように呟き、過去に起きたことを思い出す

妹に蔑まれ両親にも
政略結婚させられても愛されず、妹との浮気
そして最後のあの日…私は………


「っ……」


思い返すのが早かったのかもしれない。
胃液がこみ上げ、トイレへ駆け込む


「うっ……ぇ……」


せり上がった内容物をトイレへぶちまければ、力の入りにくくなった手で口を拭う


「……お風呂…」


フラフラとした足取りでお風呂に向かい、温かい湯を体にかける


「…まだ、進めないの…」


壊れきっていない自分に安堵すると同時にまだ過去が乗り切れていなかった事実に打ちひしがれた

私は……シアンといれば、乗り越えれるのだろうか?


そしてこの街での2日目の夜を過ごした
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