19 / 22
別れ 2
しおりを挟む
「…え?ナビちゃん?え?嘘でしょ!?」
『もし万が一、ニナ様の命が危機に晒されることがございましたら、再度私がお助けに参上いたします。が、二度とそのようなことにはならないでしょう。ニナ様がこの世界で幸福になられることを、祈っております。』
( ほんの数時間だったけれど、ナビちゃんには物凄く助けられた。こんな唐突な別れ、嫌だよっ。)
『最後に…これをお伝えすると、ニナ様のことを気に入っている神々からお叱りを受けるかもしれませんが、ニナ様は知っておくべきだと思うので、私の独断でお伝えいたします。』
「ん?」
『私たち神は、この世界の生きとし生けるもの、魔物をも愛しています。すべての生きとし生けるものが、私たち神にとっては愛し子なのです。』
( ナビちゃん、神様だったんだ。)
『私たち神は、その愛し子が助けを求めるために異世界から人族を召喚することを、容認しています。』
( そう言えば、この世界の力で聖女として日本人が召喚されたことが何回もあったって言ってたね。)
『私たち神の力により召喚が行われると、異世界から呼ばれた人族は神界に招かれ、召喚に応じるかどうかの意思確認をさせていただきます。召喚を拒否した人族は、そのまま元の世界にお帰りいただき、召喚は失敗ということになります。
召喚に応じてくださった人族は、元の世界の肉体を神界に保管させていただき、その肉体を寸分なく模して作ったこの世界に適した肉体に魂を移して、この世界に転移していただきます。』
「は?」
元の世界の肉体を神界に保管しておいて、この世界に適した肉体に魂を移す?
でも、私の体って……
『その際、肉体に対して一つだけ願いを聞き入れます。傷や欠損を治したい、患っている病気の無い健康な体になりたい、年齢を若くしたい、見た目を美しく整えたい、などですね。
私たち神が与える加護は、この世界で生きていくために最低限必要な「言語理解」と、無事元の世界に帰ることができるように、この世界での死を回避するための「不死」の2つのみです。
故に、必然的に愛し子が必要とする力、聖女としての力に目覚める可能性が高い人族が召喚されます。
その他のスキルや魔法については、元の世界での生き様や召喚側の希望によって、自動で振り分けられます。神が容易に介入できるこの世界には、聖女としての力を除き、強過ぎる力は必要ありませんので。
異世界からの人族がこの世界でその役目を終えられると、魂は元の肉体に戻され、召喚された時間軸と場所にお送りすることになります。』
( 嫌な予感がするんだけど…)
『はい。ニナ様のお考えになっている通りです。ニナ様はこの世界の神々の力ではなく、異世界の邪神の力により、私たちが知ることのできない時間軸と場所から、異世界の肉体のままこの世界に転移していらっしゃいました。私たち、この世界の神の力では、ニナ様を元の世界にお送りすることができません。』
( …………… )
『【創造神のお詫び】は、この世界の肉体を持たないニナ様が、この世界で生きていけるように与えられた、特別な能力なのです。』
「くぅ…」
私はぐっと、自分で自分を抱きしめる。
『過去、ニナ様の生まれ育った日本からは、何人もの人族が召喚され、この世界に新しい風を吹かせて、無事帰って行かれました。日本の人族は、私たち神々のお気に入りとなりました。』
帰れない現実を突きつけられ、涙が溢れてくる。
『【創造神のお詫び】は、中位の神々と同等の力です。このまま無制限に特殊スキルが増えていくと、いつの日か、ニナ様は亜神となり、人間神へと昇華していくことでしょう。もう手遅れかもしれませんが。』
一瞬にして、涙が止まる。
( 今、何て言った?)
『ニナ様が望まれるのであれば、私たちは大歓迎いたします。けれど、もし、ニナ様が人であり続けたいと思われるのであれば…………………………お気をつけください。』
「ナビちゃ『それでは、ニナ様、お元気で。』
「ちょっと、ナビちゃん!待ってよ!!最後になんて爆弾投下していくの!!こらぁああああああああああああああ!!!!!!!!!」
私の大声は、深い森の中に虚しく消えて行った。
『もし万が一、ニナ様の命が危機に晒されることがございましたら、再度私がお助けに参上いたします。が、二度とそのようなことにはならないでしょう。ニナ様がこの世界で幸福になられることを、祈っております。』
( ほんの数時間だったけれど、ナビちゃんには物凄く助けられた。こんな唐突な別れ、嫌だよっ。)
『最後に…これをお伝えすると、ニナ様のことを気に入っている神々からお叱りを受けるかもしれませんが、ニナ様は知っておくべきだと思うので、私の独断でお伝えいたします。』
「ん?」
『私たち神は、この世界の生きとし生けるもの、魔物をも愛しています。すべての生きとし生けるものが、私たち神にとっては愛し子なのです。』
( ナビちゃん、神様だったんだ。)
『私たち神は、その愛し子が助けを求めるために異世界から人族を召喚することを、容認しています。』
( そう言えば、この世界の力で聖女として日本人が召喚されたことが何回もあったって言ってたね。)
『私たち神の力により召喚が行われると、異世界から呼ばれた人族は神界に招かれ、召喚に応じるかどうかの意思確認をさせていただきます。召喚を拒否した人族は、そのまま元の世界にお帰りいただき、召喚は失敗ということになります。
召喚に応じてくださった人族は、元の世界の肉体を神界に保管させていただき、その肉体を寸分なく模して作ったこの世界に適した肉体に魂を移して、この世界に転移していただきます。』
「は?」
元の世界の肉体を神界に保管しておいて、この世界に適した肉体に魂を移す?
でも、私の体って……
『その際、肉体に対して一つだけ願いを聞き入れます。傷や欠損を治したい、患っている病気の無い健康な体になりたい、年齢を若くしたい、見た目を美しく整えたい、などですね。
私たち神が与える加護は、この世界で生きていくために最低限必要な「言語理解」と、無事元の世界に帰ることができるように、この世界での死を回避するための「不死」の2つのみです。
故に、必然的に愛し子が必要とする力、聖女としての力に目覚める可能性が高い人族が召喚されます。
その他のスキルや魔法については、元の世界での生き様や召喚側の希望によって、自動で振り分けられます。神が容易に介入できるこの世界には、聖女としての力を除き、強過ぎる力は必要ありませんので。
異世界からの人族がこの世界でその役目を終えられると、魂は元の肉体に戻され、召喚された時間軸と場所にお送りすることになります。』
( 嫌な予感がするんだけど…)
『はい。ニナ様のお考えになっている通りです。ニナ様はこの世界の神々の力ではなく、異世界の邪神の力により、私たちが知ることのできない時間軸と場所から、異世界の肉体のままこの世界に転移していらっしゃいました。私たち、この世界の神の力では、ニナ様を元の世界にお送りすることができません。』
( …………… )
『【創造神のお詫び】は、この世界の肉体を持たないニナ様が、この世界で生きていけるように与えられた、特別な能力なのです。』
「くぅ…」
私はぐっと、自分で自分を抱きしめる。
『過去、ニナ様の生まれ育った日本からは、何人もの人族が召喚され、この世界に新しい風を吹かせて、無事帰って行かれました。日本の人族は、私たち神々のお気に入りとなりました。』
帰れない現実を突きつけられ、涙が溢れてくる。
『【創造神のお詫び】は、中位の神々と同等の力です。このまま無制限に特殊スキルが増えていくと、いつの日か、ニナ様は亜神となり、人間神へと昇華していくことでしょう。もう手遅れかもしれませんが。』
一瞬にして、涙が止まる。
( 今、何て言った?)
『ニナ様が望まれるのであれば、私たちは大歓迎いたします。けれど、もし、ニナ様が人であり続けたいと思われるのであれば…………………………お気をつけください。』
「ナビちゃ『それでは、ニナ様、お元気で。』
「ちょっと、ナビちゃん!待ってよ!!最後になんて爆弾投下していくの!!こらぁああああああああああああああ!!!!!!!!!」
私の大声は、深い森の中に虚しく消えて行った。
10
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる