夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

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ソード オブ ソード

20 お菓子屋

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「なぁ、今日ロキいない~」

「そうだな」

 俺はソファーに座るソードにアピールするも相手にされてない。研究もソードの討伐もあいつとの本作りも無し。久々の二人だけの時間が丸1日ある。

 好きにできる。

前日から何しようかワクワクしていた。たまにはこんは日があってもいい。だが肝心のソードは珍しく本を見ていた。二作目の資料の参考にでもしてるんだろうか?

ソードを自分の膝に乗せのんびり過ごしている。いつもと変わらないがいつもならロキがそうしてる。たまには俺が膝に乗せ独り占めしていい。そーいや
ロキが昔、手繋ぎデートしてたの羨ましかったな。

「ソード、手貸して」

「本見れないだろ」

「確かに」

 腰に手を回して本を一緒にみた。暇だな。ソードにちょっかいを出してるとため息をつかれた。

「レイ、外行くぞ」

 本をパタリと閉じるとソードは服を着替えて出かける準備をした。討伐ではなさそう。フードマントはいつも通りだが軽装で俺もそれに合わせた。

「どこ行くんだ?」

「お茶しにいく」

 ソードから良い提案がでたから(ぶっちゃけいつもと変わらない)アビサルのトヨルという街に寄った。元々は魔の森周辺の偵察場だったが領地拡大からいつの間にかお洒落なお菓子街になっていた。ソードのお気に入りはこのお菓子街で新しいお菓子を探す事だが今日は散策ではなくお茶をする事になった。

 ついソードといちゃいちゃしたい事を考えてしまう。ソードは人混みと目立つ事が嫌いだからこんな場所で手を繋ぐのはだいぶ難しいな。何て事を考えて歩いていた。ソードがお店に入った。まだ入った事の無い店だった。

 美味しそうに食べてるな、幸せそうだ。
 俺も幸せ。

「さっき何の本読んでたんだ?」

「魔獣の生態」

「へー」

「好きな本とかあるのか?」

「あるよ」

 初耳だ。

「何て本?」

「世界のお菓子って絵本」

「へー好きそうな本だな」

 どんな本か聞いていると急にそわそわしだした。そして、俺の後ろをチラチラ見ている。

俺といるよりも気になる物があんのかよと後ろを振り向くと道を挟んだ奥に若い男がソードを見てニコニコしているように見えた。まぁまぁだが全然俺のがいけてるし、年が若いってだけだろ。優しそうに見えなくは無いが俺のが100億倍優しい。それにただの偶然で見間違いかも。ソードにあんな優しい笑顔で接する奴なんて見たことない。

 ソードに向き直すとソードは男に手を振った。

 手を振った!? 

 もう一度男を見ると男も手を振っている。

 はぁ!?ふざけんな、どこのどいつだ。
 何、爽やか笑顔ソードにしてんだよ。

 ソードもあの若いのがいいのか?確かに、若いしちょっと可愛いが俺の方が間違いなく可愛い。まてまて、まだソードが笑顔で若い男に手を振っただけだ。

「ソード、どこの誰?」

「マリオ君。ちょっと前にガルシアで知り合って仲良くなった。まさか居るなんて思わなかった」 

 名前まで知ってんのかよ。しかも、最近ガルシアで。いつ知り合ったんだよ、最近チラッと寄っただけだろ。ロキは知ってんのか?

 俺達以外にそんな顔しやがって。

「レイ行っていい?」

「は?」

 俺と二人だけの幸せな時間は!!

 聞く前に動いてるし。

「早く行かないと」

 支払いを済ませ嫌々だが後ろをついていく。レイ早くと言われたが全然行きたくなかった。するとソードは俺の手を握り引っ張った。そこまでしてそいつと話したいのかよと思った。はぁ~こんな感じで手を繋ぐんじゃなくてさ、と思っていたら男の前に行くと挨拶を気軽にした。

「マリオ君こんにちは!」

こんなに嬉しそうに他人に挨拶をするソードを初めて見た。気に入らない。

「ソードさんこんにちは!まさかこんなにすぐ会えるとは思いませんでした!嬉しいです!」

 ソードを狙ってるような会話に苛立ちを覚えたが頭の中で結婚と実績があるから冷静になれと言い聞かせ、どこで知り合ったか過去の記憶を遡っていた。

「俺もマリオ君が来てくれて嬉しい!大好きなんだよね」

 大好きなんだよね、
  大好きなんだよね、
    大好きなんだよね…………

 は?
 大好きって言ったか?

「ありがとうございます」

 く~何なんだよ、その会話は!俺達以外に大好きって言っていいのはお気に入りベスト3までのお菓子だけだ。許さん、さっきからどこのどいつだ!

「おい、ソードさっきから誰なんだよ」

「こちらマリオ君。ガルシアで俺の一番好きなお菓子屋の息子さん」

「初めまして。ソードさんには父の代からよく来てもらってます。この度二代目の僕がアビサルでお菓子屋をオープンする事になりまして。まだオープン前ですが偶然ソードさんを見つけて嬉しくて手を振りました~」

「ソードがお世話になってます」

「いえいえ、お世話になってるのはうちです。いつも沢山買ってくれますから」

 良かった~お菓子屋の知り合いか。
 全然良い子じゃん。

「最近いろんな所で噂になってガルシアだと午前中には売り切れるようになった。だからアビサルに来てほしいって頼んでたから嬉しい」

「アビサルがこんなにお菓子街激戦区だとは思いませんでした。どこまで通用するかわかりませんが腕がなります。プレオープンにお誘いする予定でしたが一足早くいかがですか?」

「行く」

「どうぞ、こちらです」

 店は小さいが高級なドアにベルがついていた。入ると店員二人がケースの前に並んでいた。

「「いらっしゃいませ」」

 確かにこの雰囲気の店は前に入った事あった店に似てるな。確か一番のお気に入りだった店だったはず。

 ケースに入る小さなお菓子を次々頼みソードが支払いをした。別ケースに新作を全て入れてもらいこちらはサービスだと言われてかなり機嫌のいいソード。確かにどれも美味しそう。

「仲いいですね」

 優しく笑いかけるマリオの目線の先には手を繋いだままのソードと俺。ソードは慌てて離そうとするが、そうはさせるか。

「ああ、仲はずっと良い。ソード離す必要ないだろ」

 俺は握った手にキスをした。
 顔が赤くなるソードはフードを被った。

「これはこれは、こちらのお菓子が溶けてしまいそうですね。お待たせしました。良かったら今度は三人でいらしてください」

「「「ありがとうございました」」」

 店を出た俺は手を繋いだままトヨルの街を歩いた。ソードは大人しく繋がれた状態で歩く。
 
「そーいや、三人でって言ってたな。ロキとも知り合い?」

「いや、違う」

「なら何で三人ってわかったんだ?」

「………お、お前らの分もいつも選ぶから」

「これ?」

「…そう、レイは甘いの好きだけどシンプルなのが好きだし。ロキはそんなに甘すぎない奴選んでる。前に悩んだ時説明したの覚えてたんだと思う」

 ぎゅっと握る手は恥ずかしさを紛らわしているようだった。
 
 顔が見たい。

 どんな顔してそれを選んでるかマリオに声をかけた感じで想像がついた。

 振り返るとフードが下を向いていた。

「おい」

「ん?」

 ちゅ

 顔を上げたソードにキスをした。

「な!」

「旨いな」

「ま、まだ食べてないだろ!」

 お菓子もいいがやっぱりソードがいい。
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