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第2章
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先生が入ってきた。
「はい。じゃあこれが4年2組の本当の最後ね。今からプリントを配るから、そこに書かれているのがみんなの新しいクラスと仲間よ」
ざわざわ。がやがや。
落ちつきがないクラスのみんなの声と動作音で埋まる張り詰めた教室。
先生だけが平常心で、気にする様子もなくプリントの束を手に持つ。
ドキドキドキドキ。緊張。胸が飛び出しちゃう。
でも、香葉来とは一緒なのは間違いない。
「一緒のクラスになったね」って、笑顔で言って。なか直りしよう。
ああ、一也たちとも一緒がいいな。
もちろん、真鈴とも……。お願い。真鈴と、一緒のクラスでありますように……。
大河は祈った。
先生は通路側から、一番前の席の児童に、各列分のプリントを配り出す。
いち早く目にした児童からは、
「やりぃー!」
「ええーよしのちゃんと離れちゃうー」
「びみょー」
歓喜、悲哀の声ががちゃがちゃ飛び交う。
大河は、香葉来を見てた。彼女ももうプリントを手に持ってる。
じっとじっと、プリントを見つめてる。
声は出さずに、静かにだんまり。
でも。明らかに困惑した顔。くもりをとおりこし、墨汁のような星のない夜に染まっていた。
え? 香葉来、どうしたの?
そんなに悪いクラスだったの?
大河にも暗色は伝播した。
そして。香葉来が見つめてきた。
目を細めて、軽く睨んでる。
泣きそうにも見えたし、怒っても見えた。
考えているうちに、前の席からプリントがきた。
えっ? うそ……。
香葉来の困惑の原因は、すぐにわかった。
『5年1組 出席番号12 汐見 香葉来』
『5年3組 出席番号17 辻 真鈴』
『5年3組 出席番号26 末岡 大河』
……なんで? なんで、香葉来と別々なの?
大河は狐につままれたような気分だった。
「またクラス一緒だね」
「うん……」
真鈴の問いかけに、大河は生返事。
真鈴と一緒だった。大河は、本当ならよろこびたい。
でも。香葉来と違ったことが予想外で、よろこびの感情は現れなかった。
真鈴はすぐに察してくれた。
「香葉来……絶対、大河と一緒だと思ってたけど。でも、さくら、桃佳とは一緒。あのふたりとはなかがいいから、まだよかったじゃん」
「……そうだけど。大丈夫かな」
「なれるまで大変かもしれないけど、悪いことじゃないよ。私も大河、香葉来とずっと同じクラスで、ずっとなかよし3人組でいたいけどさ。私、中学は私立を受けるから、2年後はふたりとは別々の道を行ってる。いずれ、別れはくるの。でも、友達であることはずっと変わらない。別のクラスだって同じよ。先生も、香葉来を自立させようとあえて幼馴染の大河と別々にしたのかもしれないし」
「うん……」
大人びた真鈴の言葉は正論だった。
大河は、真鈴の言葉を素直に受け止めることができなかった。
簡単に割り切ることができなかった。
そして意味もなく、悪い予感がした。
あたたかな春だというのに。
「はい。じゃあこれが4年2組の本当の最後ね。今からプリントを配るから、そこに書かれているのがみんなの新しいクラスと仲間よ」
ざわざわ。がやがや。
落ちつきがないクラスのみんなの声と動作音で埋まる張り詰めた教室。
先生だけが平常心で、気にする様子もなくプリントの束を手に持つ。
ドキドキドキドキ。緊張。胸が飛び出しちゃう。
でも、香葉来とは一緒なのは間違いない。
「一緒のクラスになったね」って、笑顔で言って。なか直りしよう。
ああ、一也たちとも一緒がいいな。
もちろん、真鈴とも……。お願い。真鈴と、一緒のクラスでありますように……。
大河は祈った。
先生は通路側から、一番前の席の児童に、各列分のプリントを配り出す。
いち早く目にした児童からは、
「やりぃー!」
「ええーよしのちゃんと離れちゃうー」
「びみょー」
歓喜、悲哀の声ががちゃがちゃ飛び交う。
大河は、香葉来を見てた。彼女ももうプリントを手に持ってる。
じっとじっと、プリントを見つめてる。
声は出さずに、静かにだんまり。
でも。明らかに困惑した顔。くもりをとおりこし、墨汁のような星のない夜に染まっていた。
え? 香葉来、どうしたの?
そんなに悪いクラスだったの?
大河にも暗色は伝播した。
そして。香葉来が見つめてきた。
目を細めて、軽く睨んでる。
泣きそうにも見えたし、怒っても見えた。
考えているうちに、前の席からプリントがきた。
えっ? うそ……。
香葉来の困惑の原因は、すぐにわかった。
『5年1組 出席番号12 汐見 香葉来』
『5年3組 出席番号17 辻 真鈴』
『5年3組 出席番号26 末岡 大河』
……なんで? なんで、香葉来と別々なの?
大河は狐につままれたような気分だった。
「またクラス一緒だね」
「うん……」
真鈴の問いかけに、大河は生返事。
真鈴と一緒だった。大河は、本当ならよろこびたい。
でも。香葉来と違ったことが予想外で、よろこびの感情は現れなかった。
真鈴はすぐに察してくれた。
「香葉来……絶対、大河と一緒だと思ってたけど。でも、さくら、桃佳とは一緒。あのふたりとはなかがいいから、まだよかったじゃん」
「……そうだけど。大丈夫かな」
「なれるまで大変かもしれないけど、悪いことじゃないよ。私も大河、香葉来とずっと同じクラスで、ずっとなかよし3人組でいたいけどさ。私、中学は私立を受けるから、2年後はふたりとは別々の道を行ってる。いずれ、別れはくるの。でも、友達であることはずっと変わらない。別のクラスだって同じよ。先生も、香葉来を自立させようとあえて幼馴染の大河と別々にしたのかもしれないし」
「うん……」
大人びた真鈴の言葉は正論だった。
大河は、真鈴の言葉を素直に受け止めることができなかった。
簡単に割り切ることができなかった。
そして意味もなく、悪い予感がした。
あたたかな春だというのに。
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