行き交うは 夢か現か 春の宵【山姥は捜す 時空を渡り時代を世界を)

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行き交うは 夢か現か 春の宵 11

第11章 南米に飛ばされる

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山深き家では食することのできない刺身が夕餉の膳に載った。


 南米アルゼンタン

 キングサイズのベッドに ともに眠る黒川と弥生を朝日がやわらかく撫でている。ふたりは まだ、時代と場所を特定出来ていないが、ここは ブエノスノイレス、令和時代。

ブエノスノイレスは アルゼンタンの首都であり、国境に夏でも雪をいただくペルーニョ山脈と太平洋に挟まれた広大な国。

どうやら家人が不在の邸宅に出現したようで、当座の衣類や食料に不自由しなかったので、助かった。
この家の電話を借り、令和時代黒川商事株式会社の城川常務に連絡をとり、ブノスノイレスでリアルで天狗の末裔と会えるよう段取りをしてもらい 山姥弥生の身につけているゴールドをドルに替え、天狗の末裔にスマホを買ってもらった。城川常務に黒川のパスポートも送付してもらい、出張を装った。黒川商事では、アルゼンタンとの取引が検討案件に上がっていたところだった。
アルゼンタンは、アルゼンタンペソから ドル建てに変更の真っ最中で、移行に必要なドルの準備金に腐心していた。黒川商事が商品の対価をしてドル建ては歓迎されるはず。

 天狗の末裔たちが グローバルに活躍しているおかげで、地球の反対側に飛ばされてもさほど難渋せずに済んでいる。血の盃を捧げてくれた天狗の末裔ひとりずつに 山姥の銀髪入りお守り袋を返礼としていた甲斐があり、そのお守り袋を持つ末裔のひとりが ここアルゼンタンにも存在した。

 江戸川時代黒川と漁師小屋に泊まったとき、江戸川時代のチリ沖の地震は、津波となって 海辺の小屋を襲い、山姥は黒川を連れて、はじめて火ノ川国の令和時代の外国に出現した。
お守り袋は導きであり、また憑代なしの出現を可能にした。

黒川のパスポートは火ノ川国に居る城川常務から送付してもらうが、山姥弥生のパスポートははじめから存在していない。
アルゼンタンから火ノ川国に帰るには、空路の旅となり、天狗の末裔を頼って偽造パスポートを作成してもらうことにした。偽造パスポートは、アルゼンタン出国と飛行機に乗るために必要で、火ノ川国入国の際は、原本データに記載がないわけで、入国チェックを通らず、風のごとく誰にも見咎められず、空港外に瞬時に移動することにした。山姥弥生だからこそ可能なことだが。アルゼンタンから火ノ川国への直行便がないので、乗り換えが必要だが、アメリカでの乗り換えは 偽造パスポートでは、リスクが高い。で、チリに出て イースター島、タヒチ経由で、火ノ川国に帰ることにした。タヒチはフランス領ではあるが、出入国の管理は、本国より緩やかだった。

 期せずして、アルゼンタンで、黒川と山姥弥生は過ごすことになったので、夜な夜なタンゴバルに繰り出し、弥生は豊満な肢体の熟女に化けて、黒川とアルゼンタンタンゴを心ゆくまで楽しんだ。文明に依って 美の基準は違うので、火ノ川国では醜男黒川だが、こちらでは、好男子としてもてた。

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