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追放後 ~ side ボルト ~
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ライトをパーティーハウスの門の外に放り出し、キースをパーティーハウス内に連れて入った後、ゲオルグにキースのことを任せたボルトは、パーティーハウスの裏口から外に出た。
そこに潜んでいたのは、ボルト、ゲオルグ、ルウナが長年懇意にしている貴族とつるんで、悪事を重ね続けている男たちだった。
「あの坊主、そこそこ儲けさせたくれたが、殺っちまっていいのか?奴隷商に売って金にするって手もあるぜ?」
「散々搾取させてもらったからなぁ。あいつは薄々搾取されてることに気付いてそうだったし。降りかかりそうな火の粉は払っちまいたいんだよ。魔獣にでも食わせて、跡形もなく消してくれ。」
「くくくっ、任せとけって。その代わり・・・」
「分かってるよ。取り敢えず、カリアをお前にやるからさ。」
「おお、あの野暮ったい巨乳のねーちゃんか。いいねぇ。あれだったら、遊んだ後、生娘だっつって売っ払っちまっても、上手くいきそうだな?変態貴族に高く売れそうだ。」
「好きにしろ。付きまとわれて、辟易してるんだ。自分が俺様に相応しいと思ってるんだぜ?腹立たしい。」
総勢8人。
ボルトから依頼を受けた男たちは、ライトを追いかけたが、森に入ったところで、ライトを見失ってしまった。
この事態をしっかり予知で視ていたライトは、自分の旅立ちの邪魔をされないよう、土の妖精たちにお願いして、森のところどころに大きな落とし穴を掘ってもらっていた。
ライトにとっては翌朝までの、ほんの足止めのつもりだった。
ライトを追ってきた男たちは、1人、2人と落とし穴に落ちていった。
そして8人すべてが、複数の落とし穴に落ちた。
暗く静かな森の中に、男たちの怒声が響き渡った。
- そのまま大人しく朝を待てば。
- 冷静な判断ができていれば。
- 助けを待っていれば。
命は助かったかもしれない。
中堅冒険者でも危険だと言われる深い森の中で、男たちは大声で喚き散らし続けた。
夜、魔物たちの活動が盛んになる時間。
腹を満たすために、餌を求めて動き回る魔物たちに、その声はすぐに届いた。
翌朝。
ライトは、テイムした神獣アースと、お留守番に任命されてしまったモグたちを除いた土の妖精たちと、この地を旅立った。
キースの歓迎会でパーティーメンバーたちが酔いつぶれても、朝になっても、ライト殺害完了の報告は届かなかった。
翌朝、ボルトはいつも男たちが屯している店や家を片っ端から探したが、男たちは見つからなかった。
「ちっ!ライトの生死は分からねぇし、面倒臭いカリアは追っ払えねぇし・・・使えねぇ奴らだ。」
ボルトは懇意にしている貴族に、男たちが使い物にならないことを告げ口し、この町の冒険者ギルドのすべての職員に、ライトの捜索と殺害、そしてカリアを不自然に思われないように誘拐して、違法奴隷として売り払うことを依頼した。
ライトは食いしん坊神獣アースの希望で、食の文化が発達していて、土の精霊たちが暮らしやすい、自然環境の良い町を目指して旅をしていた。
辺境の町オルグストンを旅立ってから初めての町の入町審査で、身分証明証の提示を求められたライトは、冒険者証を提示したのだが、両脇を兵士にがっしりと掴まれ、小さな部屋に連行されてしまった。
突然のことに動揺するライト。
(こんな未来は視てない!)
連行された小さな部屋には、顔に目立つ傷跡のある、大きな男の人がいた。
「坊主、いつ冒険者になった?」
見た目からは想像ができない静かな声で、優しくライトに問いかけてきた。
「えっと、2年くらい前です。」
「噂はあったが、証拠がでてきたのは初めてだ。」
「?」
「坊主。残念だが、この冒険者証は偽物だ。」
ー 追放編 完 ―
そこに潜んでいたのは、ボルト、ゲオルグ、ルウナが長年懇意にしている貴族とつるんで、悪事を重ね続けている男たちだった。
「あの坊主、そこそこ儲けさせたくれたが、殺っちまっていいのか?奴隷商に売って金にするって手もあるぜ?」
「散々搾取させてもらったからなぁ。あいつは薄々搾取されてることに気付いてそうだったし。降りかかりそうな火の粉は払っちまいたいんだよ。魔獣にでも食わせて、跡形もなく消してくれ。」
「くくくっ、任せとけって。その代わり・・・」
「分かってるよ。取り敢えず、カリアをお前にやるからさ。」
「おお、あの野暮ったい巨乳のねーちゃんか。いいねぇ。あれだったら、遊んだ後、生娘だっつって売っ払っちまっても、上手くいきそうだな?変態貴族に高く売れそうだ。」
「好きにしろ。付きまとわれて、辟易してるんだ。自分が俺様に相応しいと思ってるんだぜ?腹立たしい。」
総勢8人。
ボルトから依頼を受けた男たちは、ライトを追いかけたが、森に入ったところで、ライトを見失ってしまった。
この事態をしっかり予知で視ていたライトは、自分の旅立ちの邪魔をされないよう、土の妖精たちにお願いして、森のところどころに大きな落とし穴を掘ってもらっていた。
ライトにとっては翌朝までの、ほんの足止めのつもりだった。
ライトを追ってきた男たちは、1人、2人と落とし穴に落ちていった。
そして8人すべてが、複数の落とし穴に落ちた。
暗く静かな森の中に、男たちの怒声が響き渡った。
- そのまま大人しく朝を待てば。
- 冷静な判断ができていれば。
- 助けを待っていれば。
命は助かったかもしれない。
中堅冒険者でも危険だと言われる深い森の中で、男たちは大声で喚き散らし続けた。
夜、魔物たちの活動が盛んになる時間。
腹を満たすために、餌を求めて動き回る魔物たちに、その声はすぐに届いた。
翌朝。
ライトは、テイムした神獣アースと、お留守番に任命されてしまったモグたちを除いた土の妖精たちと、この地を旅立った。
キースの歓迎会でパーティーメンバーたちが酔いつぶれても、朝になっても、ライト殺害完了の報告は届かなかった。
翌朝、ボルトはいつも男たちが屯している店や家を片っ端から探したが、男たちは見つからなかった。
「ちっ!ライトの生死は分からねぇし、面倒臭いカリアは追っ払えねぇし・・・使えねぇ奴らだ。」
ボルトは懇意にしている貴族に、男たちが使い物にならないことを告げ口し、この町の冒険者ギルドのすべての職員に、ライトの捜索と殺害、そしてカリアを不自然に思われないように誘拐して、違法奴隷として売り払うことを依頼した。
ライトは食いしん坊神獣アースの希望で、食の文化が発達していて、土の精霊たちが暮らしやすい、自然環境の良い町を目指して旅をしていた。
辺境の町オルグストンを旅立ってから初めての町の入町審査で、身分証明証の提示を求められたライトは、冒険者証を提示したのだが、両脇を兵士にがっしりと掴まれ、小さな部屋に連行されてしまった。
突然のことに動揺するライト。
(こんな未来は視てない!)
連行された小さな部屋には、顔に目立つ傷跡のある、大きな男の人がいた。
「坊主、いつ冒険者になった?」
見た目からは想像ができない静かな声で、優しくライトに問いかけてきた。
「えっと、2年くらい前です。」
「噂はあったが、証拠がでてきたのは初めてだ。」
「?」
「坊主。残念だが、この冒険者証は偽物だ。」
ー 追放編 完 ―
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