ぶんごうもらとりあむ

桜月 翠恋

文字の大きさ
5 / 7

4話 学校

しおりを挟む
微睡みから目を覚ますと、父さんが居た

何で父さんが私の部屋にいるんだろう

ぼんやりする頭をフル回転させ、何があったかを思い出す

私が目を覚ましたのに気づいた父さんが私の顔を覗き込む

流石に俳優やってるだけあって、かっこいいなぁ

演技してる時と違って無表情だけど、私を心配してるのが伝わる

「父さん」

「…おはよう。母さんを呼んでくる」


見た目が変わっているわたしに何も聞かず、いつも通りに話しかけてくれる
穏やかな調子で父さんは部屋を出ていく

何も変わらない父にホッとした

この調子だと、母に至っては【すごい成長期!】と喜びそうだと思ってしまう

そういえば意識をなくす前に見たあの小さな人はなんだったのか

バタバタと大きな足音を立てて母が飛び込んできた
そして私を強く抱きしめてくれる


「なずなちゃんっ、良かった、良かったよぉっ」

母さんは私を強く抱きしめながら鼻をすすっていた

あぁ、母さんは本当に私を大切にしてくれているんだ、としみじみ思う

「母さん、あの…」

「なぁに?」

「……何も、聞かないの?」


私の言葉に、キョトンとして、それからすぐに優しく微笑んでくれた

「なずなちゃんが言いたくないなら、それでいいのよ。何があってもなずなちゃんは私の大切な大切な娘なんだから」


そう言って私の頭を撫でてくれた

じわりと目尻に涙がたまるのがわかる
本当に優しい人だ…

「なずな」

口数の少ない父に呼ばれ、キョトンとしてしまう

「父さん?何?」

「………」

いつも通り表情筋が死んでるなぁ、なんて思いながらじーっと父を見つめる

父はどこか言いにくそうにしていた
けれど、意を決したように口を開いた


「明日から………学校へは行け」

「へ……!?」

父の言葉に私と母は固まった


「そうね…なずなちゃん。学校へは行けそう?」


こう言う時の父は反論を受け付けない
それに、なにか考えがあるのだろう

私は仕方なく頷いた

二人は結局、私に何も聞かなかった

ただ、私の部屋を出る寸前にポツリと

「彼に相談しなきゃ」

と呟いていた


【彼】とあの女性が言っていた【あの坊や】はもしかして同一人物なのだろうか?

そんなことを考えていたが、なんだか疲れてしまい、私はそのまま布団に潜り込んだ

明日は学校へ向かわないといけない

そっと隣に置いていた芥川龍之介先生の本を手に取る

明日はお守り代わりにこの本を持っていこう
そうしたら少しは人も怖くないかもしれない

嫌な記憶が一瞬頭をよぎりぎゅうっと本を抱きしめる


大丈夫…きっと大丈夫……

そう思い目を閉じた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小児科での話

ゴマペースト
恋愛
小児病棟の子供のお話 文が幼稚なので見たい人だけ 覗けるようにしたいので詳しく書きません

処理中です...