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最果ての森・成長編
101. 乗り越えし者
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「焼き上がったようだな」
やっぱり!あれはオーブンみたいな魔道具の音だったんだ!
先ほどから、香ばしい香りがしてきたと思っていたんだ。
ジルがオーブンの扉を開く。
ティアも、あれほど楽しそうに連発していたクリーンを止めて、今はジルの手元を凝視している。
ジルが取り出した天板の上には、美味しそうなコロコロがたくさん···!
「···ゴクリ」
ティアは涎を垂らしそうな勢いだ。
今こそ、クリーンが必要なんじゃないだろうか。
「ジル、それを食べてもいいだろうか。美味そうなのだ。きっと美味いのだ。この匂いが、ワレに食べろと言っているのだ!」
ティアが必死だ。
「ああ、だがまだ熱いからな。もう少し冷ました方がいい」
ここにきて、まさかの待てだ。
ティアがピシリと固まる。
「こ、これは多大な忍耐力が必要なのだ。今こそ、ワレの精神力が成長するとき···!」
ティアがぷるぷるしながら必死に待っている。
「自然に冷まそうかと思っていたが···。少し風を当てるか」
ぷるぷるしているティアを見たジルはそう言うと、焼き上がったばかりのコロコロに向かって『ウィンド』と呟いた。
次の瞬間、暴力的なまでの香ばしさが風に乗って僕とティアに襲いかかってきた。
「ぬわあー!美味いのだ!匂いが!!美味いのだー!!」
ティアがそう叫び、口をパクパクモグモグさせている。···香りを食べようとしているのだろうか。
でも、その気持ちはよく分かる。僕もこの香りを体に取り込みたくて、めちゃくちゃ鼻から吸い込んだ。
「···フッ。待たせたな」
スーッ、ハーッと深呼吸をしていると、ジルが笑いながら僕とティアの前に皿を出してきた。上にはコロコロが3つずつ乗っている。
「い、いいのだな!?今度こそ、食べていいのだな!?」
ティアの目が若干血走っているように見えるのは···きっと気のせいだ。
「ああ、食べてみてくれ」
ジルがそう言い終わるやいなや、僕たちは今までにないほどの素早い動きでコロコロを口に入れた。
口に入れても感じるこの香ばしさ。外側はサクッとしていて、中はホロホロ柔らかい。裏ごしをしたからか、舌触りがなめらかでとても食べやすい。
早く食べたい気持ちが強過ぎてちゃんと色を確認していなかったが、これはきっとカボチャだ。じっくり噛んでいると、ふんわり優しい甘みを感じる。
···あれ、そういえば砂糖って使っていなかったよね?ということは、これはカボチャ本来の甘さなのか!
すごい、こんなに甘いカボチャがあるんだ!
「んー!おいちー!」
コロコロの美味しさとカボチャの甘さに感動する。
次は黄色いコロコロを食べてみよう。きっとこれはサツマイモだ。
うんうん、これもすっごく美味しい。しかも、カボチャより更に甘みが強い気がする。
カボチャはホロホロしていたけど、サツマイモはそれにしっとり感がプラスされている。どちらの食感も、いい···!
そして最後はカボチャとサツマイモのミックス。
異なる2つの味がちょうど良く馴染んでいて、食感もいいとこ取りみたいな感じだ。これも美味しくて面白い!
香ばしい香りとなめらかな口当たり、そして感動の甘さ。これを一生口に含んでいられたらどんなに幸せだろうか。
そんな思い虚しく、3つのコロコロはあっという間に僕の胃袋の中へと消えていった。
「美味かったのだ!もっと食べたいのだ!」
ティアもペロリと食べて、尻尾をパタパタしながらおかわりを所望している。
「美味いなら良かった。だが残りは昼食の後だ」
本日二度目の待てだ。
しかしティアはコロコロを食べたことで多少心の余裕ができたのか、今度は固まらずに済んだ。
「ううむ、このお菓子をまだ食べたいが、昼食も食べたいのだ···」
ティアは今すぐコロコロをおかわりしたい気持ちと、昼食もたくさん食べたい気持ちで葛藤しているようだ。
しかしすぐにキリッとした表情で、こう言い放った。
「ふむ、此度の試練で成長したワレの精神力をもってすれば、昼食後まで待つことなど容易いのだ!」
そう、ティアの言う通り。
香りの風を浴びるという修業を終えた僕たちに、もう越えられない壁はない。
僕とティアは、乗り越えし者の風格をまといながら、おとなしく昼食を待つことにした。
やっぱり!あれはオーブンみたいな魔道具の音だったんだ!
先ほどから、香ばしい香りがしてきたと思っていたんだ。
ジルがオーブンの扉を開く。
ティアも、あれほど楽しそうに連発していたクリーンを止めて、今はジルの手元を凝視している。
ジルが取り出した天板の上には、美味しそうなコロコロがたくさん···!
「···ゴクリ」
ティアは涎を垂らしそうな勢いだ。
今こそ、クリーンが必要なんじゃないだろうか。
「ジル、それを食べてもいいだろうか。美味そうなのだ。きっと美味いのだ。この匂いが、ワレに食べろと言っているのだ!」
ティアが必死だ。
「ああ、だがまだ熱いからな。もう少し冷ました方がいい」
ここにきて、まさかの待てだ。
ティアがピシリと固まる。
「こ、これは多大な忍耐力が必要なのだ。今こそ、ワレの精神力が成長するとき···!」
ティアがぷるぷるしながら必死に待っている。
「自然に冷まそうかと思っていたが···。少し風を当てるか」
ぷるぷるしているティアを見たジルはそう言うと、焼き上がったばかりのコロコロに向かって『ウィンド』と呟いた。
次の瞬間、暴力的なまでの香ばしさが風に乗って僕とティアに襲いかかってきた。
「ぬわあー!美味いのだ!匂いが!!美味いのだー!!」
ティアがそう叫び、口をパクパクモグモグさせている。···香りを食べようとしているのだろうか。
でも、その気持ちはよく分かる。僕もこの香りを体に取り込みたくて、めちゃくちゃ鼻から吸い込んだ。
「···フッ。待たせたな」
スーッ、ハーッと深呼吸をしていると、ジルが笑いながら僕とティアの前に皿を出してきた。上にはコロコロが3つずつ乗っている。
「い、いいのだな!?今度こそ、食べていいのだな!?」
ティアの目が若干血走っているように見えるのは···きっと気のせいだ。
「ああ、食べてみてくれ」
ジルがそう言い終わるやいなや、僕たちは今までにないほどの素早い動きでコロコロを口に入れた。
口に入れても感じるこの香ばしさ。外側はサクッとしていて、中はホロホロ柔らかい。裏ごしをしたからか、舌触りがなめらかでとても食べやすい。
早く食べたい気持ちが強過ぎてちゃんと色を確認していなかったが、これはきっとカボチャだ。じっくり噛んでいると、ふんわり優しい甘みを感じる。
···あれ、そういえば砂糖って使っていなかったよね?ということは、これはカボチャ本来の甘さなのか!
すごい、こんなに甘いカボチャがあるんだ!
「んー!おいちー!」
コロコロの美味しさとカボチャの甘さに感動する。
次は黄色いコロコロを食べてみよう。きっとこれはサツマイモだ。
うんうん、これもすっごく美味しい。しかも、カボチャより更に甘みが強い気がする。
カボチャはホロホロしていたけど、サツマイモはそれにしっとり感がプラスされている。どちらの食感も、いい···!
そして最後はカボチャとサツマイモのミックス。
異なる2つの味がちょうど良く馴染んでいて、食感もいいとこ取りみたいな感じだ。これも美味しくて面白い!
香ばしい香りとなめらかな口当たり、そして感動の甘さ。これを一生口に含んでいられたらどんなに幸せだろうか。
そんな思い虚しく、3つのコロコロはあっという間に僕の胃袋の中へと消えていった。
「美味かったのだ!もっと食べたいのだ!」
ティアもペロリと食べて、尻尾をパタパタしながらおかわりを所望している。
「美味いなら良かった。だが残りは昼食の後だ」
本日二度目の待てだ。
しかしティアはコロコロを食べたことで多少心の余裕ができたのか、今度は固まらずに済んだ。
「ううむ、このお菓子をまだ食べたいが、昼食も食べたいのだ···」
ティアは今すぐコロコロをおかわりしたい気持ちと、昼食もたくさん食べたい気持ちで葛藤しているようだ。
しかしすぐにキリッとした表情で、こう言い放った。
「ふむ、此度の試練で成長したワレの精神力をもってすれば、昼食後まで待つことなど容易いのだ!」
そう、ティアの言う通り。
香りの風を浴びるという修業を終えた僕たちに、もう越えられない壁はない。
僕とティアは、乗り越えし者の風格をまといながら、おとなしく昼食を待つことにした。
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