ドルメンの館

かぷか

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ドルメンの館

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 客人はスワロフの隙ができた時にいつもやってくる。

「客人って何なんだよ」

「悪魔の館を壊すのを生業としている奴ら」

「何それ」

「お互い堂々巡りを永遠に繰り返す仲で終わりはない」

「しかしスワロフ様、最近動きが活発化してきています。何かあるのでは」

「あるだろうな~」

 いつも冗談ぽく話すスワロフだけどいつもとなにか雰囲気が違う。その客人をまだ俺は見たことがない。館に攻撃してくるのに客人ってどうなんだろう、敵と言った方がいいような気もする。

最近オクタを見かけない、何でも館の警備に忙しいとか。何か嫌なことが起こるのだろうか。

「ニオは心配いらない。町に用事があるニオも行こう」

「わかった」

 スワロフに連れられ馬車に乗り町に行く事にした。馬車の中でスワロフは俺に一人で勝手に歩かない事と何かあったらスワロフを呼ぶ事を約束させた。

 前よりは霧が薄い気がする。

 店の前に止まり俺を中に案内した。ドアを開けると中は広々としていた何処までも本が並んでいた。誰もいる様子は無いが話し声だけが聞こえた。

「スワロフ様、何かお探しで」

「規約の本と再生の本。一番古いもので後は浄化の本を数種類ずつ。あと詩はあるか?」

「物騒な物ばかりですね。何か調べ物ですか?」

「新たな趣味だから気にするな」

「詩は……あまりおすすめしませんよ。うちでもほぼ扱いは辞めようかと」

「そこに、鎖のがあるだろ。それと右手前だ。お前が辞めるなら別に構わない」

「ひぃ!すぐにお持ちします」

 店主はすぐに言われた本を手当たり次第運んだ。山積みにされた本からテキパキと選んでモノに渡す。仁緒はそれを黙ってみていた。

「絵の多い本はあるか?」

「はい!」

何冊か差し出すと仁緒に選ばせた。

「どれがいい?」

「え…じゃあこれかな?」

選んだ本は生き物の絵の書いてある本だった。

「ふふ、そうか」

何故笑ったかはわからなかったがスワロフは選んだ本をモノに手渡した。
数十冊ほど本を買うと次は変わった雑貨屋に入った。中に入ると綺麗な店内にきちんと整列された小物が置かれていた。小物入れの店だろうか?

「ニオ~どれがいい?二つ選んで」

スワロフは器のような容器を指差した。俺は言われるまま選んだ。そして、鈴を一つ買った。

最後に鍛冶屋に寄ると言いシスさんの店の前に止まった。スワロフは俺に声をかけさせた。

「シスさん~いますか?仁緒です」

すぐにドアが開くとスワロフを見てすぐに閉めた。スワロフはドアを開けて中に入る。

「鍛冶屋、何故閉める」

「スワロフ様、何て言うか…」

適当に置いてある椅子をガシっと掴み荒々しく座り足を組む。シスを見ながら机に何か書こうとした所でシスが慌てて話す。

「いや、この間の仕返しに来たかと思って…」

「ふん、ニオだけならドアを開けるのか。霧が薄い、町が妙だ。何に怯えている」

「近々、客人が押し寄せるんじゃないかって噂がでてます。まだ、見てはないですがどこからかでていて今までで一番霧が晴れているので心配してます」

「狙われるなら、一番に館だろ」

「はい…」

「何だ」

「スワロフ様があの館ごと潰されてしまわれるのではと。そうなれば町は廃墟となります」

「なるほど、悪魔は逃げ足だけは早いからな。お前は店を畳むのか?」

「いえ、そこまでは…地下で作業をしようかと。ただ、何軒かは既に別の所へ移動しました」

「確定のような動きだな。何処からの情報かわからんが裏切りは悪魔の常套手段だ。おそらく堕ちた客人か」

「はい、そうだと思います」

 スワロフとシスの会話に全くついていけない仁緒はドアを開け馬車の前で待つことにした。姿が窓ガラスから見えていたスワロフは話を続けた。

「ニオの匂いはするか?」

「はい、わかりますがスワロフ様の方が強いですからよっぽどのの悪魔でない限り効果的だと思います」

「そうか」

「あの…主印は使わないんですか?」

「使わない予定だ」

「それだと、厳しいですね」

「わかっている」

「もし、何か役にたてるなら言ってください」

「わかった、やはり店からは出るな」

 スワロフはすらすらと柱に小さな魔方陣を描いて店を出た。馬車に戻るとニオの姿がない。中を覗くも誰もいなかった。モノに話しかけるとあちらにと言われ仁緒の姿が見えて安心した。

「ニオ、戻る」

といった瞬間にニオの体が光と共に宙に浮いた。
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