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憤る神々の神託
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この世界の創造主である主神の創造神は、憤っていた。
創造神だけでなく、この世界のすべての神々が、禁忌とされている異世界の邪神の力による聖女召喚を行ったバラライド国に、憤っていた。
バラライド国に聖女として召喚されたのは、神々のお気に入りの国、異世界の日本という国の少女だった。
禁忌を犯して、多くの愛し子たちを犠牲にして召喚した少女。
にも拘らず、少女のステータスを鑑定し、少女が聖女でなかったから、少女の魔力が0だったから、たったそれだけの理由で、少女を殺せと、バラライド国の国王は命じた。
その命を受けた人間たちの企みも、非道なものであった。
神々の堪忍袋の緒が切れた。
バラライド国には強風が吹き荒れ、地面は揺れ続けていた。
正しい手順を踏んで聖女召喚を行えば、望む聖女の力を持って、この世界に順応できる聖女が召喚されたであろうに、異世界の邪神の力による聖女召喚を行ったため、少女は元の世界で作られた肉体のまま、この世界に召喚されてしまった。
魔法の存在しない世界から来たのだ。
魔力など、持ち合わせているはずがない。
召喚を行うために必要な知識すら学ばず、禁術に手を出した愚かな人間の国。
神々は、バラライド国を見捨てることを決断した。
その日、運命神は、バラライド国に生きる、すべての生きとし生けるものに、神託を下した。
『これは神託である。』
『愚かで邪悪な心を持ったバラライド国の人間たちにより、バラライド国はすべての神々の怒りを買った。』
『我ら神は、バラライド国を見限った。』
『バラライド国は衰退の一途を辿り、魔の森に飲み込まれていくであろう。』
『最後の慈悲である。』
『善人であれば、無事魔の森を抜けることができる。』
『この国を出て生き延びたい者は、すぐに出発せよ。』
魔の森を抜けられるのは、先着順ではない。
人数制限もない。
神託すら正しく理解しようとせず、我先にと移動手段である馬車や馬を奪い合い、殺し合う人々。
魔の森に入ろうとする人々を襲い、物資を奪う人々。
老若男女問わず、醜い争いを繰り広げていた。
醜く争う人々を横目に、国内に生息していた野生の動物や鳥、虫や家畜たちが、魔の森を悠然と抜けていく。
時折、醜く争う大人の側で火が付いたように泣いている赤ん坊を、動物たちが親から奪い去り、咥えたまま魔の森を進んだ。
動物たちは、神託を正しく理解していた。
本来であれば魔の森を抜けることができたであろう人々は、争いに巻き込まれ、命を落とした。
邪悪な心を持った人々は、魔物にその命を狩られた。
人口60万人のバラライド国から逃げ出せた人族は、動物たちが連れて逃げた、僅かな幼子たちだけであった。
創造神だけでなく、この世界のすべての神々が、禁忌とされている異世界の邪神の力による聖女召喚を行ったバラライド国に、憤っていた。
バラライド国に聖女として召喚されたのは、神々のお気に入りの国、異世界の日本という国の少女だった。
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にも拘らず、少女のステータスを鑑定し、少女が聖女でなかったから、少女の魔力が0だったから、たったそれだけの理由で、少女を殺せと、バラライド国の国王は命じた。
その命を受けた人間たちの企みも、非道なものであった。
神々の堪忍袋の緒が切れた。
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正しい手順を踏んで聖女召喚を行えば、望む聖女の力を持って、この世界に順応できる聖女が召喚されたであろうに、異世界の邪神の力による聖女召喚を行ったため、少女は元の世界で作られた肉体のまま、この世界に召喚されてしまった。
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『これは神託である。』
『愚かで邪悪な心を持ったバラライド国の人間たちにより、バラライド国はすべての神々の怒りを買った。』
『我ら神は、バラライド国を見限った。』
『バラライド国は衰退の一途を辿り、魔の森に飲み込まれていくであろう。』
『最後の慈悲である。』
『善人であれば、無事魔の森を抜けることができる。』
『この国を出て生き延びたい者は、すぐに出発せよ。』
魔の森を抜けられるのは、先着順ではない。
人数制限もない。
神託すら正しく理解しようとせず、我先にと移動手段である馬車や馬を奪い合い、殺し合う人々。
魔の森に入ろうとする人々を襲い、物資を奪う人々。
老若男女問わず、醜い争いを繰り広げていた。
醜く争う人々を横目に、国内に生息していた野生の動物や鳥、虫や家畜たちが、魔の森を悠然と抜けていく。
時折、醜く争う大人の側で火が付いたように泣いている赤ん坊を、動物たちが親から奪い去り、咥えたまま魔の森を進んだ。
動物たちは、神託を正しく理解していた。
本来であれば魔の森を抜けることができたであろう人々は、争いに巻き込まれ、命を落とした。
邪悪な心を持った人々は、魔物にその命を狩られた。
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